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cotonoha2.0の裏側の話

無事にcotonoha2.0.3をリリースしました。

1人だけの開発

ギリギリもギリギリ、というわけではなかったんですが、3月に入ってから睡眠時間がガンガンに減っていました。というのもまあ、全部僕がやっているので、僕しかやっていないので。マジで僕しかいなくて。cotonoha projectが運営とか書いてますが、いやいや僕しかいないです。App StoreやGoogle playで表示されるデベロッパー名なんてガッツリ僕の本名です。

というわけで僕が投げ出せば、このアプリは終わることが確定していました。「アプリが終了すると困るので、自分が代わりにcotonohaのようなアプリを作りたい」という旨のメールをいただいたこともありました。正直このアプリの仕組みはかなり難易度の低いものです。デザインを真似するのはともかく、動きなんかはある程度の知識がある人ならすぐに作ることができます。公にリリースしなくても自分だけが使えるアプリを開発することもできちゃいます。でも多分、このメールの方は「アカウント不要」「広告非表示」という機能だけではなくて、「どんなに暗い内容でも拒否されない」「投稿日時が表示されない」というようなcotonohaのコンセプトに価値を見出しているのではないかなと思ったりしました。だから、是が非でも間に合わせてリリースする必要がありました。

アップデートに向けてソースコードなどを修正していくわけなんですが、まずは今動いているバージョンの中身を理解するところから始まりました。前回開発した記憶なんてさっぱりだったからです。僕は個人でchatGPTに課金しているので、ソースコードやバグで行き詰まったときはバンバンchatGPTに聞いていました。必ずしも正しい答えが得られるわけではないですが、開発のスピードはかなり上がったと思います。1人だけの開発ではありましたが、実質は1.5人くらいの感覚でした。ありがとう。

スケジュールの実態

上記のnoteでも伝えているとおり、今回の大幅なアップデートはデータベースの移行によるものです。それを修正しようとすると他の部分にも影響が出てきて、結局は中身をほぼほぼ全て変更しなければならない状態でした。これ自体は2月の段階ですでに分かっていました。従来まで使っていたデータベースのサービスが3月末で終了し、データが削除されることが決まっています。そのため、アプリのリリースは3月末までに完了していないといけなかったわけです。

iOSやAndroidでアプリを申請するときは、AppleやGoogleの審査に通らないとリリースができないものなんですね。審査はアプリの動作確認だったりがメインなんですが、AppleはGoogleよりも厳しく、リジェクト(申請却下)理由は英語で通知されます。この審査とリジェクト対応に時間がかかることが見込まれたので、3月中旬には審査に提出できるように動くスケジュールを立てていました。

僕はiPhoneユーザーかつmacユーザーでiPadも持っているのでApple系の動作確認は簡単にできるのですが、Androidは少し前に手放してしまったんですよね。動作確認自体はAndroid端末がなくてもできることにはできるんですが、やはり手元で操作できた方が安心です。結局、そこそこの値段のAndroid端末を購入しました。普通に赤字です。数万円が飛んでます。

また、ちょうど僕が本業で開発しているシステムが今週リリースでした。だから本業でも結構ピリピリしていたわけです。そして、資格試験や副業の勉強もタスクが溜まっていました。朝は始業1時間前に出社して、誰もいないオフィスで勉強して、普通に8時間仕事して、帰宅してから深夜までcotonohaの開発をする、という日々を繰り返していました。土日は副業がなければcotonohaの開発を1日中、ざっと10時間以上はやっていました。

そんな生活を過ごして10日以上、基本形態が申請して、リジェクトだのを繰り返して(だから2.0.0ではなく2.0.3なわけです)、審査を通して、公式サイトの修正をして、Googleフォームが送信されると自動で僕のslackに通知がくるスクリプトも書いて、あとは告知用の動画も作って、ようやく辿り着けたリリース日でした。

出オチのようなバグ

スプラッシュ画面についての動作確認を怠っていたので、立ち上げた瞬間にクソみたいな画質の画面が一瞬だけ表示されるというバグが発生していました。こういう甘いミスを多発するような人生を生きています。今このnoteを書きながら修正して、さっきiOSとAndroidともに2.0.4の申請をしました。いずれまたリリースされると思います。

そうしたら3/13にAppleが新たな要件の適用を開始したらしく(リジェクト要件になるのは5/1から)、次回のアップデートではまた新たに対応しないといけないことが増えたようです。実は今回でいうとAppleの審査はすでに3/12に申請していて、2.0.3にはチェックが入らなかったみたいで。なんというタイミング。

ユーザーに支えられた

アプリcotonohaのサービス中止の可能性を発表してから、ユーザーの皆さんからメールをいくつもいただきました。cotonoha上でも色々な言の葉が飛び交っているのを見て、何度も何度もリリースを投げ出そうとした僕を、ユーザーの皆さんが引き留めてくれたという感覚です。数でいえばそんなに多くないのかもしれないけれど、必要としてくれている人がいるというのは開発者の僕にとってそれ以上の喜びはありません。

cotonohaの未来予想図

今後のcotonohaについては、次にメディアの着手をしていく予定です。ただ、試験的な導入としているseed機能がどの程度の需要があるか、アプリも含めて今後もほどほどに開発者として続けていきたいと思っています。seedについては本当にまだ手探りな状況です。誰も必要としなければ中止して、別の方法で何とかcotonohaがやっていける策を考えようと思います。

このプロジェクトのターゲットはあくまでも若者に向けていました。アプリの説明にも至るところに若者向け、10-20代向けと明示していたと思います。気づいた方がおられるかもしれませんが、今回のアップデートから「1人で悩む人たち向け」に変更しました。開発者であってもユーザーの年齢層なんて詳細に分かるわけないのですが、これだけははっきりと言えることとして、悩むのは若者だけではないということです。そもそものコンセプトとして、過去の僕が欲しかったものを開発していたのですが、もうなんか僕は立派にアラサーの世代になって、初めてリリースしたときから随分と見える景色も変わってきました。大人になれば1人で悩むことなんてなくなると思っていたけれど、全然そんなことなかった。

大人なんて子どもの延長戦です。

今年28歳なのに大人っぽいことなんて何もしてなくて、お酒も飲めるしタバコも吸えるし、でもあの頃と同じようなクヨクヨ感で悩んでいる。15年前の僕と同じ、この世界で独りぼっちだと憂いて眠れぬ夜もあれば、どうしようもなく喚きたくなる朝もある。でもそれでもたった一つ違うことは、今悩んでいることはいずれ過去になって、思い出せなくなるくらいに小さくなって、笑い話になる日が必ず来るってことを知っているということです。

明けない夜はないとか、止まない雨はないとか、ありきたりで抽象的な自然概念の言葉をよく見かけるのはきっと、こういうことなんだろうと思います。だけど、大人になったからといって誰でもいつでもそう思えるわけじゃない。だからcotonohaは、どんな年齢でも1人で悩む人たちがいつでも立ち寄れる居場所となってほしいと、在り方を見直しました。

メディアについてはもう少し調整と検討をする予定ですが、アプリについてはこの定義をしばらく続けていこうと思います。

また次の更新で、お会いしましょう。

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