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音声学研究

神奈川大学外国語学部英語英文学科です。小松雅彦先生のゼミナールを紹介します。

英語音声学の本場イギリスのネス湖(スコットランド)にてネッシーと!

「音声学」って何?

「音声学をやっています」と言うと,世間一般では「温泉学?全国温泉巡りですか,いいですね」(「音声」→「温泉」)とか,せいぜい「歌がお上手なんですね」(「音声学」→「声楽」)とかの反応が返ってきます(これは実話です)。大学の中では,何やら発音に関することという程度の認知はされているようですが。

/p/, /t/, /k/と順に発音していくと,息の流れを妨げる閉鎖の位置が,唇,舌と歯茎,舌と上あごと,だんだんと後ろになっていることが分かりますか?これらを閉鎖音と言います。/k/は分かりにくいかもしれませんが,手鏡やスマホを使って口の中を見ながら「カカカ…」と言ってみると,舌と上あごが接触しているのが見えます。「カキ」(柿)と言ってみると,2つの/k/の閉鎖の位置が微妙に違っているのが分かると思います。英語でも,例えば,eighth /eɪtθ/とtree /triː/では/t/の閉鎖の位置が違っています。こういう感覚を掴んでいくのが音声学の基本です。

音声学は,言語音の発音の仕方,伝わり方,聞こえ方を研究する分野で,音の並び方の規則を研究する分野とも関わっています。半分は実学で,半分は研究です。外国語教育や日本語教育,コミュニケーション障害のある人に対する言語聴覚療法では必須の知識で,音声認識・合成でも基礎的な知識です。話すこと・聞くことというあまりに身近な領域なので,普段は意識していないと思いますが,まだ分かっていないことは多くあります。

ゼミナール

私自身が音声の音響分析を専門としていることもあり,ゼミでは音響音声学という分野を中心に教えています。データの収集,分析,聴取実験など,実験的な研究をしています。

卒業論文は音響音声学の分野に限らなくても良いことにしており,学生は斬新な発想で色々な研究に取り組んできてくれました。一部を紹介すると,「デーブ・スペクターの日本語の訛り」「日本人訛りの英語と中国人訛りの英語の比較」「中川家のモノマネ中国語が中国語に聞こえる要因」「日本語無声破裂音・破擦音における発話の困難性」「地域による方言と印象評価」「日本語訛りの英語とネイティブスピーカーの英語とでは日本人にとってどちらが聞き取りやすいか」「動物の鳴き声を写す擬声語」「幽霊にまつわる音」「沖縄方言のアクセント規則」などです。

現代では,音響分析は普通のPCでできるようになりました

ここ数年は,8月のオープンキャンパスに,音声学を紹介する出展をしています。
(2019年8月のオープンキャンパス出展の記事はこちら ↓
https://www.ffl.kanagawa-u.ac.jp/old/news/2019/news_2019090201.html

オープンキャンパス(2018年)での小松ゼミ紹介コーナー

2020年度は,サイバーオープンキャンパスとなったため,音声学を紹介するパンフレットを作りました。

単に授業に出席するというよりも,ゼミという研究チームに一員として加わっている人をお待ちしています。

元記事
教員と学生が書いたゼミナール紹介レポート
https://www.ffl.kanagawa-u.ac.jp/english/feature.html

小松先生をもっと知りたい方は ↓
「神大の先生」 
https://www.kanagawa-u.ac.jp/professor/details/details_101818.html


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