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【It's Only Rock'n Roll】(1974) Rolling Stones ワーナー8000番台は米国スタンパー仕様の良音盤!

中学時代にレンタルレコードで聴き始めてからというもの、私にとってローリング・ストーンズは人生で最も一生懸命になれたバンドかもしれません。

お小遣いでレコードを買い集め、CDに全部買い替え、高額な海賊盤を通販で買い、90年代にはチケット欲しさにファンクラブにも入り来日公演は10回近く観に行きました。
後追い世代とはいえ、ストーンズには結構お金を使ったという妙な自負?!があります。

そんな私が当時から大好きで良く聴いていたのが本作【イッツ・オンリー・ロックン・ロール】です。
一般的には表題曲がストーンズによる所信表明だと知られる程度で、全く評価の芳しくない作品。しかも昨今【女たち】(78年)がシレッといつの間にやら名盤扱いされてるのを見るたびに、何故本作は??という悔しい思いになるのです。良いアルバムなのにッ!

それまでのスワンプ路線から、アーバンな音へと本格的に舵を切り始めた記念碑的な本作。楽曲のバラエティも多岐に富んでいてこれを最後にバンドを去る美男ミック・テイラーの麗しいまでのギタープレイも堪能できる絶対的な充実作なのです〜!
今回はわたくし、多少力んで参ります😤

さて、この頃からストーンズにとって問題になり始めていたのがキース・リチャーズのドラッグ癖です。
正直私は本作でのキースの貢献度を疑わしく思ってます。もちろん演奏はしてますし、プロデュースもジャガー&リチャーズのグリマー・トゥインズ名義ですが、実際の曲作りを含めた作業はミック・ジャガー中心ではなかったかと察するのです。

前作【山羊の頭のスープ】から表出たニューソウル、ファンクなど新しいブラックミュージックへの接近も、多分ジャガー主導だったのではないかと思ってます。
ジャガーが書いた曲にテイラー、或いはゲストのビリー・プレストンらが肉付けをしていく…そんな光景が思い浮かぶんですよね。
曲によっては明らかにテイラー中心のものもあります(されどクレジットされず…)。

故に音楽性も幅広く、R&Rに軸を置きながらもポップでマイルドな内容になったのでしょう。そしてそれこそが本作の魅力です。
泥臭い音から都会的な作風への変化は、これ以後のストーンズの流れとなっていきます。

私個人は初めて聴いた時には【メインストリートのならず者】などより遥かに解りやすくカッコよく聴こえました。
ド頭からシャープなR&Rでノリノリ♫
多彩な楽曲が魅力のストーンズ作品です〜。


(アナログレコード探訪)

〜日本初回盤は米国スタンパー仕様〜

ワーナー・パイオニア日本初回盤 P-8474S

ストーンズは1971年に自らのレーベルを設立して自分達で音源管理が可能になります。
日本ではワーナー・パイオニアが発売していましたが、ストーンズ側からの指示だったのでしょう、本作より米国から送られてきたスタンパー(最終鋳型)で日本盤はプレスされています。

日本盤の内周部。米国盤にあるのと同様の
手書き刻印があります。

つまり日本盤=米国盤。なので本作の日本盤はとても音が良いです。以前に状態の怪しい米国盤で失敗した事がありますが、絶対キレイな日本盤が安くてお得です。

あと日本盤の方がビニール素材も良いもの使ってるように思いますね。米国盤って静電気でよくホコリが付くんですよね。

英国盤 COC 59103 、マトリックスA-2 B-2

ちなみにこちらは英国盤。コンディションも良好で低音がドッシリしてますが、聴き比べてみると日本盤の方が高音域が明瞭で、音圧もあり良音でした。

日本盤といってもワーナー・パイオニア初回盤、規格番号 P-8474S という事が肝心です。1978年以降は東芝EMIに版権が移るので、それはまた別。要注意です。

All written by Mick Jagger and Keith Richards
Side-A
① "If You Can't Rock Me" 3:46
② "Ain't Too Proud to Beg" (Norman Whitfield , Eddie Holland)3:30
③ "It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)" 5:07
④ "Till the Next Goodbye" 4:37
⑤ "Time Waits for No One" 6:37

Side-B
① "Luxury" 5:00
② "Dance Little Sister" 4:11
③ "If You Really Want to Be My Friend" 6:16
④ "Short and Curlies" 2:43
⑤ "Fingerprint File" 6:33


A-③ "It's Only Rock 'n Roll (But I Like It)" 
"たかがR&Rさ!"と高らかに歌う表題曲。このスタジオバージョン大好きなんです。揺れるようなノリがイイんですよね。サビに入るとこなんか最高!
ロン・ウッドのソロアルバム製作中のセッションから生まれた曲で、その時の音源を元に録音しています。ロンにとってはその後バンド加入への呼び水にもなりました。

こちらチャーリーが泡だらけになる有名なPV。スタジオ盤とは別バージョンです。

A-④ "Till the Next Goodbye" 4:37
ロマンチックなアコースティックバラード。ストーンズの隠れ名曲だと信じております(^^)
この曲やB-③など本作のバラードは洗練された肌合いがあります。
テイラーがオブリガートで弾くフレーズが何ともメロウで素敵!華やかなピアノはニッキー・ホプキンス。ウットリします。

A-⑤ "Time Waits for No One" 6:37
ミック・テイラーのファンには有名な曲。
前奏が演歌みたいとよく揶揄されますが私は好きです!名曲ですッ!
後半はテイラーの感傷的な名ギターソロ。この方らしい丁寧なフレーズの組み立てが見事私も若い頃に耳コピしました(^^)
ニッキー・ホプキンスのピアノも優雅で素敵なんですよね。ドラマティックです〜。

B-② "Dance Little Sister" 4:11
キースらしいソリッドなギターワークが秀逸。本作のR&Rナンバーはキレがあります。ジャガーも気合充分。
私は昔"Dance"の所が"Dice"に聴こえ、この曲が"ダイスをころがせ"だと思ってました。

B-⑤ "Fingerprint File" 6:33
ストーンズが本格的にファンクに踏み込んだ一曲。フェイザーをかけたギターリフが突き刺さってくるようなカッコ良さ!
ビリー・プレストンがクラビネットで参加しドス黒さを添えてます。エンディングのジャガーの芝居がかった囁きボーカルまで、結構長尺の曲ですが怪しい雰囲気が漂います。

本作はゲストによるプレイが目立つので、やや厚塗りのストーンズといった印象もあり、人気がないのかもしれません。
でも楽曲的には非常に充実しているので、偏見や世間の評価抜きに改めて再評価してほしいストーンズ・クラシックだと思っています。いいアルバムですよ(^^)

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