子どもは気づいている!親が我慢してまで子どもに気を遣ってはいけない心理的な理由

子を持つ親だからと言って、無理をして明るく振舞ったり、子どもの前で強がってみせる必要はありません。

母親でも父親でも、辛い時には辛いということをはっきりと示して良いのです。

逆に、本当は疲れているのにも関わらず、「自分は親なのだからしっかりしないと」と子どもの前で気丈に振舞おうとすると、かえって子どもの心理に悪影響を及ぼすということがわかっています。

たとえば、あなたが子どもを持つ親で、子どもがそばにいる時に疲れてしまったりネガティブな感情を持ってしまっても、その気持ちを隠す必要はなく、子どもに素直に接した方が良いのです。

理由としては、どのみち負の感情は隠せないからです。親だからと言って、そして子どもの前だからと言って、無理に強がる必要はないのですね。


ワシントン州立大学バンクーバー校のサラ ウォーターズ博士は、109人の母親・父親を対象に、親の身にストレス性の高い出来事が起きたあとでの子どもとのやり取りについて調査しました。

親たちは、人前でスピーチをして、さらにはそのスピーチに対してダメ出しを受けるという気分が滅入るような最悪な出来事を終えたあとで、子どもたちとレゴブロックで一緒に遊ぶように言われます。

その際、一部の親は感情を抑えるように、一部の親は自然に接するように指示を受けて実験に挑みました。

すると、無理にストレスを抑えようとした親たちは、レゴ遊びに積極的になれず、子どもと一緒に触れ合おうとしない傾向があったのです。

そしてその親の行動を見て、子どもたちも反応が悪くなり、親に対してポジティブな行動を取れなくなってしまいました

まるでウイルスが感染するように、親から子へとネガティブな感情が伝わった結果、親子関係が冷めたものになってしまったのです。

また、このとき子どもたちは、父親よりも母親が我慢しているということに対して敏感な反応を見せました

こうした違いが出てしまうはっきりとした理由はわからないのですが、ウォーターズ博士の考察によると、どうやら男性である父親は普段から感情を抑えていることが多いので、それだけ子どもへの影響が低かったとのことです。

男性はもともと、社会的な立場から感情をはっきりと示すことがないので、子どもたちもそれに慣れているのですね。

しかし、女性の場合は男性よりも感情をはっきりと示すので、辛いことを我慢しているとすぐにその気持ちが子どもにバレてしまって、逆に子どもに気を遣わせてしまうのです。


それでは、ストレスやネガティブな感情を抱えてしまった場合に、親御さんは子どもたちとどう接すればいいのでしょうか。

ウォーターズ博士は、健全なやりかたで、子どもたちに対しても素直に感情をさらけ出すべきだとアドバイスしています。

子どもたちは、親の微妙な感情の変化をも察知しています。親の身にネガティブな出来事が起きたことを感じ取っているのです。

それなのに当の親たちが、子どもたちには何も言わずにいつも通りに振舞っていると、子どもは混乱してしまうのです。

親の見た目の感情と、実際にやっている行動とが矛盾しているので、子どもからするとわけがわからなくなってしまうのです。

この混乱のせいで、子どもにもストレスが伝染してしまい、親子の仲が悪くなってしまいます。

ですので、親御さんと言えども、子どもの前では感情を抑えようとするのではなく、きちんと自分の気持ちを見せる方が良いのです。

とはいえ、ただ怒りをまわりにぶちまけるのではなく、どうして気分が悪いのかということを順序立てて話して教えてあげることが大切です。

ポイントは、始まりから終わりまでの一部始終を、子どもにもわかるように丁寧に説明して示してあげることです。

「〜があって疲れちゃった」「〜のせいで悲しくなっちゃった」「〜のあとで元気が無くなっちゃった」というふうに、ネガティブな感情が生まれた経緯を説明して、さらにはその問題を解決する過程を見せていくことが教育になるのです。

子どもたちは、親がネガティブな感情を解決していくプロセスを知ることで、自分の感情を調整し、問題を解決する方法を学んでいきます。

そうすることで、子どもたちは「問題は解決できるものなのだ」と理解していくのです。

親だって怒っていいのです。しかし、ただ怒るのではなく、その感情とどうやって折り合いをつけていくか、子どもたちに話してあげることが大切です。

「今回は失敗しちゃったけど、また勉強して、次はうまくできるようになるね!」というように、失敗からでも学べるのだという姿勢を見せてあげましょう。

つまり、怒っていたり、悲しかったり、疲れていたり、不満だったりするときは、子どもと一緒に時間を過ごす前に、そのネガティブな感情を素直に伝えてあげれば良いのです。

無理をして隠す必要はありません。子どもに対しても素直に接してあげましょう。

参考文献
・悲しくても笑おう!は間違いだった?無理に笑っても幸せになれない心理学的な理由
・実は失敗から学ぶ方が効率的!成功よりも大事な失敗の心理学


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