見出し画像

逃れられない懇親会のアウェー感

   シンポジウムやワークショップに付き物の「懇親会」。僕はどちらかというと懇親会の類が苦手。昔から馴染めていない空気感に過敏であるためか、「会話の輪の中に入れるのか」という不安がいつもある。

(余談:スタバの社長だった岩田さんの本で同じことが書かれていたように思うけど、会社の飲み会も苦手。本題のところで率直に意見できる機会があるなら、飲み会なんて、別に場所・時間・金をかけてやる必要はないと思う。労働の対価として自身が自由に使えるはずの金銭を「半強制な仕事」とも言うべき飲み会に費やすことへの抵抗感。仕事とプライベートを強制的に一体化させることへの抵抗感は、僕の場合は特に大きい。)

   さて本題の懇親会。カタチだけでもつながっていたいのか、それとも個人としてもつながっていたいのか。程度の差こそあれ、英語でNetworking ReceptionもしくはMixerと言われる通り、人脈作りこそが懇親会の目的。

   僕は懇親会では「ぼっち」である事も多い。
畑違いの業界のシンポジウムに出向くことが多いため、致し方ない。だから、名刺交換をしたい方とさらっと会話して帰ることが常。ただ、とても関心ある方で個人として意見を聞きたい方には、なぜそう考えたかを深く聞くことはある。ただその時は1対1で話しているので、会話の輪とは違う。

   懇親会では、会話の輪がいくつもできる。
僕は、会話の輪がどれくらい前提知識(専門知識というより、業界の人脈に関する知識)を話しているかを外から眺めて、その輪に入れるかを考える。アート、サイエンス、IT、サービス、製造業…業界によってその輪の入りやすさは違うけれど、その中でもデザイン関係のシンポジウムの会話の輪が、飛びぬけて入りづらかった。

   アートとの違いを考えながら書いてみる。そのシンポジウム直後に六本木アートナイトに出向いた。アートはそれぞれの感性との対話だから、芸術的な知識をもたない一般人とも会話の輪ができていた。一方、デザイン関係のシンポジウム懇親会。「**さんの紹介です」「**さんは**ですよね」という人脈に関する知識で、仲間内を囲い込む空気が出来上がっているように感じた。実際に、輪の中の会話は「**について私はこう思う」という話を深められる類のものというよりはむしろ、「**さんと**さんがつながっていて…」という人脈の会話が殆どな印象があった。果たしてそれで、人脈のないアウェーな人はその輪に入れるのだろうか?

 仮に僕が業界人として、その会話の中で無邪気な意見をしたら「面白い意見だね」と受け止めてもらえるだろう。でも、実際にはそうした業界人脈に関する知識もない。会話の輪に入って無邪気な意見をしても「何だコイツ」と思われてしまうかもしれない、そんな空気感があった。「デザインを仕事にしている」という肩書が無ければ輪に入れてもらえないような排他的な空気を感じた。専門知識は何とでも得られるけれど、人脈や業界に関する知識だけはどうしようもならない。あくまで僕の受け止め方でしかないけれど、人脈で他業種と差別化できている(と思っている)自分たちに酔ってる印象もあった。デザイン業界の閉鎖性は相当なものなのかもしれない。

 今回は懇親会費も参加費に含まれているシンポジウムであるのに、懇親会に参加せずに帰っていった人が一定数いた。都合が悪かった、懇親会で積極的に会話するのが苦手だ、という方ももちろんいるのかもしれないけど、僕のようにぼっちになる不安もあったのだろうか、とふと思った。

 本当に参加者全員のNetworkingが目的なら、主催者は業界人に対してアウェーとなりうる人への接し方を考えるように言うべきではなかったかと思う。そうでなくて、実際は業界人のための懇親会なら、正々堂々、アウェーな人は排除してClosedでやればいい。
 でも、そうした線引きする責任を持つ覚悟はなくて、結局「誰でもwelcome」と、門戸は広げる。それなら門戸を広げた主催者の責任として、例えば参加者同士が話せるパートを設けるなど、来てくれた人のために配慮や工夫をを考えなければならない。そのはずが、主催者はそのようなことに気が回らない。アウェーとなる人はいないと思っているか、そもそも来場者のための行事ではなく、やること自体が目的化しているか。おおよそ理由なんてそんなものだろう。結果、来てくれた人、特に作法を知らないアウェーな人がどうすればいいか路頭に迷う。当初のNetworkingという目的を達成する責任はすべて参加者にのしかかり、自己責任論に帰結。これはただのシンポジウムの懇親会に限ったことではなく、いつまでこのような無責任な態度を取り続けるんだろうと何かにつけて思う。その最たるものが、直近の医学部入試差別問題。写真の通り早速面白い作品がアートナイトに。

#東京減点女子医大 #六本木アートナイト