勤路記48.知らんでいい顔

明け方、全家族がタオルケットにグルグル巻きになっている。秋だ。

着る服が見当たらず、ではこのクローゼットや引き出しを圧迫している布たちはなんなのだ、と途方に暮れるのも季節の変わり目の風物詩ですね。


制服と制帽をかぶった男子園児が祖父と思われる男性と手をつなぎ、しっかり前を向いてテキパキ歩くのとすれ違う。立派なお孫さんですね、と声をかけたくなるほどシャンとした園児で、ジィジの鼻もさぞかし高かろう。

でもうちの子も祖父母と歩く時はあんな風にするかもな。あの子も親と一緒の時は謎にぐるぐる回ったり登らなくていい縁石に登ったりしてるんだろう。

そのすぐあと、黒髪ロングの華奢な女の子が男の子の腕にしなだれかかり歩くカップルを見た。
男の子はこれぞ「デレデレ」という顔をしていて、着てるTシャツには「Paradise」とプリントしてあった。そうだろうよ。

あんな風にデレデレした顔を親を含む近親者が見ることはないんだろう。
別に見たかないからいいけど。

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