見出し画像

カメラは分解>再構築されていく

クラシックなカメラスタイルをデジタル技術で実現することが、スマホとの差別化を進めた現在のカメラの到達点です。2000年前後にはそれまでのフィルムという束縛から解かれ自由なスタイルのデジカメが登場していましたが今はフィルム時代のスタイルを再現することで新しいカメラとしてのスマホとの距離を作っている状況です。

初期のデジカメは、デジタルならではの新しいスタイルを模索していたが、その後はどんどん昔のカメラスタイルに向かっていくことになる。

ところが、2020年ごろから再び新しいスタイルのカメラが登場してきています。その辺りをもう少し詳しく見てみます。


システムカメラの広がり

従来の「システムカメラ」といえばカメラボディとレンズ、ストロボ、バッテリーグリップなどのことを指していました。

最近では、動画撮影のためのジンバルやリグ、ティザー撮影のための通信環境とコントロールデバイスといったものとの親和性が重要になってきています。


その中でカメラはシンプルで拡張性の高い「モジュール」となり、映像系、記録系、操作系の各デバイスと組み合わせるという考え方が生まれてきました。

システムの範囲が広くなり複雑化する一方で、システムを組む楽しさや、それぞれの状況に最適化した使い勝手を実現できることが魅力になっています。システム構築自体がクリエーターのアウトプットの一つのようになってきていると言え、今年のCP+では皆が知りたいことの一つとして強調されていました。

撮影領域の拡大、表現の多様性といったカメラが持つ永遠のテーマに対して、ドローンにカメラを搭載することでこれまで撮れなかった映像が撮れることは象徴的な変換です。



シグマとパナソニック、ソニーのモジュールカメラ

そもそも一眼レフは様々なレンズをはじめフラッシュやモータードライブなど周辺機器を接続する存在でしたが、それを明確な機能として形態に落とし込んできたのがSIGMA fpです。

スクエアで小型な形態によってドローンや動画用のリグがスッキリと組めるだけでなく、公開された3Dデータを使ってオリジナルのオプションを作る提案もされています。持っているだけで夢が広がるようなカメラです。

・・・

それに刺激を受けたのかどうかは分かりませんが、今年に入ってパナソニックとソニーからモジュールカメラのコンセプトを持つムービーカメラが出てきました。

どちらも動画に特化したカメラで、映像のためのシステムを組みやすい工夫がされています。



クラウドファンディングで登場したAlice

上記のモジュールカメラの動作の中心はあくまでもカメラ内にありましたが、さらにコンセプトを進めたのが「スマホ連携カメラ」という考え方です。

カメラ部は撮像と基本のデータ処理だけおこない、ユーザーインターフェースや最終的な画像処理や活用部分はスマートフォンに持たせてしまう方法です。

この方式のメリットは、スマホの処理能力の進化を利用することができ、SDKを用意しておくことで誰でもアプリを作成でき応用が広がりやすいところです。プログラム環境がオープンになっていることでメーカーが想定していない使い方ができるようになります。

これまでもOLYMPUS Airなどそのようなコンセプトのカメラが登場してきましたが広がるまでにはなっていませんでした。そんな状況の中で最近クラウドファンディングで登場したのがAlice Cameraです。

スマホ連携、SDK、3Dデータの一通りの要素が揃っていたOLYMPUS Air


Alice CameraもOLYMPUS Airと同じマイクロフォーサーズマウントを採用していますが、システム全体のコンセプトとしては撮影を楽しむよりもよりクリエイティブな活動のためのプラットフォームを目指しているみたいです。

既にクラウドファンディングは成功し、2021年10月にはユーザーの元へ出荷されるようです。どんな活用がされるのか今から楽しみです。



さらに今後5Gの普及が進めば高度なAI処理をサーバー側で行うことも可能になってきます。これまでのスマホ連携カメラはInstagramやYouTubeに高品質のコンテンツをアップするためのソリューションの一つでしたが、通信技術が進化することで処理の役割分担が変わり新しい可能性が生まれるはずです。


SONY α1にXperia PRoを組み合わせた場合と同様に、カメラにとって通信は重要なシステムの一部となっていく。

各社のスマホアプリが登場してから10年近くが経ち、画像の取り込み、画像加工、カメラリモコンなど機能が横並びになってきていますが、今年から来年にかけてスマホとカメラの関係が大きく変わるようなアプリのアップデートがあれば面白くなってきそうです。






この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?