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アメリカで「働き方改革」された私

移住して一番良かったこと?

「アメリカに移住して一番良かったことは何ですか?」というのはよく聞かれる質問だ。色々良いことは沢山あるが、一番と言われれば「自分と家族の時間が増えたこと」ということを真っ先にあげる。
私は、社会人になってからずっと外資系企業に勤め、結構な激務をこなしてきた。仕事の能力は、そういう経験を通して培われてきたし、忙しいながらも充実した日々を過ごしてきたという自負もあるので大きな後悔はない。そして何より私は仕事はそんなに嫌いではない(嫌いでない仕事に恵まれた、という方が正確かもしれない)。

自分と家族の時間を大事にする文化

アメリカにも仕事好きは沢山いるし、場合によっては土日深夜作業もいとわない者ももちろんいる。が、「自分と家族の時間を大事にする」という文化が、組織の上から下まで浸透しきっている。特に組織の上の人が、その点についてものすごく意識が高いというのは日本との違いとだと思う。「働き方改革」なんて、ボトムアップで取り組んでも結局進まず、トップダウンでないと実現しないんだと強く感じる。

子供がスクールバスに乗り遅れた

最近はそういう文化にすっかり染まってしまっているが、渡米直後の一つのエピソードを紹介したい。渡米して2ヶ月もたたない頃に、子どもが通う学校から仕事中に電話がかかってきた。

あなたの娘さんが、帰りのスクールバスに乗り遅れてしまったので学校まで向かえに来てほしい。

学校の先生

当時は、まだ購入した車が納車されておらず、レンタカーが1台あるのみ。出勤するのに私が利用しているため、車のない妻を迎えに行けず、オフィスで仕事をしている私が行くしかない。まだ午後4時くらいだったので、役員と打ち合わせをしている上司を見つけ会議室に突撃し、事情を説明し、了承をえて子どもを迎えに行った。

翌日出社すると、上司から個室に呼び出され、お説教をされてしまった。

学校から第一報を受けた時点で直ぐにオフィスを出発すべきで、私への報告なんてテキストを後から送ればよいのに、了承をえることに時間をとるなんてけしからん。以後、気をつけるように。

私の上司

という内容だったのだが「いやぁ、一言くらい了承とるでしょう」とは思いつつ、「あぁ、日本とは考え方が違うなぁ」、という印象を受けたことを今でも覚えている。

たまには例外もある

人によって、特に役員クラスの人たちは週末に働いたりもしている。そして、土曜日に下記のようなメールが来ることも稀ではあるがないことはない。

Thank you for your prompt assistance with this matter. I would need this by 10:00 AM on Monday morning. However, please do not feel obligated to work over the weekend. Enjoy your time off, and we can tackle this task together on Monday. Thank you.
月曜日の朝10時までに必要なので、本件、至急お願いします。ただ、週末に対応して欲しいということではありません。月曜日の朝に一緒に対応できればと思います。

どうしても週末に対応して欲しい役員

いや、月曜日の朝10時までって週末にやらないと確実に終わらないし、内容的にTackleするのあなたと私でなく、私のみでしょう、、、みたいな。どうしてもすぐの対応が必要なんだけど、どうしても「週末に働かなくてもいいから」とは言いたい、という苦慮も伝わってきて、逆に微笑ましい。ただ、こういう人たちも週末のリクエストばかりすると人が離れていってしまうのはよく知っているので、こういうことは私の場合は滅多にない。

改革された私の働き方

まぁ、上記のような一部例外ケースもあるが、「本人とその家族との時間を大事にする」という文化を実感したエピソードの方が圧倒的に多い。そういう環境にどっぷり浸かることで、激務が体に染み付いた私も、すっかり「働き方改革」をされてしまった。おかげで自分と家族の時間が増え、より人生が充実したと強く感じている。激務が染み付いて離れない人は環境を変えることを検討されては。それでは。

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