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地酒専門店"酒逢"、設立10年を経て、改めて「こんな酒屋でありたい」という話

皆様のおかげで、昨年ついに10周年を迎えることができました。平素よりのご愛顧を心より感謝申し上げます。

この節目にあたり、私の頭の整理も兼ねて、改めて当社の「こうありたい」方向性を整理してまとめておきたいと思います。


0. 基本情報

当店を既にご存知で、SNSとかから見に来てくれた方にはアレですが…一応

■ 2013年にスタートした地酒専門の酒販店です
■ 日本酒・焼酎・果実酒・ジンなど(比率は日本酒が8割以上)
■ ほぼ全ての商品が試飲して選べます
■ 試飲会、落語会、角打ちなど、イベント多め
■ 飲食店様への納品も承ってます
■ 情報発信はこちら(InstagramFacebookX

1. お酒に出逢い「おお!」っと驚き、笑顔になれる場所


読み方は「さけおう」です。分かりづらくてすいません

『酒逢 SAKEOH(さけおう)』 を会社名・店名にした理由は以下の通りです😁

■ 美味しいお"酒"に出"逢"える
■ 詳しい方も、ビギナーの方も、色々な嗜好の方々が、
■ お酒(SAKE)に出逢って「おお!(OH!)」と驚きや発見があり
■ 店頭で・ご自宅で・飲食店で、笑顔になって頂ける

そんな酒屋を作りたいという思いを会社名とロゴに込めました。これが原点であり存在意義なので、この方針を変えることはありません。

2. ビギナー・ライトユーザーに居心地の良い場所

これも設立当初からの方針、今後も大事にしていきます。

ヘビーユーザーのお客様は既に自分の世界があるので、勝手に自分流で楽しんでくれるってコトもあるんですが😁

店頭での無料試飲、聞かれてない事までよく喋る接客、セルフお燗機、試飲会、落語会、定期開催の角打ちなんかやってるのもそのためです。敷居はなるべく低く、気張らないで入れて、誰でも楽しく過ごせる場所を目指してます。

定期開催の試飲会の様子
酒逢お手製のセルフお燗機"酒逢号"(ver.4)
定期開催の試飲会中の【高級酒有料試飲】

ビギナー・ライトユーザーの居心地にこだわる理由は、私が「にわかファン」の時に感じた「ド素人ですいません」的な雰囲気

今は地酒屋の店主なんかやってますが…、最初は「にわかファン」からスタート。当時ちょくちょくお邪魔してた「熱量の高い酒好き」が集まる飲食店の常連さん達を「なんでこんなに詳しくなれるんだ!?」と憧憬の眼差しで見てました。

  • 酒造りに関する用語はもちろん完璧に把握

  • 人気銘柄のお酒は当然チェック済

  • それとは別に「惚れ込んでる"推し銘柄"」もそれぞれあって

  • 酒蔵見学や様々なイベントへの参加も怠らない

  • 当意即妙に「なぜこの酒(蔵)が素晴らしいか」を熱く語れる

そんな方々がたくさんいて、賑やかで熱気ある素晴らしい場所でした。色々と勉強させてもらいました。

ただ、当時「にわかファン」だった私は少しばかり気圧され、また「ド素人」なのがバレるのが嫌で、しばらくは借りてきた猫みたいになってました。

その時にふと「この界隈、熱意とお金と時間を膨大につかってゼロから独学していくルートしかないのかな?」と思った事をはっきりと記憶しています。

軽装備でも気軽に登り始められる登山ルートを提案したい

地酒に限らず、趣味事にのめり込む理想的なステップは

  1.  何もわからない状態でも気軽に参加できて、楽しめる場所がある

  2.  「相談・質問したい事」がでてきたら、気軽に聞ける人がいる

  3.  ようやく自分で調べられるようになって、試してみて、発見があって、どんどん楽しくなっていって…

  4.  あとは自分の熱量に応じ、自覚的に足まで、腰まで、首まで沼に入っていく…

こんな感じだと思うのですが、私が「にわかファン」だった時には①と②が…あったのかもしれないけど、私は見つけられませんでした。

なので当店は地酒ビギナー・ライトユーザーにこそ居心地が良く、初心者・にわかファンのままずっと気軽に楽しめる場所でありたいと思う訳です

  • 地酒は忙しい日常の、息抜き時間を彩る要素のひとつに過ぎず

  • 個人の好き嫌いの傾向でさえ、ぐるぐると変わって当然

  • 「美味しんぼ的世界観」(ホンモノの良さを分かるのが"通")ではなく、お酒の多様さ・物語を楽しむスタンスで

  • 「辛口」「フルーティ」その他もろもろ、どうしても会話がズレがちな”出回りの記号”だけでなく、お客様に一番ぴったり来るような提案を続け

  • "聞いてないコトまでよく喋る酒屋”として引き続き頑張ります😁

嬉しいことなんですが、最近だいぶ忙しくなってきたので、皆様とお話できる時間を確保すべく、定期開催のイベントや角打ちなどを今まで以上に行っていこうと思っています。

3. 酒屋=お客様の良き相談相手

"聞いてないコトまでよく喋る酒屋店主”をやって10年にもなると、だいたいどんな流れで会話をすべきか、どんな話でお客様が喜んでくれるか、自然と身についてきたように思います。

「出回りの記号」だけで会話しない、お客様の本当のニーズを汲み上げる

例えば、初めてご来店のお客様に、「何かお探しですか?」とは聞かないようにしてます。聞いちゃうと、頂くご返答が…

「辛口」・「フルーティ」・「〇〇(人気銘柄)みたいな酒」で9割になるので

そうすると、それをベースに提案しない訳にはいかなくなるので、別にそれが悪いって訳じゃないんですけど、なんか「流れ作業」みたいになるんですよね…

「うん、辛い!」「おお!香りすごい」「ホントだ、〇〇みたい!」的な…

本当にそれを望んでらっしゃる場合には何も悪くないんですが、今までの経験上…

要望をうまく伝える言葉がとっさに出ないから、ついつい「んー、辛口ありますか?」「フルーティなやつありますか?」って言っちゃう

そんなお客様も少なくないと感じています。

なので最近は「ご自分用ですか?」→「飲むシチュエーションは?」→「食べる物決まってます?」「少し変わったやつ試してみます?」みたいな流れでヒアリング → 広めに試飲を提案 → 選んでもらう、そんな流れにするようにしています。

4. 酒屋=お客様と造り手との結節点

造り手の挑戦・努力・試行錯誤…、『物語』で酒はより美味しくなる

更には以下のような追加情報を話すようにしてます。

■ お酒に対する想い・今に至る物語・試行錯誤
■ 蔵元さん・蔵人さんの人柄や、一緒に飲んだ時の話
■ こんな方向を目指して、こんな風に頑張ってる、的な話

「地酒を色々飲みたい・知りたい」って思ってくれてご来店してくれたお客様は、少なからず「オタク気質」なので(ド偏見)、背景情報・物語・解釈の仕方など「味わう前提としての補助線」があると、詳しくない方でもとても喜んで頂けてるようなので嬉しいです。

5. 「予想を大幅に上回る感動」をくれるお酒をもっと

写真は出羽桜酒造さん、"現場"感と"探求"感のある我ながら良い一枚(?)

これ、最近は特に重視している部分です。
例えばご来店してもらってご要望伺って、複数銘柄を試飲してもらって…

お客様「うん、AもBもCも、色々あってそれぞれ美味しいね😁」

こんなご反応をよく頂きます。
全然駄目じゃない、とても嬉しいんです

酒逢「この蔵の造りの特徴は〇〇で、蔵元は△△を目指していて、あーだこーだ」
お客様「ほー、そんな感じでこの味なんだ。なるほど〜😁」

こんなご反応も頻繁に頂きます。
これも全然嫌じゃない、むしろ酒屋冥利に尽きるのです…が、

お客様「何これ!!!???ヤバ!うっっっっま!」

という感じの、語彙力を奪い取るような「予想を大幅に上回るの感動」を与えてくれるお酒のラインナップを、有名・無銘問わずに充実させるべく、ここ最近は特に研究・アプローチをしております。

今後の当店のラインナップ拡充を是非ご期待ください😁

これからの10年も、皆様の快適なお酒ライフのお手伝いをさせて下さい!

GW中にノリで書き始めた本稿、なかなか筆が進まずにGW終わっちゃいました。
しかし時間かけただけあって、当店の目指してるもの、今考えている方向性など、きっちりまとめることができたように思います。最後までお読み頂いてありがとうございます。

面白いね、いいねと思って頂けた方は…当記事にいいね、拡散のご協力、だけでなく、変わらぬご愛顧…だけでもなく、お友達を連れてきてくれたりとか、行きつけの飲食店さんをご紹介してくれたりとかすると嬉しい限りです😁

今後とも何卒よろしくお願いします。

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