神々の囁き【怪談・怖い話】
4,900文字
某地方の山間に位置するS町
かつてはその一部が「音無村」と呼ばれていた集落があり、そこには古刹・音無神社が鎮座している。「音無」という地名は実はこの神社に由来するのかもしれない。私はこの落合集落で生まれ育ち、幼い頃から音無神社の神々の仄かな存在を感じていた。
夕暮れ時、一人で二階の部屋で過ごしていると、突然壁の向こうからでんでん太鼓のような小さな音が聞こえてきた。初めは方向が分からず家の中を探し回ったが、やがてその音が壁の奥から響いていることに気づいた