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ことばのメモ:002 眩暈SIREN「ジェンガ」

日本固有の大和言葉は、文字や発音の柔らかさ、心の琴線に触れるような趣がある。その中でも、私は水面(みなも)という言葉の響きが好きだ。静けさの中にゆったりと揺れ動く水面を覗き込む情景が目に浮かぶ。そのイメージに結びつく曲が眩暈SIREN「ジェンガ」だ。この歌詞にも水面(みなも)の単語が含まれている。

肺一杯に水を吸い込む 水槽で眠らす 孤独な海洋 貴方は誰でしょう? 水面(みなも)で1人 
出典:「ジェンガ」作詞:京寺 作曲:眩暈SIREN   

私はこのフレーズに似たような体験をよくする。自分が絶望した時、浴槽に顔を突っ込む。息ができないし、視覚と聴覚も衰える。狭い箱にいるはずだが、海の深淵にいるようだ。自問自答を繰り返し、やはり孤独だと気づく。

命の熱に触れてしまった今は 孤独を知らぬままではいられず 
出典:「ジェンガ」作詞:京寺 作曲:眩暈SIREN

そして、暗闇を彷徨い続けた最後は自ら光を見つけ出す。先の見えない将来や夢への空回りを自己嫌悪し、周りの人々と乖離してしまう。だが、そんな中でも小さなきっかけで、自分が前向きになれる時は必ず訪れるはず。まさに、曲名である「ジェンガ」のようだ。ジェンガはブロックタワーを片手で一つずつ抜き取って最上段で積み上げるゲームだ。 1人でも複数人でも遊べる。タワーが積み上がるに連れて不安定になり、最後には崩れてしまう。ゲームオーバーである。だが、失敗は終わりの 始まりであり、また積み上げて不安定なゲームを再開すればいい。人生も簡単に切り替えられるゲームになればいい。これは理想論だが。

原曲はもちろん最高だが、音が孤独を覆うまでVerは叙情的な歌詞とエモいサウンドがより一層引き立てる。是非、体感していただきたい。


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