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<空想新書>アナロジー思考

「思考」とは解りきった計算や判断を作業としておこなうことではなく、ぼうっと想像力を使って考えている状態のことです。

細かく具体的な設計や計画をするではなく、「大雑把で抽象的に」頭を使っていることと言えます。

頭が良い人の方向性は二つに分かれてきています。ひとつはデータを分析して論理的に答えを出す人ですが、イノベーションが求められている時代には物事を抽象的に考えて感覚的に答えを出す人の方が必要なのです。

本書の「アナロジー思考」は、この世の中にある思考法の本質は何か?という視点から書かています。誤解を恐れずに言えば「思考の思考」と言えます。

説明が遅れましたが、アナロジーとは、類似、類推、類比の意味です。

本来、思考とは物事の中にあるパターンを抽象的に抽出し、異なる物事を結び付けて、そこに新しい意味や再利用できるものを見つけることですので、その変換ツールとして必ず「アナロジー」を用いることになります。

つまり複数の対比できる物事に対して、構造が似ている、外見が似ている、意味が似ている、というように「類似点」を見つけて、またその結果として差異についても認識する視点のことです。

物事には人の数だけ認識の視点があるため、どの点から類似性を見つけるかは無限にあるわけです。



歴史に学ぶ、外国では・・、俺が若いころは、というのは全てこのアナロジー思考が生み出すものですが、世の中にはビックリするようなイノベーションに繋がった例が沢山あります。

もっとも基本的なアナロジーは「言葉」です。ほんとうはひとつづつ異なる石を「石」という言葉で記号的に扱うことで同じものとして扱うようになりました。

この言葉を紡ぐことで作られるのが「物語」です。本来同じ環境や境遇でなければ味わうことができない感情を、自分が経験した類似の出来事から類推することによって想像することができるようになりました。

自分の事として置き換えることで相手のことを思いやる能力によって、人間は共同体を作り上げ現在の繁栄へと繋がっていったのです。



最近では、パンを二つに割って、さらに2つに割ってと繰り返していくとどこまで割ることができるだろうと想像し、分子や原子、そして素粒子の発見へと進んできました。

また逆に、関係しあう複数のものが、何重構造にもなっていて、それが宇宙全体やさらに、複数の宇宙という風に考えられるようになってきました。まだ複数の宇宙は確認されてはいませんが、アナロジー思考を使えば1つあるものは2つ以上ありそれを束ねる何かがあるということから簡単に想像できる訳です。



このように人類の誕生においては水平方向(同一階層)のアナロジー思考による認識がコミュニケーションを可能にし、近年の科学技術の発達や世界観の概念を大きく飛躍させたのは垂直方向(フラクタル的な類似性)のアナロジー思考だったのです。

これから人類の脳は、AIと融合し機械学習によって飛躍的に類似性の発見能力が高まってくるとされています。ビックデータの中から誰も思いつかなかったようなパターンを見つけることで、宇宙の真実にたどり着けるのかもしれません。

本書は「アナロジー思考」という、ビジネスに役立つ思考法のようなタイトルとなっていますが、人類とは何か? 私たちはどこから来てどこへ行くのかという過去と未来を結び付ける壮大な旅の物語だったのです。


空想新書は本のタイトルとインデックスを見て、自分が想像した内容、期待する内容を書き出す(タイトルとインデックスの)読書感想文です。
実際の書籍の内容とは異なりますのでご了承ください。

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