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CP+2020の見ドコロ【バーチャルツアー】

2/14にCP+の中止が発表されました。各社のショールームを回らなくても最新のカメラやレンズを比較できるイベントとして楽しみにしていましたが残念です。

ただこの3年の間にカメラ業界で起きたさまざまな変化の中で、ラインナップやメッセージが万全では無いメーカーなどは、正直ほっとしているところもあると思います。

CP+が中止になった今、体制を立て直し、ビジネスストーリーを再確認して、オリンピックに向けて各社がそれぞれのテリトリーで最大限のメッセージを出していくことになります。

ユーザーから見ると未発売のカメラや高価なシステムを手に取って撮影できる場所がショールームかファンイベントにいくしかなくなりますが、メーカーにとっては年間を通したユーザーとの接点を持つ機会が増えることに繋がりますので、これまで以上にエンゲージメントを高められる可能性がでてきました。

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各社の新製品発表も一通りおこなわれました(パナはまだかも)。これから詳細が発表されるものもありますが、今年の見ドコロを整理して、私の妄想でCP+をご案内いたします。

ではバーチャルツアーに出発です。こんな視点で回れたら楽しかっただろうなーと思いながら書いてみました。


CP+ 2020今年の特徴

①一眼レフなのにミラーレス

ニコンのD780など、ミラーを持つ一眼レフで、ミラーを使わない撮影方法が注目されています。ニコン、キヤノンともファインダー撮影に対して「ライブビュー撮影」と呼んでいます。

撮像素子に位相差センサーを組み込んだり、AFエリアがミラー使用時よりも広かったり、瞳AFが使えたり、連写速度が高かったりとミラーレスと同じ謳い文句が並んでいます。

オリンピックスペシャルモデルとしてニコンD6、キヤノンEOS1DXIIIに外付けのEVFファインダーが発表される可能性があると考えていました。そうすることで初めてソニーα9IIにスペック的に追いつくことができるからです。今回は残念ならが確認することはできませんでしたが、まだオリンピックで突然使われる可能性はあるので楽しみに待ちたいと思います。

さらに将来は、富士フイルムのX-Pro3のようなOVFとEVFがハイブリッドに使える一眼レフが登場するのではないかと予想していますので、来年のCP+で注目していきます。


②オリンピック観戦・撮影の擬似体験

オリンピックの各競技が観客席からどの程度の大きさで撮影できるのかを上手く展示することができれば、最近充実してきたブリッジカメラ(懐かしい呼び名)こと高倍率一眼スタイルコンパクトカメラ(だけど全然コンパクトじゃない)の魅力をアピールできます。今回はそんな展示が印象的でした。

パシフィコ横浜の会場を上手く使って、ショールームでは体験しにくい遠距離室内の撮影体験を提供したことで、オリンピック本番のイメージが掴めたユーザーが多かったのではないでしょうか。

観客席から500mmから1000mm以上の望遠レンズを使いたい場合には、撮像素子が小さいことで振り回せるサイズになるため、運よくチケットが当たった人は購入検討の対象になります。

双眼鏡を買うよりもこちらの方が手振れ補正も付いていて選手の顔をハッキリ見られるのではないかと思います。その辺りの使い勝手も実際に確かめてみたいと思います。


③メモリーカードが一杯

各社のブースを回って、最新カメラで撮影を楽しんできました。動きものに対する20コマ/秒の連写を何度も試し、4億画素の撮影をしたら準備したメモリーカードがあっと言う間に一杯になってしまいました。

家に帰ってからPCに取り込み、全てを確認するのにかなり苦労しましたが本当にワクワクする体験ができました。これがオリンピックの本番で活かされて選手の一瞬の表情を捉え、スタジアムを埋め尽くす世界の人々の表情まで分かる全体写真となって見られることが楽しみです。



③メインになってしまう?サブカメラ

ついに富士フイルムからX100の後継機種が発表されました。CP+の会場でこの広角レンズを楽しめる展示は難しいと思いますが、手に取ってみたい第一候補となります。

実は一眼カメラユーザーの中に「レンズ疲れ」みたいなものが起きているのではないかと考えています。

魅力的なレンズが沢山でてきますが、使える予算は限られており全てを買うことができないのでそれがストレスになってしまいます。買った後はどのレンズを使うか迷い、沢山のレンズを持ち歩き、レンズ交換を頻繁におこなうことで、何となく疲れてしまうというものです。さらに特定のレンズばかりを使う様になりレンズ交換式カメラに罪悪感を持つようになるとかなり末期症状です。

X100Vに対するツイートから、単焦点レンズ1本で世界を切り取ることへの憧れを読み取ることができます。サブカメラだと考えられたものがメインになっていくシナリオが浮かんできます。

リコーのGRには直接並べるレンズ交換カメラが無いので表に出てきにくかったのですが、X100Vは同じ富士フイルムのカメラから機能的に移行できるのでそれがツイートに現れています。

CP+の会場ではGRを手に持ったユーザーも、敵情視察のため列を作ることになると思いますが、現X100ユーザーとの衝突(交流)が楽しみなところです。


④ストリートスナップへの対応

富士フイルムのX100Vのもう一つの話題は、プロモーション動画を発端にストリートスナップのマナーについてです。CP+までほとんど時間の無い中で各社・各フォトグラファーの中には内容修正に追われている人たちが沢山いたと思います。

写真はそれを見ただけでは、写っている人がモデルさんか一般の人か見分けが付きませんし、撮影許可・公開許可を得ているかも分かりませんで、人物の写っている写真は全て無くすか、「許可を取っています」と掲載するかのどちらかをしてくる可能性がありました。実際には例年と変わらなかったように見えましたがいくつかの写真は外されていたのかもしれません。

今年はオリンピックで東京という街も大きく変わる年です。被写体としてこんなに面白い年はありません。それらをアマチュアカメラマンも気持ちよく撮影できるように、CP+を切っ掛けにしてCIAP(CP+の主催団体)には社会に向けたメッセージを送って欲しいと思います。

またこれはUXデザイン(製品とユーザー行動の関係性)の問題です。各社のデザイナーが集まって議論する場も必要だと思います。議論を公開する必要はありませんがデザイナーが対話を通じて文化的な意識をもつことを期待しています。


現実に戻って

CP+が来場者やスタッフの健康と安全のために中止としたことは、カメラ業界が社会と乖離した存在ではないことをメッセージとして出すことになり、本当によかったと思います。

銃の規制、タバコ、経済成長と地球環境など、多くの対立が生まれる世の中で、写真・カメラもその範疇に入ってきている危機感を感じます。そのコミュニティの中にいれば「何も問題無い、むしろ正義のためにやっている」と感じるところが良く似ています。

とにかくユーザーとメーカー、メーカー同士、そして写真を趣味にしていない人たちと広く対話をしていくことを望んでいます。


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