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会社の中の情報デザイン

会社という組織は情報という血液によって動いており、製品やサービスという排泄物を出している。

というのは冗談であるが、人体と会社を対比するのであれば情報は神経を通る電気信号なのではないかと思われるかもしれないが、実は神経というのは社長からの通達や部下からの報告書みたいなもので会社の中の情報の一部でしかない。

人体は神経以外にも様々な情報伝達物質がリンパや血液を通じて身体中を巡り生命活動はおこなわれている。特に各臓器から発せられる情報は身体のバランスを保つうえで重要な役割を果たしている。


会社の中には噂話から、部下のため息、上司のため息まで実に様々な情報が発せられている。それらの情報を拾い集め活用するのがデザイナーの考える「情報デザイン」である。

デザイナーの思考法を他の業務のも取り入れようとする「デザイン思考」とは、つまりそういうものなのである。

これは単に言葉のニュアンスであるが、情報設計とは公式な情報の流れ、つまり命令報告ラインの関係を規定するものであり、それに対して情報デザインでは社員の感情を含めた影の部分までを情報の対象とする活動である。


例えば残業時間を情報として扱う場合に、単に残業代支払いの経理にだけ情報を使うということは無いと思うが、忙しさのバロメーターとして、業務の内容の見直しや業務環境の改善などにつなげていく場合と、社員のやる気を測ったり、能力の問題にすり替えたりするのでは、大きな違いがある。

ましてや国が管理しろと言うからただ社員に手間を掛けさせて残業申請だけさせて、何のアクションにもつながっていないと言う馬鹿みたいなパターンは悲しい限りである。またそう言うこと自体が社員に分かってしまうと本当に信頼関係が崩れてしまうことになる。

製品やサービスの開発には、デザインと言う言葉が使われるようになってきたが、それを開発している会社の中にもデザインの目を向けないと、本当に良い製品が生み出されなくなってしまう。

先日「レボリューション・デザイン」の記事の中で、デザイン活動は「対象と環境の両方をデザインしないといけない」ということを言っていたが、情報デザインにおいても同じことが言える。

社内向けのデザインと言うとパワーポイントを綺麗に清書して、自分の考えをより伝わるようにすることと考えている人もいるが、もっとデザインを深く理解しなければならないと思うし、特に情報デザインの視点では情報収集とアクションの関係を明確にしておかなければ社内に不信感が増す結果となるので注意が必要だ。


脳と神経が人間の身体を活動させていると言う認識は表面的には正しいが、その奥では臓器どうしが情報を交換し合い調整していることや、無理をするとその機能が上手く働かなくてなることをメタファとしてデザイン思考の本質について理解してもらえると嬉しいなと思う。

組織やプロセスをデザインし、プロトタイピングツール、デザイン環境を作る仕事をしているが具体的なことは書けないので、例え話しとして書いてみた。


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