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“奇をてらう”空間デザインの手法

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「奇をてらわない」というデザイナーはたくさんいるが、「奇をてらう」というデザイナーはなぜかいない。 「奇をてらう」意味: わざと普通と違っていることをして人の注意を引こうとする。… もっと読む
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記事一覧

空間デザイントーク Sky Designtalk2.0

メルシーマガジン&スカイデザインアワードプレゼンツ Sky Designtalk 2.0に登壇しました。 movie https://youtu.be/tEX-_Ww1Lwk?si=UaFjVfRkO8E868em 東洋と西洋の建築デザインの違いはどこからくるのか、私自身の設計の手法、日本の建築デザインの課題などについてお話ししました。 スカイデザイントーク2.0 東京アメリカンクラブ 2023.11.10

20年の仕事をふりかえる12

【2011年/居酒屋つのふり】 奈良、東大寺に程近い映画館跡のリノベーションでした。映画館であったため、床全体が傾斜していました。床をフラットに作り替えることなく、そのまま物件の個性を生かし、川の流れる庭園に客席を作ることにしました。 庭園に面した巨大な鏡面壁には寺院を模した線画が描かれておりり、鏡面の一部が開いて宴会場へとアクセスできるようになっています。  居酒屋つのふり写真ページ↓

20年の仕事をふりかえる11

予備校にデザインが必要なの?と皆さんは思うかもしれない。 弊社は十数年にわたり松尾学院さんの運営する東進衛星予備校の校舎を多数設計してきた。東進はフランチャイズ制で、各地のフランチャイジー加盟校が全国で校舎を展開している。それぞれの校舎を別々の経営会社が運営しているので、東進衛星予備校どうしもライバル企業ということになる。少子化の影響もあり、加盟校どうしの生徒争奪戦は過酷なものとなっている。東進は録画された授業をインターネットを通して受けるシステムなので、どの加盟校でも同じ授

20年の仕事をふりかえる 10

【2009年/オーストラリアTEN】 🇦🇺ゴールドコーストの鉄板焼・鮨のお店 Japanese Fine Dining TEN 「天」という屋号からインスパイアされたデザイン。初めての海外大型案件だった。約100坪の店内はバーエリア、ラウンジエリア、鉄板焼きエリア、鮨エリア、VIPルームに分かれており、巨大なステンレス製ワインセラーや建具、石造のカウンター、ガラステーブル等は日本で制作し、船便で輸送した。 「天」とは天国の天であり、天地の天、つまり宇宙を意味する。古くよ

レクチャー動画「 奇をてらう-ソリューションデザインの手法- 」

東京ビッグサイトでのレクチャーの動画がYouTubeにて公開されています。 「 奇をてらう-ソリューションデザインの手法- 」 JAPAN SHOP 2022 JCDトークラウンジ タカハシツキイチ30人展 JCD YouTubeチャンネル https://youtu.be/Ofwjo6m5OBw

Japan Shop 2022 東京ビッグサイト

3月4日14時に登壇します。東京ビッグサイト JAPAN SHOP、JCDブースにて45分のフリートークです。皆様にお会いできますことを楽しみにしております。日本最大級、見どころいっぱいの展示会ですので、是非お越し下さいませ。事前登録で入場無料です。 https://messe.nikkei.co.jp/js/

狭小店舗の高級飲食業態 The Grand Blue Express NAUTILUS Ueno-Tokyo

上野アクアリウムレストラン NAUTILUS 上野駅近くの雑居ビル5階、和風居酒屋からフレンチレストランへのリノベーション。問題は店舗があまりにも狭いことだった。居酒屋であれば、席や通路が少々狭くても気にならないが、ある程度客単価も上がるフレンチで狭い空間はイメージダウンにつながりかねない。プランを進める中で最低限必要席数を確保するとメイン通路が80数センチしか確保できなかった。これではまともにすれ違うことすらできない。狭くても高級業態が成り立つような、お店に来たお客さんが

20年の仕事をふりかえる9

【2008年/神戸かまどダイニングSAKURA】 神戸ハーバーランドのショッピングモールモザイク2階、海に臨むロケーションに位置する和食店。 ファサードは全面ガラス張りで内装のデザインそのものがファサードを演出している。 エントランスを入ると全長約8メートルの巨大なかまどが横たわり、目の前で板前たちが調理をし、その蒸気、匂い、音が店内を活気づけ、食への期待を膨らませる。 かまど前の路地を進むと石庭があり、そこにランダムに配置された箱状の個室「SAKURA-CUBE(サク

20年の仕事をふりかえる8

【2007年/結婚式場】2019年にチャペルを設計させて頂いた結婚式場ラヴィーナさんには随分昔から(父の代から)お世話になっている。姫路の式場の大規模な改装をご依頼頂いて以来、数年に渡り加古川、大阪、和歌山など立て続けに改装を担当させて頂いた。 写真は2007年に改装した和歌山のエントランスホールと大阪のウェルカムホール。 改装前はかなりクラシックな空間だった。モダンな空気感を持たせながらも最初に訪れた時に感じた空間の重みを残したかった。和歌山では図面に床の仕上げを記入し

20年の仕事をふりかえる7(16年前)

【2006年/キルビルを再現したパチンコ店】 パチンコ店ランドマークEXのリノベーション。パチンコ店はやはり入店時にテンションが上がる方が良い。 映画が好きで、いつもを色んな映画を見ながら空間のコンセプトを練るが、(そう言えば昔、空間作りは映画制作に似ていると、うちの親父も言っていた。)この頃はタランティーノにハマっていてキルビルの影響がモロに出た案件。キルビルの誇張した和の世界観に惹かれた。 エントランスの土間を掘り下げ、強化合わせガラスの床下に石庭を作った。頭上を鏡

20年の仕事をふりかえる6

【2005年/ 滝壺のあるお好み焼き屋さん】 ホームページでこのお店を見たオーストラリアの飲食店オーナーから、ゴールドコーストにオープンする100坪のファインダイニングの設計をご依頼を頂くという、転機となったプロジェクト。 設計を始めて間もない頃に設計させて頂いたお好み焼き店「ちゃんどら」さんの2号店。建設会社の事務所が撤退した後の建物を改装した。 2階の床板に穴を開け、2階の水盤から1階へと落ちる滝壺を作り、そこからエントランスへと水が流れる。 壺に入れたソースをこ

20年の仕事をふりかえる 5

【2004年/ 初の設計監理案件】 三木市、鉄骨造の中華料理屋さん。これまで設計施工一括で引き受ける案件ばかりやってきが、このプロジェクトでは初めて設計と監理のみを引き受けた。チーム皆が最初から同じ場所を目指している自社設計施工の場合に比べて、思い通りにいかないことも多い。最近は設計監理や意匠監修という立場で仕事をする機会も多くなった。 ちなみにこの中華料理屋さんは十数年経った今でも、ランチタイムには行列ができる息の長い繁盛店。設計させて頂いたお店がずっと繁盛してくれること

20年の仕事をふりかえる 4

【2003年】一級建築士を取得し、初めて設計した鉄骨2階建の小さな店舗。ファサードの柱をV型に、外壁面をVの両辺に沿ってランダムに出入りさせた。1つの枠組みを決めて、その中でランダムに動きをつけるのは今でも好きな手法。これは大学時代の恩師、末松利紀先生の影響かもしれない。末松先生は私と同じくギタリスト。デザインには「リズムとノイズ」が必要だと仰っていた。 KTXアーキラボ

20年間の仕事をふり返る3

【18年前: 鉄板焼 憩家】 初めて月刊商店建築さんに掲載して頂いた思い出深い案件。天正三木屋さんに続き、ここでは壁面を伝う滝を作った。 エントランスに一部生簀を兼ねた池を作り、池に渡したガラスの橋を歩いて店内に入る。水中ポンプで壁の上端まで池の水をポンプアップし、そこからオーバーフローさせて水を落とす。やはりここでも水の動きに悩まされた。 石貼りの壁全体的にまんべんなく水が流れてほしいのに、水は束になって枝分かれして落ちる。水を流した瞬間「なんでやねん」となった。オーバ