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さようなら、木造住宅。

 数日前の、夕方。所用で出かけた際に、改めて、見送ってきました。
夕陽を浴びる、木造住宅を。

 この一帯は、廃川となった旧河道を埋め、恐らく戦後の復興期に建てたと思われる木造市営住宅が、連なっていました。それはそれは、本当に小さな、木造住宅でした。

 正直なところ、このような住宅が、平成の世まで残っていたということが不思議に思えるような、簡素な建物。しかし、ここでの「暮らし」が、戦後の復興や高度成長を下支えしてきたのでしょう。


 いま残るのは3軒のみ、それも取り壊しを待つのみ、といった状況ですが、数年前までは、この住宅が「軒を連ねて」いて、生活の匂いが漂う「街並み」が、ありました。


 この木造住宅団地、道を挟んだ向かい側は、集落の庄屋と思しき屋敷と海事の安全を護る住吉社があるのです。

 この対比の、生々しさ。ここを通るたびに、色々と、考えてしまうのでした。
しかし、もう、その「生々しさ」を、感じることも無くなりそうです。

 時代は、移ろうもの。それを見続けてきた地蔵と大木は、あたらしい時代を、どう見守っていくのだろうか。


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