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♯4:ブルー・ブラック

皆様ごきげんよう、KIRCHAです。
♯3までは私の万年筆のお話を書いていきました。
本日の♯4はインクのお話を。

インクといえば、何色のイメージでしょうか。
黒や青が定番ですが、最近は種類も増えているため様々な選択肢があるでしょう。
本日はその中から「ブルー・ブラック」を紹介していきます。

実は黒インクの話をしようと思っていたのですが、思ったより黒のインクが少なかったためブルーブラックに変更したのはここだけの話です・・・。

まず、「ブルー・ブラック」とは。青なのか黒なのか。

元々、インクの保存性を高めるために作られたもので、見た目は青色のインクですが書いて時間が経つと黒色に変化することからブルーブラックという名前の由来になっています。
このインクは硫酸第一鉄・タンニン酸等を含んだ強酸性のインクで、瓶の中で混ざりタンニン酸第一鉄に変化します。この時点は青色です。
これを筆記し、空気中の酸素と結合することでタンニン酸第二鉄に変化します。この時に黒色になります(正確には茶褐色が近いです)。

で、現在はというと、上記のようなブルーブラックは非常に少なくなっています。
腐食しにくいのは良かったのですが、今度はペンに問題が発生してしまうことになるのです。この時はペン先が本当に鉄であったため、インクの酸に耐えれず損傷してしまうことで、耐えられる金のペン先が作られていったのです。そして今ではいわゆる鉄ペンも、腐食に強いステンレス合金等で出来ているので、よほどの扱いをしない限り、ペン先を損傷することはなくなりました。
そんなこんなでわざわざ強酸性のインクを作る必要性も薄れ、現在はそのほとんどが色感のみを残しているというわけです。
ちなみに作るのも容易ではないため、なおさら生産する理由も減ってきているのが現状となります。

上記のような強酸性のインクを「古典インク」「没食子インク」と言いますが、よく勘違いされているのが染料インクではないという風に聞くことがあります。
他に顔料インクがあり、こちらに分類される方もいらっしゃったり、第3のインク分類にしたりする方も中にはいるようですが、いわゆる古典インクは染料インクの一種になりますので、お間違えなきように。

酸性のインクであるため、鉄ペンに向かないと思われている方もいらっしゃるでしょうが、ご心配なく。
現在の鉄ペン、いわゆるスチールペン先はステンレス特殊合金であることがほとんどなので、長期間そのまま置いておく等、よほどの粗い扱いをしない限り錆びることはほぼありません。
気をつけていただきたいのは、ペン先周辺にあったりするメッキ装飾のリングです。これらの装飾は腐敗を防止するために最近ではないことがほとんどですが、現在でもペン全体の装飾として残っているものもあります(スーべレーンが代表的です)。このメッキ装飾は酸に弱いため、ここにインクが付着して放置されると錆びやすいので、ご注意ください。

また、長期間放置すると古典インクであろうが一般的な染料インクであろうが錆びますので、取り扱いに配慮することで、インクの選択は自由になることも覚えておいていただけるとよいかなと思います。

ちなみに国内メーカーでは唯一プラチナ万年筆のみ、古典インクのブルーブラックを製造しています。
海外では有名なところでペリカンのブルーブラックが古典インクになりますので、興味のある方は是非。

いくつかブルーブラックインクの紹介をしていこうと思ったのですが、長くなってしまったのでまた次回にしますね。
では、本日はこの辺で。

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