地下大図書館

夢の中で図書館に行ったことがあった。それも不思議な夢だった。1階から地上に伸びる建物ではなく、地下深くに降りていく大図書館だ。

真っ暗で、小さなランプの灯りが頼り、地下へすすむほど暗くなり、手元の灯りも飲み込まれてしまいそうなほど。限られた範囲だけを薄らと照らす。階段は、今にも足もとが崩れるかと不安になるほど古い。いや、そう思っているだけで、そうでもないのかもしれないが。なにしろよく見えないので確認できないのだ。

そそり立つ本棚は数えきれないほどの本で埋め尽くされている。どこで終わるのか前も後ろも下もわからない本の壁。1階、地下1、地下2...と進み、本は見慣れた文字から古い書体になっていき、何階まできたのかちょっとわからなくなってきた頃、ついにもう読めない文字になっていた。私は階段のみを利用し、階段の周りに並んでる本のみを見た。各階を歩き回る勇気はなかった。広すぎて迷子になりそうだった。

何階か忘れてしまったといったが、人の足で降りるしかないのだから、10階も降りたかどうかわからない、どこまで降りたかわからなくても、それがその図書館のほんの浅い層だとわかっていた。その階の本は時が経過しすぎてボロボロだった。開くと壊れてしまいそうで、おそるおそる開いた。見慣れない文字が連なっている。全くわからない。また下へと降りると、ランプの灯りでも、その暗さのために、ついには何か書いてある...程度しかわからなくなってしまった。けれど、物音ひとつしない空間にひとりいて、頭の中に、それを朗読する静かな声が聞こえてきそうな気がするのだった。

図書館はどこまで深く続くのか?本も、興味があったけれど、あまりの途方もなさに、ふと我にかえり恐ろしくなって帰ることにした。

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