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デジカメのアップデートが生み出す撮影したくなる動機

スマートフォンの登場を一つの切っ掛けとして、製品を販売した後で機能や性能が向上するアップデートをメーカーが提供するようになりました。主にソフトウェアによっておこなわれるもので、デジタル製品の特性の一つであるバグ(不具合)の修正の仕組みをより積極的な製品価値向上に利用しようとしたものです。

私のメインカメラであるLUMIX G9Proにも6月9日にファームアップが実施され、この週末にアップデートしたカメラを持ってさっそく撮影に行ってきました。

いつも撮影にいく場所でしたが、カメラがどんな風に変わったのかという興味によって、いつもと違う感じで撮影することができました。

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撮影のモチベーション

理想的な撮影のモチベーションは、撮影者として表現の意図を模索し、イメージを新たに生み出していくことです。これを続けていくことができれば、同じ道具で同じ被写体に対しても、撮影を続けることができます。

ところが多くの人は、そこまで作家性を追求することは無いため、被写体の変化や道具の変化をきっかけにして写真を撮るということも重要です。

被写体の変化は、桜や紫陽花の季節や雪が降るなど撮影対象がカメラを持ちだす機会になり、私をはじめこのパターンで撮影を楽しんでいる人が多いのではないでしょうか。

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今回の記事では第3の道として「道具」のアップデートによる撮影へのモチベーションについて考えてみます。

新しいカメラを買った直後は撮影のモチベーションも高く撮影に出かけたりしますが、しばらくするとカメラを持ちだす機会が減ってきます。レンズやカメラを頻繁に購入する訳にはいきませんので、それ以外の方法でモチベーションを作り出そうとすると「アップデート」が一つの方法になってきます。

アップデートの種類とメーカーの狙い

カメラのアップデートには有料・無料のものがあり、多くの場合ハードウェアアップデートは有料ですが、ソフトウェアは無料で提供されます。有料のアップデートは別にして、無料のものは何のためにメーカーが提供しているのでしょうか。

一台のカメラを長く使ってもらうことで愛機になっていき、その延長にブランドロイヤリティの醸成、レンズシステムの拡充を進めてもらいカメラビジネスを成り立たせようというのがメーカーの狙いとなります。

使い捨てのように陳腐化したカメラを手放して新しいカメラを購入する行為は、有難いユーザーではありますが、レンズ拡充の予算を減らしてしまいます。少しでも長くカメラを使ってもらって複数のレンズを買ってもらうことでシステムが完成し、次のカメラも同じメーカーを購入してもらえます。

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ハードウェアアップデートのSIGMA fp

これまでも同じハードウェア交換サービスとしてはPENTAX K-1のメイン基板を交換しPENTAX K-1 Mark IIと同等にするという非常に大規模なものから、レリーズボタンの動作調整のような小規模なものまでありました。

今回のアップデートは操作系の誤操作を防止する方向のもので、機能アップするものではありませんが、愛着を増すための投資と言えそうです。

fpは同時にファームアップもおこなわれていて、2つのカラーモード「パウダーブルー」「デュオトーン」が追加されました。その他に多くの機能追加、UI改善も盛り込まれており、ソフトウェアアップデートのお手本のような内容となっています。



AI学習アップデートのLUMIX G9Pro

今回のG9Proのファームアップでは、人物への認識パターンが改良され認識範囲が広がりました。(他にも動画関連機能の向上など)

AI技術による被写体認識はディープラーニング技術によって多くの画像を学習することで認識パターンを生成しカメラに組み込み実現します。画像をたくさん集め学習させ精度をあげていくことになります。そのため今後も発売後のアップデートとして重要な項目になってきます。

これまでのアルゴリズムによるAF精度向上と違い、AI学習による精度向上はパターンファイルのアップデートで実現するため、ユーザーごとに違う認識させたい被写体へ対応することも可能です。

ユーザー参加型で画像を収集し、そのメンバーにアップデータを配布していくような新しいアップデートの形が広がっていくかもしれません。



「毎月アップデート」を思考実験してみる

もし毎月アップデートがあれば、それを試してみるために撮影するというモチベーションにつながります。

機能を追加していくようなアップデートは開発・検証作業を考えると実現するのは難しいのでそれに代わるコンテンツが必要になります。一番現実的なのがピクチャーモードのパラメータ設定を配信する方法です。

こちらはPENTAX Jlimited 01のフォトグラファーセッティングの例

実質的にはメーカー主催のフォトコンテストの「お題」のような感じになり、配信されるとInstagramやTwitterに同じ設定で撮影された写真がタグ付きで共有されるのではないかと想像しています。

一方で、毎月だと有難みやワクワク感が減ってきてしまうような気がします。配信間隔を3ヶ月や半年単位にすればもう少し高度なコンテンツが提供できるようになり丁度良いのかもしれません。

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最近のスマホには「〇年間アップデート保証」をうたう製品が出てきています。デジカメでは各社ともフラッグシップ機に対しては1回以上のアップデートが期待できますが、明確に保証されていません。

これを保証するためには、開発費用を捻出する仕組みが必要です。アップデートを有料にしたり、メンバーシップ制にする案もありますが、レンズを新規に購入すれば1年分のアップデートサービスがもらえる案が面白いと思います。ユーザーは2つの目的でレンズを購入するインセンティブがあがりwin-winの関係になれるはずです。

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