セックスは免許制にするべき

先の参議院選挙、投票率が48.8%と半分を下回り、過去2番目の低さだったようです。

民主主義の衰退が進むこの現象は、政治的有効性感覚や、自分の生活と政治が繋がっている感覚が失われつつある問題等、様々な要因が考えられています。

それらに加えて、普段から全く政治・政策について考えてもいないのに、「いきなり選挙に行こうと言われても無理だ!」という点にも要因があるのではないでしょうか。

そこで、選挙前に限らず、日常的に政治・政策について周りの人と議論をする文化を醸成することが急務ではないかと思い、私も「自分の政策」について積極的に発信して行こうと思いました。

政治家になるつもりも今のところは無いし、仮に立候補しても当選する確率はほぼゼロに等しいですが、読んでくださった方が政策について積極的に考えるきっかけを作るために、「私が立候補したらこういう公約をかかげてみたい!」というのをこれから時々書いて行こうと思います。

◆半強制的に大人に性教育を施す

まず、初回の今回提案したいのは、「セックス免許制」です。日本は世界でも最も性教育が遅れています。それに比例するかのように、性に関する人権侵害/トラブル/コンプレックス等に苦しむ人はあまりに膨大です。

たとえば、レイプ、身勝手な性行為、予期せぬ妊娠、性感染症、DV/デートDV、性嫌悪、性的トラウマ、性的コンプレックス、性経験に基づくカースト構造、ルッキズムとエイジズム、女性の性的モノ化、未成年への性的まなざし、受動ポルノ、暴力ポルノ、セカンドレイプ、セクハラ、性的虐待、性的なイジメ、性風俗産業の劣悪な労働環境やクソ客の横行等、「不幸」は枚挙に暇がありません。性的満足度も世界最下位、セックスレス夫婦の数も世界一です。

これを交通にたとえるならば、交通違反を取り締まる法律も脆弱で、警察もまともに取り締まろうとせず、凄惨な事故を起こしても無罪が連発され、交通ルールやマナーを何も知らない人たちが無免許で運転して事故がたくさん起きている状況でしょう。それくらい日本の性は危機的状況です。

では、あまりに壊滅的なこの状況を是正するにはどうすれば良いでしょうか? 性暴力を取り締まる法律を強化するのは既に政策に掲げている党もありますが、それと同時に国民の性に関するリテラシーの向上も絶対不可欠です。そこで、運転免許証と同様に、性に触れることに関して免許制を導入します。「セックス免許制」です。

この免許を取得するには、性的自己決定権の尊重、生殖機能に関する科学的な正しい理解、避妊や性感染症の知識、性的同意の問題、ハラスメント/DV、セカンドレイプの加害性、加害者像の実態とそのケア、セクシャルマイノリティー、トラブルの際の具体的な相談機関等、あらゆるリプロダクティブヘルス/ライツやジェンダー全般を徹底的に座学で学習し、知識を問うテストやリテラシーを問うシミュレーションテストに受からなければなりません。

さらに、運転免許証と同様に有効期限も設け、更新の度にテストをクリアしなければならない仕組みです。ルールやマナーが守られていない状況を分かりやすく説明するために「免許証」という言い方をしましたが、別に強制ではないので、「リプロダクティブヘルス/ライツおよびジェンダー教育履修済証明書」と言ったほうが正確な描写でしょうか。

本来性教育は幼少期~義務教育課程でしっかりと施すべきことなのですが、性教育改革だけでは既に義務教育課程を卒業して大人になってしまった大多数の人への対応は出来ません。大人に今からしっかりと体系的な性について学んでもらう必要があると思うのです。

◆性教育を受けていない人がモテない時代へ

そして、マッチングサイトへの登録、ラブホテルへの入室、性風俗サービスの利用、実店舗やネットでのポルノの購入の際には、免許証の提示や免許証番号の入力を必須とし、これを怠った業者に莫大な罰金を科すという仕組みも設けることを検討します。

ポイントは、罰を受けるのは基本的に一般市民ではなく、あくまで事業者という点です。「性に関する知識やリテラシーの無い人間に対して性関連サービスを提供することで、性に関する人権侵害/トラブル/コンプレックス等招く環境を作ることに貢献したこと」が罪になります。

これらの事業者を利用しない人にも大きな効果があります。おそらく「私は免許証を持っていない人とはセックスしません!」と言って、無免許セックスを回避しようという人が、女性を中心に増えて来るはずです。

仮に免許証の提示や免許証番号の入力を必須ではなく、努力義務に留めたとしても、たとえば一部のマッチングサイトが利用者の質を保証するために自主的に免許所得を必須の条件としたり、免許所有者は「認証マーク」を表示する等の方法でもある程度の効果はあると思います。企業などでもセクハラ防止目的で導入が広がると面白いかもしれません。

つまり、しっかりと性に関するリテラシーを身に着けていないとモテなくなるわけです。もちろん運転免許があっても事故が起こるように、免許を持っていればそれだけでOKというわけではないですが、性的リテラシーの底上げにはつながり、「性に関する知的水準を可視化する一つの尺度」として機能するのは間違いありません。

また、運転免許証と同様に点数制を取り、性暴力やセクハラやセカンドレイプの加害をした人は、免許取り消し・減点・取得の一時停止を行うようにします。たとえば、セクハラ告発のヤラセをして非難轟々のYoutuber「レペゼン地球・DJ社長」は、仮に免許を取得していたとしても取り消しでしょう。

さらに、無免許状態で性暴力やセクハラやセカンドレイプの加害をした場合、量刑や慰謝料が重くなるようにすると、加害抑止効果は増すはずです。免許を持って事故するよりも、無免許運転で事故を起こすほうが罰が重いのと同じです。

◆目的はあくまで人権侵害防止

その一方で、この政策案には大きな懸念があります。それは、国民の自由なセックスに国家が介入しかねないという点です。免許を受ける際のテストに、たとえば「異性間のセックスが正しいセックス」のような記述がされてしまえば、それは国による性的自由の侵害に繋がかねません。国が定める正しいセックスなんてものは絶対に作ってはなりません。

そこで、テストの内容に関しては一切国の関与を認めず、様々な学術団体等が主催します。国がやることはあくまで試験制度の普及を促すことであって、「学の独立」を守り、試験の中身には絶対に口出ししてはいけません。

さらに時の政権の思想に影響を受けないよう、「この教育制度の目的はあくまで性に関する人権侵害/トラブル/コンプレックス等招く要因を取り除くことであり、人権侵害無きセックスを"良くないセックス"として規定してはならない」等のグランドルールを設けて、政治・行政に対しても強い縛りを行うことが必要でしょう。

また、前述したように、これは一般国民の性的自由を制限するのではなく、あくまで事業者を規制する法律であるのも、この国家による性的自由への介入を避ける意味があります。免許を持たずにセックスをすること自体を禁止にするものではありません。

◆まずは民間だけで始めてみよう

この点さえしっかりとクリアすれば、今の日本の性に関する危機的状況を改善する、効果的な方法だと思うのですが、いかがでしょうか? 私自身も本来はこのような方法を取らなくても良い自浄作用のある社会を創ることが理想ですが、これに代わる効果的な対案はどこにあるのでしょうか?残念ながら見当たらないと思います。

「免許制」という言葉を使ったために一瞬過激に感じた人もいるかもしれないですが、きっとこの記事の趣旨を全く理解できずにクソリプを送りつけるような、被害者なんてどうでも良いと思っている人たちが、大人に対する性教育/ジェンダー教育の仕組みが絶対に必要であることを自ら証明してくれるはずです。

というわけで、あなたも教育を受けている人と受けていない人を見極められるようにしたいと思いませんか? 自分の人生に関わる人を選びたいと思いませんか? セックス免許制、あなたは賛成ですか? 反対ですか? 

今回は政策として掲げましたが、権威主義と反知性主義が吹き荒れる昨今では実現にはかなりのハードルが高いと思うので、まずは行政を一切かませず、リプロダクティブヘルス/ライツやジェンダーに詳しい人たちによる民間資格としてスタートしても良いかもしれません。ネットのインフルエンサーたちが、「持っているとカッコ良いよ!」と広めてくれると面白いことになりそうです。

まだまだ荒削りな面も多々あると思いますが、もしこの構想に面白いと思った方は、是非サポートよろしくお願いします。

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現代の新しい社会問題を「言語化」することを得意とし、ジェンダー、働き方、少子非婚化、教育、ネット心理等の分野を主に扱っています。社会がちょっとでも良くなることを願って、今後も発信して行こうと思うので、是非サポート頂けると嬉しいです。

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勝部元気

評論家・社会起業家。(株)ReproAgent代表取締役。所持資格数71個。著書『恋愛氷河期』(扶桑社: http://goo.gl/d4ZkG6 )。連載「朝日新聞社WEBRONZA」「ハフィントンポスト」「女子SPA!」「エキサイトニューススマダン」
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