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【はじめての】YOASOBI 『好きだ』歌詞考察 ラスサビに隠れた真実とは?

 日本を代表する四人の直木賞作家とYOASOBIのコラボ楽曲『好きだ』を歌詞及び、原作小説を参照しながら読み解いていきます。
 このnoteでは、『はじめての』中の「はじめて告白したときに読む物語」
原作小説「ヒカリのタネ」のネタバレを含みます。曲と原作の解釈がかみ合う感動を味わいたい方はまず、『はじめての』を読んでからまた来て!


あらすじ

 物語は二人の女子高生の恋バナからはじまります。ワンピースをバイブルとして生きる主人公の由舞(ユマ)は””のことが忘れられず、小学校からの親友ヒグチへ助けを求める。こんな他愛のない日常はある出会いをきっかけに一変し、彼女はあり得ない方向へと事を進めます。彼への思いを、もう一度初めてのものとするために。

1.急にいてもたっても

急にいてもたってもいられず
友達にSOS
話聞いてほしいんだ
やっぱり 私彼のことが

YOASOBI『好きだ』

 長い年月片思いをしている様子の主人公ですが、急いてもたっても居られずに親友のヒグチにSOSの通話を持ち掛けます。柿ピーをぼりぼり貪りながら「やっぱり私彼のことが」しかし主人公の思いは真剣です。

2.「そんなこと知ってるもう何度も」

そんなこと知ってる何度も
薄っぺらなそんなリアクション
耳がタコができててもいいから聞いて
我慢できないんだ
いざ彼に四回目に告白を

YOASOBI『好きだ』

 葛藤する主人公に呆れる親友ヒグチ。それもそのはず、耳にタコができるほど彼女の相談を受けているのですから。さて、現在進行形で親友を苦しめている主人公の悩みはなんと4回目の告白!これは相当重症ですね。

3.期待薄い告白なんて

期待薄い告白なんて苦いだけ
友達でいいよ
すれ違いざま ひと言交わすだけ
それだけでいいなんて
思ってたのに
頭から離れない君の声

YOASOBI『好きだ』

 そんな片思いから脱却するため、主人公バレー部に入部したり教室やSNSで積極的に友達を増やしたりて、彼(椎太)一色だった日々を塗り替えようとしました。しかし、学校でたまたま椎太と1、2分話しただけで主人公の3年にもわたる禁欲生活が水の泡になってしまいます。

4.もしも君に想いを一度も

もしも君に想いを一度も
伝えていなかったらなあ
慣れた告白なんてちっとも
ときめかないよね

YOASOBI『好きだ』

 過去の自分の行いを後悔する主人公。「過去の告白がなければ…」と悲観します。4回目の告白となると「しつこいって椎太に引かれたらヤだな~」と流石に考えます。では彼女の1~3回の告白はどのようなものだったのでしょう。

5.初めて思い伝えた10年前

初めて思い伝えた10年前
あまりにも無邪気だった
次の5年前も軽すぎたし
次の3年前もそうだ
もしも根こそぎ全部やり直せたのなら

YOASOBI『好きだ』

 3年前、中二の初夏。運動会の閉会式が終わる手前にした3度目の告白。
5年前、小六の春。互いの進路が別々なことを知ってした2度目の告白。
10年前、小一の二学期。自意識すらおぼろだった頃にした初めての告白。
そんな後悔を振り返っていると友人から驚きの指摘が飛び出してきます。   「私、タイムトラベルの手伝いをしてくれる人、知ってるんだけど

6.さあタイムトラベルだ

さあタイムトラベルだ あの日まで
取り返そう 初めての告白を
全部全部無かったことに
それでいいんだ
それでいいんだっけ

YOASOBI『好きだ』

 ヒグチの紹介もあって主人公タイムトラベルすることになり、その世界で告白しようとする過去の自分を阻止します。
3年前、告白しようと廊下をダッシュしてる過去の自分に足をかけ転ばせ、
5年前、告白しようとした過去の自分の背中に体当たりで池に突き落とし、
10年前、一緒に植えた芽が出るはずのない柿の森を偽造しました。
 しかし、すべてのミッションを終えた主人公を不安と後悔が襲います。大好きなワンピースも柿の種も部活に打ち込むことができたのも彼(椎太)のおかげなことに主人公、今更気づきます。彼(椎太)は彼女にとって光の種だったのです。

7.何回フラれてがっかりしたって

何回フラれてがっかりしたって
苦い想い繰り返したって
その度触れた君の好きなものが
いつしか私の好きなものになったんだ
それはかけがえのない今の私の宝物
失敗してもいいもう一度言うよ
私君のことが

YOASOBI『好きだ』

 「私君のことが」含みが感じられるいい歌詞ですよね。ここが原作小説を読む前と後とのストーリーの感じ方の分岐点だと思います。学校の屋上、主人公が告白しようと口を開いた途端、聞き心地のいい声がそれを遮ります。なんと彼から主人公に告白したではないですか!彼が生きたキョーレツな思い出にはいつも主人公がいて、他の人の彼女になってしまう!と考えると彼もいてもたってもいられなかったようです。
 肝心なタイムトラベルした結果どうなったかというと、告白を阻止された過去の主人公はあの程度で諦める器ではなく、邪魔された後に漏れなく告白したそうです。

まとめ

 いかがだったでしょうか。「はじめて告白をしたときに読む物語」が初めて告白をされた物語なのが面白いですよね。原作小説にあるフレッシュで熱い恋愛の熱い感情が歌われていい歌詞だと思いました。
さて、『はじめての』から『好きだ』を歌詞考察しましたが、この短編集はとても読みごたえがあるので残り3作品のnoteも書きたいと考えています。では、また会うその日に。See ya!

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