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ChatGPTに思う。人生はTASである。

「今回の記事はChatGPTに書いてもらいましたー」というnoteが膨大に上がってそうな昨今、皆様いかがお過ごしでしょうか。

私も一通り無課金のGPT-3.5の範囲で触っていますが凄いですね。GPT-4はさらに凄いと。これってどれくらいのインパクトかというと・・・Windows95〜98の登場によるインターネットの一般化、iモードによるモバイルインターネットの普及、iPhoneによるスマートフォン社会の進化、といった情報技術の歴史の一つに数えられるような瞬間を生きているってことなんでしょうね。ワクワクが止まりません。

もうこれから目にする画像や文章の多くにはGenerative AIが作ったものが多く含まれて、見分けがつかなくなるのでしょう。そうなると当然ポジティブなことばかりでなく、採用やオンライン試験の現場ではまさに「今そこにある危機」とも言えます。
例えばもう自己PRはAIが作ってくれます。

自動作成できる文章は、業界志望理由や自己PR、学生時代に力をいれていたこと(ガクチカ)など。例えば業界志望理由の場合は「Webデザインが好き」「自分のデザインで人を感動させたい」「高校時代は美術部」などのキーワードを入れるだけで、AIがそれらを1つの文章に自動でまとめる。

就活生の自己PRや志望動機をAIが作成 新卒向け求人紹介サービスが機能実装 ChatGPT APIを活用

たぶん、そのうち採用・採点側にも同様にAI判定サービスとか出てきて相対化されるのは間違いないですよね。志望動機を作るのもAIなら見るのもAI・・・本人や企業不在で採用が進むとしたらもうSFの世界です。
当然、AIの日常的な活用を前提とした対策も各所で進むでしょう。

「高血圧の薬についてChatGPTが書いた解説文である。この間違いを説明せよ」

「そんなメールがきたのは初めて」 東大院生も驚いたChatGPTの“効果” 池谷裕二教授の活用法


さて、こうした破壊的な技術が出てくると必ず起きるのは、機械に頼っていては実力が伸びない・チートは良くないといった議論です。
では人間の「実力」って何だろう。どこに境界があるんだろう?

ゲームの業界にはTAS(Tool-Assisted Superplay)という言葉があります。要は何らかのツールを使って人間ではできないような超絶プレイをすることです。太古の昔から見てみれば、現代の人間の生活はすでにTASそのものです。衣食住全てにおいて科学技術がベースとなった各種のツールに恩恵を受けている。Science-Assisted Superlifeってやつですか。

例えば、私はド近眼&乱視のコンボで小学生の時分から30年以上も眼鏡のお世話になっています。
改めて振り返るとすれば。光の屈折の性質と、ガラスを掘削した球面レンズによる焦点制御、という科学の結晶たる光学デバイスを常時装着して私は生きている。眼鏡がなければ仕事はおろか、生活もままならない。弱い個体として、原始の時代ならとっくに淘汰されていたはずですね。
でも現代において、眼鏡の利用は卑怯だという人はまずいないでしょう。麻酔をかけて親知らずを抜くのは根性なしではないし、マクロやRPAで作業自動化するのは真心が足りないという人もいない(稀にいる)

AIも確実にそういった存在になります。
当然、成果物にまつわる権利関係やロボット原則・AI倫理などの歯止め議論は必要ですが、AIだけ特別に忌避する理由は何もない。人生はTASなんです。今日すでにある様々なツールにAIが加わったと思えばいい。
これからはAIへのプロンプト入力最適化などが新しくビジネススキルとして問われることになるのでしょう。勉強あるのみですね。


最後に余談です。
「いやいや宇宙飛行士になりたかったら裸眼視力必要ですやん?やっぱり生身の能力いりますよね?」という方もいらっしゃるかと思いまして。
JAXAの宇宙飛行士募集要項貼っておきます

次のすべての条件を満たす者。
(1) 2021年度末(2022年3月末)の時点で、3年以上の実務経験を有すること※1。
(2) 以下の医学的特性を有すること。
身長 149.5-190.5㎝
視力 遠距離視力 両眼とも矯正視力1.0以上
色覚 正常(石原式による)
聴力 正常(背後2mの距離で普通の会話可能)

※1:修士号取得者は1年、博士号取得者は3年の実務経験とみなします。

2021 年度 宇宙飛行士候補者 募集要項

なんと、すでに裸眼視力を問われておりませんでした。
そのうち、思考能力も「AI矯正思考力○○以上」みたいな世の中が来るかも・・・しれない。


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