【小説】韓流物語#3~面接~
さあ、面接が始まった。
韓国人の30代前半くらいとみえる小柄な女性と、2階のカフェの裏のCDやDVD
詰まった段ボールだらけの倉庫のような小部屋で向かい合う。
「このお仕事に応募された動機は?」
女性は、韓国が好きで応募しましたという言葉が出てくるのを前提に聞いたはずだ。
「韓国に関心があって応募しました」
「。。。それでは、韓国で好きな芸能人とかいますか?」
「あまり知らないんです。ウチの母がイ・ビョンホンとかペ・ヨンジュンのドラマを見てますが」
女性は調子が狂った様子。韓国のエンターテイメントどころか、韓国の何も知らないでよくこんな韓国人しかいないショップに応募してきたなという感じ。
この女性の反応も無理は無い。
私はかれこれこの赤坂時代も含めると約10年韓流ショップで働いてきた。
よく受ける質問に、何でこんな仕事してるの?ときかれることがある。その時に、正直、私はその理由を説明するのに少々困ってしまうのだ。
韓流の仕事を辞めて4年ほど経った今でも論理的に説明できないところがある。
ただ、ひとついえるのは、
自分だけの立ち位置を見つけた
というひらめきといえるかもしれない。
誰も足を踏み入れたことのない未開拓の森の中を木を掻き分けていくような。私が進むのが道のりになっていくような。その山を見つけられた感じがしたのだった。ワクワクできるものが見つかった気分だった。
韓流ショップで働いている自分を奇怪な目で見てくる人は色々いた。でも、自分は自分で、韓国人の中で日本人ひとりが働いている、オレって何て面白いことをやってるんだ、ってな風に、自分で自分をすごく面白いヤツだと思えて、自分で自分を褒めたい、ひとりで誇らしい気分で働いていたものだった。
勿論、韓流ショップで働いていたことは、なかなかツブシが効かない仕事をしてきたともいえる。若いウチは良いが、やがて年齢が落ち着いてきて転職となったときに、なかなか他の業種に転用するスキルが無いのも現実である。
こんなことをいうと、自分で自分を良く言い過ぎだと言われるだろうが、この韓流の仕事をしてきて辞めたのは、何だかプロスポーツ選手が引退するのと似ているような感覚を個人的に持っている。
話を戻そう。
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