六道慧の花暦 ブログ戦記(1)

思えば最悪の年だった2018年に、ブログ戦記は始まっていたのだった。
7年ほど前に発症した関節リウマチの医療費がかさみ、とうとう家を売ることになった。リウマチはなかなか合う薬がなく、体調もまた、最悪。仕事はまあまあ続けていたのだが(生き甲斐だし)、こういうときって色々起きるもんなんだね。なんだか、もう、「物書きとしてやっていくの、無理かな」、みたいなところまで思い詰めちゃって……まあ、辛かったわ。

それでも引っ越しはしなきゃいけないわけで、ヨタヨタのヘトヘト状態が続くなか、徳間書店の担当者から「六道さんに会いたいと言っている書店員さんがいる」と聞き、お互いの都合をつけて、逢うことになった。
東京駅のある書店に、彼女はいました。私が行ったときは、レジに入って接客中、徳間書店の営業の方が挨拶をしに行き、ふと目が合った。
彼女は「あ!」という顔をしてくれたので、私は笑顔で会釈。休憩を取って書店の裏の廊下で少しだけ話ができた。

私は困窮していたので、貴金属類みたいな売れるものは売ってしのいでいたから、ネックレスや指輪なんぞは着けていけなくてね。でも、洋服はクズみたいな値段だったから、売らずに取っておけるものは取っておいた。私なりに敬意を払い、可能な限りのお洒落をしていきました。

彼女にも伝わったのかな。大粒の涙があふれ出して、泣きながら話してくれました。小学生のとき、初めて自分のお小遣いで買った本が、私の『羅刹王』だったこと。以来、新刊が出る度に買いそろえてくれたこと。私の小説を読んだお陰で本が好きになり、書店員になったこと。逢えて本当に嬉しいと、喜んでくれた。
私は涙を必死にこらえた。泣いたら止まらなくなることがわかっていたから……。
家に帰ったとたん、本当に玄関扉を閉めた瞬間、涙があふれ出した。泣きながら思った。
「よし、もう一度、頑張る!」
2018年11月30日。引っ越しまで一週間。
忘れられない日になりました。

65の手習いでブログを始めたのは、こうやって今も物書きを続けている姿を伝えるのが、彼女やみなさんへの応援歌になるかもしれないと思ったからです。とにかく、始めるまではインターネットはもちろんのこと、スマホもツイッターもやったことがなくてね。苦労してます(笑)。
(ツイッターは2019年の12月と出ていますが、登録してもらっただけであって、実際に始めたのは2020年の3月から。実年齢は高齢者だけど、ひよっこなんです)。

R・Gさん、お元気ですか? 新型コロナは大丈夫かな?
あのとき、いただいた手紙は大切に取ってあります。書店を辞めるのを決めていたから、私に逢いたいと徳間書店の営業の方に言ってくれたんだよね。
逢えて本当に嬉しかった。文字通り、救われました。
また、いつか、きっと、逢いましょうね。その日を楽しみにしています。


#応援 #生きる力

 















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