見出し画像

AIが人事評価をするとどうなる?意外な事実!

最近ではチャットGPTなどのAIツールが、身近でも活用されるようになってきました。AIは、ビッグデータなど膨大な量の情報を瞬時に解析することを得意とします。特にマーケティング分野では消費者動向の予測など、その活用が進んでいます。
しかしそれは、マーケティングだけにとどまらず、従業員の人事評価にも活用されるようになってきているのです。そこには意外な事実が発見されたのです。


AI評価を導入する企業が続出

IBMでは、自社のAIである「ワトソン」を、賃金を決定する際の人事評価の判断基準に取り入れました。また日本の防衛省でも、今後、人事異動や評価などにAIが査定するシステムを開発導入する予定です。

定量的なデータにもとづいて、AIが客観的に査定をすることは、一見公平な評価になるように思えます。もちろん、AIにも偏ったデータを学習することで生じるアルゴリズムバイアスは発生します。それでも人間よりは正しい評価を導けそうです。

ではAIが下した評価を、従業員は納得して受け取ってくれるのでしょうか。

人に評価される方が喜ぶ

テキサス大学の助教授ギゼム・ヤルチンらは、企業に提出した申請書(融資や何らなの便益をもとめるもの)の審査が、AIによるものか、あるいは人によるものかによって、申請者の反応が異なるかを調べました。

すると、申請が却下された場合は、AIによるものでも人によるものでも、申請者の反応に違いはありませんでした。ところが、申請が“承認”されたときの反応は異なっていました。
人に承認されたときの方が、AIに承認されたときより、結果は全く同じであるにもかかわらず、申請者の喜びが大きくなったのです。

AIに数値的に判断されたときより、人に承認されたときの方が「うまくやれた(認められた)」という感覚が持てたからではないか、と研究者たちは述べています。一方で申請が却下された場合は、AIでも人であっても「判断を下した相手が悪い」と考える傾向が同程度にありました。

つまり人々が自分自身に抱く感情は、だれに評価されるかによって変わる可能性があるということです。

悪い知らせはAIでも変わらない

また別の研究でも、あるオンライン労働プラットフォームに参加する労働者に、調査会社が立ち上げた特別員会に申し込むよう依頼しました。彼らの半数にはAIが申込内容を審査すると伝え、残りの半分には人が審査すると伝えました。ここでも同様に、人間が審査し入会を認められた人の方が、調査会社に対してポジティブな感情を抱き、却下された場合では、その違いはなかったのです。

悪い知らせであれば、人が判断に関与した方が納得感は高まり、「良い知らせであれば、人でもAIであっても良い知らせなのだから変わらないのではないか」と、直観的には思いますが、実際は違うようです。

必要なのは上司からの直接の賛辞

人事評価の査定にAIを活用する企業は、今後も増えてくると予想されますが、その際であっても、人を査定プロセスに能動的に参加させることで、ポジティブな反応が得られることは研究からもわかっています。

またAIが査定をする場合は、その過程がブラックボックス化する傾向があり、それが従業員の不満にもつながります(AIはデータからその確率を分析するのであって、なぜその従業員がB評価なのかは、説明することができないのです)。そういった意味でも、人の関与は大切だといえます。

とくに良い評価であれば、「上司から認められた」という感情を抱かせることが大事です。人々が本当に求めているのは、上司や同僚からの期待や賛辞なのです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?