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怯み値を制する者は、モンハンを制す。


ある程度モンハンをやり込んだハンターならば「怯み値」という単語を一度は耳にしたことがあるかと思います。これは文字通りモンスターの「怯み」に関連するシステムですが、その仕様を完全に把握している人はそう多くはないでしょう。知らなくても困ることはほとんどないからです。

しかし疑問に思ったことはないでしょうか。なぜTA走者の狩るモンスターは発覚から討伐まで連続してダウンし続けるのか。そこには、武器の火力と同じくらいーあるいはそれ以上に重要な意味を持つー陰のパラメータ「怯み値」が深く関わっています。

今回の記事では、怯み値(部位耐久値)とは何か、怯みやダウン、クラッチ怯みの発生原理、部位破壊と怯み値の関係性、怯み値補正などについて、できる限り丁寧に解説していきます。

この記事はMonster Hunter World ICEBORNEをベースに執筆しています。「怯み」に関する基本的なシステムはMHシリーズのほとんどに共通しますが、記事内には一部、クラッチ怯み等MHW:IBに特有の項目も含まれます。

そもそも怯み値とは何なのか

怯み値というのは、モンスターの部位ごとに設けられたある種の耐久力を示すゲージのようなものです。このゲージの長さのことを「怯み値」や「部位耐久値」などと呼び、ゲージに蓄積していく値そのもののことも同様に「怯み値」と呼称したり「部位へのダメージ」などと表現したりします。まずは簡単な例を見てみましょう。

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上の画像はMRのプケプケの部位耐久値を表現した図です。部位ごとに示したそれぞれのゲージは、ここでは空っぽの容器であると考えてください。容器の容量は、頭は756、胴体は1260というように、部位によって異なる大きさを持っています。


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次に、このプケプケを攻撃してダメージを与えることを考えます。モンスターを攻撃すると、ダメージを与えた分だけモンスターの体力(以下HP)は減少しますが、それと同時にゲーム内部では「どの部位にどれくらいのダメージを与えたのか」という情報も記録されており、与えたダメージの分だけ部位ごとに「怯み値」が溜まっていきます。例えば頭に400ダメージを与えると、頭の怯み値が400蓄積します。

基本的には怯み値の蓄積は部位単位で行われますが、一部のモンスターでは「左脚と右脚」「頭と首」などのように複数の部位で怯み値が共有されている場合もあります(複数の部位で1つの容器になっている)


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さらにダメージを蓄積してゆくと、どこかのタイミングで、いずれかの怯み値の容器が容量いっぱいにまで満たされるときが来るはずです。上の図では「頭」に与えたダメージの合計(蓄積した怯み値)が、容器上限である756に達した瞬間を示しています。このようにいずれかの部位で”怯み値の蓄積が部位耐久値に到達した瞬間”にモンスターの「怯み」が発生します。


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怯みが発生すると、怯みが発生した部位の容器(部位耐久値)が新しく空っぽの容器に差し替えられます。今回は「頭」で怯みが発生したので、頭の部位耐久値のみが図のようにリセットされます。容器の大きさは、あるクエストを通じて(耐性が付いたりなどして)増加するようなことは一切なく、怯み値が蓄積して怯みが発生するたびに何度でも、元と同じ大きさの容器に差し替えられます。以上が「怯み値」および「怯み」の基本的なメカニズムです。

ただし、怯みのシステムにはいくつもの例外があり、そして例外のほうが極めて重要であるため、記事の中盤から後半にかけて順に紹介していきます。



通常怯みとダウンの発生

怯み値が部位耐久値に到達する瞬間にモンスターが取るリアクションには、通常の怯みの他にも、ダウンやクラッチ怯みなど様々なバリエーションがあります。「ダウン」というのはモンスターが転倒して脚をもがくなどして一定時間行動不能になる状態のことで、「クラッチ怯み」はモンスターが涎を垂らしながら大きく後退して怯むMHW:Iに特有の反応のことです。

【重要】記事内では、怯みやダウンなどのレスポンスの総体を指すときには鉤括弧付きで「怯み」と表現し、怯みの動作そのものを直接指し示すときには通常怯みというように区別して表記します。また「クラッチ怯み」は怯み値とは完全に独立したパラメータに依存して発生するため別の章で扱います


部位の「怯み」が発生した際の通常怯みやダウンといったリアクションは、毎回ランダムに選ばれるのではなく、モンスターの部位ごとにどの順番で発生するかが決まっています。

例えば「ティガレックスの左翼」では、怯み値が部位耐久値に到達して「怯み」が発生するとき、そのリアクションとして通常怯みとダウンが交互に繰り返されます。

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この順番はあくまでも部位ごとに決まっており、例えば途中で一度別の部位を攻撃してその部位で怯みなど何らかのレスポンスがあったとしても、再び左翼を攻撃した際にはそのローテーション自体はスキップされることなく続きから再開します。「左翼」のみに着目すると、通常怯みが2回連続で起きたりダウンが2回連続で起きることはないということですね。

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他にも例えば「ナルガクルガの頭」の場合は、4の倍数回目の「怯み」時にはダウンが発生し、それ以外の回は通常怯みという規則性を持ちます。

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また「クシャルダオラの頭」の場合は毎回必ずダウンが発生し、頭への攻撃で通常怯みが発生することはありません。そういった怯みが起こるとすれば、それは頭以外の部位にダメージを与えた時です。

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このように、モンスターの部位ごとにどのようなローテーションで通常怯みやダウンが発生するのかを観察し、次に起こるであろう反応を予測しながら狩りを行うことも、モンスターハンターの楽しみ方のひとつと言えるでしょう。

通常、モンスターに攻撃を与える際には、攻撃から回避行動までの一連の動作を安全に完遂できるチャンスを窺いますが、「もう1発殴ればモンスターがダウンするはずだ」といった予測ができれば、少々チャレンジブルに、それでいて安全に手数を増やすことができるわけです。怯み値管理と表現すると少し難しく感じますが、なにも部位耐久値を具に調査したり、怯み値を1の位まで暗算するような必要は一切なく、体感的に「怯み」のペースを把握するだけでよいのです。

もちろん闘技大会やTAなどで厳密にチャートを管理する必要のある場面では文字通り計算を行うことはあるにせよ、ほとんどのトッププレイヤーは「極限まで洗練された経験則」だけで怯みを管理しています。そういった感覚は「怯み」を意識して狩猟を行っていくうちに自然と身に付いてきます。



「最後の一撃」は繰り越されない

記事の冒頭で『怯み値が蓄積して部位耐久値に到達するとその瞬間に「怯み」が発生し、部位耐久値は再びリセットされる』と述べました。この状況についてもう少し細かく考えてみましょう。

まず現実的に、蓄積していった怯み値がちょうどぴったり部位耐久値(容器の容量)に一致する、という現象はそうそう起こり得ません。というのも、1回1回の武器攻撃で与えるダメージは数十~数百といったそこそこまとまりのある大きな数なので、多くの場合、部位耐久値への到達が起こる「最後の1回の攻撃」で、もともとの容器の最大容量を超える怯み値を与えてしまうことになるからです。

例えば下の図のように、部位耐久値1000の部位にすでに怯み値が999まで溜まっている状態から、大剣をひと振り当てて500ダメージを与えたとしましょう。つまり本来1ダメージだけ与えれば怯むような状況で、499の過剰なダメージ(怯み値)が入ってしまうシチュエーションです。

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ここでモンスターが「怯んだ」とき、この部位の容器はリセットされるはずですが、このとき次の容器は先の余剰分の499ダメージが入った状態からスタートするのかというとそうではなく、やはり完全に空っぽの状態の容器が用意されます。

つまり、モンスターのHPはきっちり500だけ削れるものの、こと「怯み値」に関しては、怯んだ瞬間に発生した余剰分はどこにもカウントされません。「最後の1ヒット」で容器から溢れ出した水は、どこにも集計されることなく流れて消えてしまうといったイメージです。

ここでのポイントは「最後にどのような攻撃で怯んだのであれ、怯んだ瞬間にその部位の怯み値は白紙の状態から考え直してよい」ということです。



SA中の怯み値超過

蓄積した怯み値がその部位の部位耐久値に達しても「怯み」が発生しない場合もあります。それは、モンスターがそもそも自由に動けない状態のときです。「モンスターが自由に動けない状態」というのは、例えばシビレ罠や落とし穴での拘束中、麻痺やスタンでの拘束中、乗りやクラッチぶっ飛ばし成功後のダウン中、部位のダウン中、他の部位で怯みが発生したときの怯みモーション中などです。一部のモンスターの特定の行動に付与されているSA(スーパーアーマー)もこれに相当します。

こういった「モンスターが自由に動けない状態」のあいだも、怯み値の蓄積自体は通常通り行われます。容器が溢れていっぱいになったら「怯み」が発生しないまま次の新しい容器がセットされ、今度はその新しい容器に水が溜まってゆき…という具合に、怯み値が部位耐久値を超過するたびに何度でも新しい容器に切り替わります。

そして怯み値の容器の状態を引き継いだまま、モンスターは拘束やダウンから復帰します。

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上の図はモンスターが動けないSA中に怯み値を超過しているイメージです。この図では容器が満たされる瞬間は2回あるものの、それらはいずれもSA中に発生しているため、モンスターの「怯み」の動作は発生しません。そして、SA中に容器が切り替わる際にも、それぞれ「最後の1ヒット」で溢れ出した水はどこにも集計されません。


また、基本的にはSA中の怯み値超過が「怯み」のローテーションに影響を与えることはありません。このローテーションは「容器がいっぱいになった回数」ではなく「怯み」という動作全般が発生した回数でカウントが進行するからです。

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例えば「ティガレックスの左翼」は先ほど説明した通り、通常怯みとダウンを交互に繰り返すという仕組みなので、仮にSAの前に直近で発生した「怯み」がダウンだったのであれば、SA中に怯み値超過が何回起ころうとも、SA後に最初に発生する「怯み」は通常怯みになります。



部位破壊と怯み値の関係性

部位破壊が可能な特定の部位に一定量の攻撃を加えると部位破壊が起こりますが、部位破壊と怯み値にも密接な関係があります。部位破壊が起こる条件とは「規定の回数だけ部位耐久値の容器をいっぱいに満たすこと」です。

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これはMRのプケプケの部位耐久値を示したものです。図の紫色の容器は「部位破壊可能な部位」を表しており、その下に書いてある×1や×2という数字は「この容器を何回満たせば部位破壊が起こるか」を示しています。例えば頭の部位は、756の部位耐久値を2回満たした瞬間に部位破壊が成立します。

ただし一般的に、尻尾部位は部位破壊条件(切断条件)が部位耐久値の整数倍ではない値に設定されていることが多く、切断条件も怯み値ではなく斬撃ダメージの蓄積とやや特殊です。


部位破壊の条件は「容器を満たした回数」であるため、モンスターがSA中であってもあるいはそうでなくても、規定回数目の部位耐久値を超過した時点で部位破壊は成立します。ただし部位破壊が成立したとき、それがSA中でないならば「部位破壊怯み」が発生します。

「部位破壊怯み」というのは、ここでは部位破壊時に付属して発生する怯みやダウンといったレスポンスの総称のことを指し(そのため鉤括弧で括っています)、それが通常怯みであるのかダウンであるのかは部位ごとにあらかじめ決まっています。

「部位破壊怯み」は「怯み」を上書きする形で発生するので、例えば本来は通常怯みが発生するような「怯み」のタイミングに部位破壊が起こったとしても、「部位破壊怯み」にダウンが設定されているのであれば、部位破壊時の挙動はダウンになります。少しややこしいですが、あまり難しく考える必要はありません。例えば「ナナ・テスカトリの頭」の「怯み」は本来は通常怯みのみを繰り返しますが、「部位破壊怯み」にはダウンが設定されているので、部位破壊時にはダウンが発生します(図の六角形のアイコンは部位破壊を示す)

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(この段落は難解なので読み飛ばしてもらっていいですが)、部位破壊が成立したときには、それがSA中であってもそうでなくても「怯み」のローテーションのカウントは進行します。例えば「ティガレックスの左翼」は2回の怯み値超過で部位破壊が成立しますが、平時では2回目の超過時に発生するはずだった「怯み」ダウンが「部位破壊怯み」ダウンに上書きされ、その次に発生する「怯み」は通常怯みになります(下図中段)。また、仮に開幕直後のSA中に2回の怯み値超過が発生した場合(下図下段)、前の章ではSA中の怯み値超過がカウント進行に影響を与えることは基本的にはないと説明しましたが、部位破壊を伴うSA中の怯み値超過は通常通り「怯み」のカウントを進行させるため、SA後の最初の「怯み」はダウンになります。

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例外的に、ごく一部のモンスターの特定の部位では、部位破壊を伴う怯み値超過が「怯み」のカウントを進行させない場合もあります(ex.ナルガクルガの頭)




破壊王の怯み値補正

ところで、ここまで「ダメージと怯み値は等価である(=100のダメージを与えれば100の怯み値が溜まる)」という前提で話を進めてきましたが、部位破壊に関連して一つ目の例外が登場します。それがスキル「破壊王」です。

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ゲーム内のスキル効果概要を読むと「部位に対する蓄積ダメージ〇倍」という表現がなされています。この「部位に対する蓄積ダメージ」というのは「怯み値」のことを意味しており、例えば破壊王LV3(MHW:I)を発動させた場合には実ダメージに対して1.3倍の怯み値が溜まります。モンスターを攻撃して100の実ダメージを与えたとき、怯み値は130溜まるということです。

この仕様により、ダメージに対して怯み値の溜まるペースがいつもより早くなり、それに伴って怯み値超過(容器の容量がいっぱいになる)の達成も早くなるため、結果として部位破壊(超過回数に依存)がしやすくなるのです。

ただし、スキル破壊王がアクティブになるのは「①部位破壊可能な部位が②部位破壊前かつ③部位破壊可能な状態である」時だけであることに注意が必要です。②部位破壊後の部位に対しては破壊王による怯み値増加の効果は一切ありません。③一定HP以下でしか破壊できない部位(ex.テオテスカトルの頭)に対しては、部位破壊可能な体力になるまでは破壊王の効果は発動しません。



武器の怯み値補正(全モーション補正一覧)

実ダメージと怯み値が一致しないもう一つの例外が、一部の武器攻撃モーションに常時適用されている「怯み値補正」です。例えば大剣のモーションのひとつ「真溜め斬り(強撃3段階目・2ヒット目)」には1.3倍の怯み値補正が常に掛かっており、このモーションによる攻撃で1000ダメージが発生したとき、怯み値はその1.3倍の1300溜まります。

怯み値補正が示す値というのは「攻撃したときに画面に表示される実ダメージを1.0として、怯み値はその何倍溜まるのか」というもの。

ほとんど全ての攻撃モーションの怯み値補正は1.0倍(実ダメージと怯み値が等しい)に設定されていますが、怯み値補正が1.0より大きいモーションや、その反対に怯み値補正が1.0より小さいモーションもいくつか存在します。また、怯み値補正が0.0のモーションも存在し、このような攻撃は怯み値が全く溜まらないのでそれ自体が怯みをトリガーすることはありません。

以下、全武器種の「怯み値補正が1.0ではない」モーションとその補正値の一覧をまとめています。必要に応じて参照し次の章へと進んでください。

・それぞれの怯み補正値はMHW:IBのものです。別タイトルにおける同名モーションの補正値が必ずしもこれ同様であるとは限りません。
・モーション名は概ね公式名称を採用していますが、一部独自の表記に書き直しているものもあります。

■大剣の怯み値補正 (MHW:I)​

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■太刀の怯み値補正 (MHW:I)

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■片手剣の怯み値補正 (MHW:I)

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■双剣の怯み値補正 (MHW:I)

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■ハンマーの怯み値補正 (MHW:I)

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狩猟笛の怯み値補正 (MHW:I)

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■ランスの怯み値補正 (MHW:I)

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■ガンランスの怯み値補正 (MHW:I)

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■スラッシュアックスの怯み値補正 (MHW:I)

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■チャージアックスの怯み値補正 (MHW:I)

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■操虫棍の怯み値補正 (MHW:I)

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■ライトボウガン/ヘビィボウガンの怯み値補正 (MHW:I)

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■弓の怯み値補正 (MHW:I)

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クラッチ怯みのメカニズム(MHW:I)

クラッチ怯みの発生原理はやや特殊です。まず部位耐久値とは全く別に「クラッチゲージ」という新しい概念を導入します(この名前は私が記事内で勝手に命名したもので、公式呼称ではありません)。クラッチゲージは怯み値と同様、モンスターに与えたダメージに応じて蓄積していきます。ただし、クラッチゲージはモンスターに対して1本だけ設定されているもので、全ての部位への攻撃が合算されてこの1本に溜まっていきます。

下の図は、MRフリークエストに登場するティガレックスの部位耐久値とクラッチゲージを表現したものです。

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攻撃を与え続けるとクラッチゲージはそのうち満タンになりますが、この状態になるだけではまだ特に何も起こりません。クラッチゲージは部位耐久値とは違って蓄積の超過により直ちに容器がリセットされることはなく、一度満タンになるとしばらくその状態でキープされます。この状態のことをクラッチゲージが「リーチ状態」であると呼ぶことにします(下の図)

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では、クラッチ怯みはどのようなタイミングで発生するのか。それは①クラッチゲージがリーチ状態のときに②いずれかの部位で通常怯みが発生した瞬間です。より正確には「通常怯みが発生するはずだった」瞬間と表現したほうがよいかもしれません。

例えば下の図では、右前脚の蓄積怯み値が部位耐久値を迎えており、リーチ状態にあったクラッチゲージが完全消費されて0の状態に戻るとともに、右前脚の「通常怯み(本来起こるはずだった)」が「クラッチ怯み」に置換されます。

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ここでのポイントは、リーチ状態にあるクラッチゲージが発動するのはモンスターが「通常怯み」のリアクションを起こす(はずだった)時だけであるということ、そしてリーチ状態のクラッチゲージはそのような瞬間を迎えるまでずっとリーチ状態を保持し続けるということです。

拘束中やダウン中のモンスターはそもそも「怯み」というリアクションを取らないので、こういったSA中にいずれかの部位で怯み値超過が発生してもリーチ状態のクラッチゲージはそのまま保持されますし、あるいはモンスターが「ダウン」のリアクションを起こすときにもそれがクラッチ怯みに置換されることはありません。あくまで「通常怯み」のみを置換します。

したがって、クラッチ怯みの発生順序にはあらかじめ決まった規則性があるわけではなく、ハンターの攻撃の各部位への分散次第では、通常怯み・ダウン・クラッチ怯みの順番は毎回ちょっとずつ変動します。ただしその仕様から、「通常怯みが起こった次の回の通常怯み」や「ダウンの次に起こる通常怯み」はクラッチ怯みに置換される可能性が比較的高いと言えるでしょう。

なおクラッチゲージの蓄積レートは、モンスターが怒り状態にあるときや、モンスターの残りHPが少なくなってきた時には、やや低下します。

例外的に、ごく一部のモンスターの特定の部位では、クラッチゲージがリーチ状態であっても通常怯みがクラッチ怯みに置換されない場合もあります(ex.アンジャナフ亜種の頭)



ダウンループと怯み値管理

『SA中の怯み値超過』の章で「モンスターが拘束/ダウンから復帰するときには怯み値の容器の状態はそのまま引き継がれる」と述べましたが、このダウン復帰時の容器の溜まり具合は、その後再開する狩猟において極めて重要な意味を持っています。これに関して2パターンの超過の例をあげて説明します。

①まず一つ目が「もったいない」超過のさせ方の例です。

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モンスターの拘束/ダウンの直前に、部位耐久値1000の部位に999の怯み値が溜まっていたとしましょう。この部位はあと1回でも攻撃すれば「怯み」が発生しますが、このタイミングで拘束ないしは別の部位でダウンを取ったとします。そしてダウン中に「本当はあと少しで「怯み」が取れるはずだった」部位を攻撃し、数ループ目の容器に怯み値が100溜まった状態でダウンから復帰したとしましょう。

このとき、本当はあと少しで取れたはずだった「怯み」の機会を失ってしまったばかりか、ダウン復帰後のその部位の容器に少ししか水が溜まっていないため、再び多くの怯み値を蓄積させないとその部位の「怯み」をトリガーできません。


②次に二つ目が「とてもお得な」超過のさせ方の例です。

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ある部位の怯み値が0の状態でモンスターを拘束、あるいはその部位自体の怯み値超過がトリガーとなってモンスターがダウンしたとします。ダウン中にこの部位にダメージを与え、数ループ目の容器に怯み値が999溜まった状態でダウンから復帰したとしましょう。

この場合、拘束/ダウンの開始時に損失してしまう怯み値は一切なく、そしてさらにはダウン復帰後の容器がすぐさま次の「怯み」をトリガーできるような状態になっており、ダウンを最も効果的に活用できていると言えます。

ここまで読んでお気付きになった読者も多いかもしれませんが、この2つ目の例のように「ダウン復帰後にすぐさま次の怯み/ダウンを取得できるように、ダウン中の怯み値を調整すること」こそが、頭ハメやダウンループなどと呼ばれる高難易度な拘束手法の原理です。

この方法を極限まで突き詰めれば、一度ダウンを取って怯み値の調整を行ったのち、ダウンから復帰後のモンスターが動き出す直前に攻撃を加えて再びすぐさまダウンさせ…というようなループを延々と繰り返すことで、理論上はモンスターを一切動かすことなく討伐を迎えることが可能です。


古龍を動かさずに狩る

このような手法は特にドス型古龍(MH2で初登場したクシャルダオラやテオ・テスカトルなどの古龍と同じ骨格を持つ古龍全般)に有効で、また同時に、それを最も遂行しやすい相手がドス型古龍でもあります。

最後に頭ハメ・ダウンループに取り組むにあたってのポイントを2つお伝えして終わります。なおMHW:IBのMR古龍の「頭」の部位耐久値は以下の表の通りで、強化個体を除いてはいずれも1000前後です。(数値はソロプレイ時のもの)

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【A】ダウン復帰時の怯み値は限界を狙わなくてよい

先ほどの章では「良い例」としてダウン復帰時の怯み値蓄積が999/1000である状態を示していました。確かにこの状態は最も理想的ではあるのですが、現実的にはここまで攻めた調整をする必要はありません。というのも、特にMR武器での攻撃はその一振り一振りで数百単位のダメージが入るからです。

例えば一撃で500程度のダメージを与える武器種ならば、ダウン解除直前の最終的な怯み値は正味500/1000ほどあればそれで十分です。

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蓄積の調整においては、限界を攻めすぎたあまりダウン復帰直前に超過が起こってダウン復帰時の怯み値が0付近に戻ってしまうことのほうがリスクですし、仮に蓄積しておくべき怯み値に僅かに及ばなかったとしても、そのあと少し攻撃すれば再びループを始められるので、慣れないうちは「ちょっと足りない」程度にしておくほうが総じてロスは少ないでしょう。


【B】ダウン復帰後のタイミングは早くても遅くてもダメ

ダウン復帰後に再び「怯み」をトリガーするための攻撃タイミングはなかなかシビアです。少しでも早すぎるとSAと重なって超過が発生してしまい、少しでも遅すぎるとモンスターがその場から動き出します。完璧にループさせるのであれば、ちょうどぴったりのタイミングを狙わなくてはなりません。

ただし「少し早すぎ」て超過させてしまった場合は再び0から怯み値のため直しとなりますが、「少し遅すぎ」て空振り等してしまった場合は、モンスターを追って少し攻撃するだけでループは再開するので、慣れないうちは「ちょっと遅め」に振り下ろしを狙うほうが総じてロスは少ないでしょう。

怯み値の調整やダウン復帰後の攻撃のタイミングは、対象のモンスター(対象のクエスト)で自身が使いたい武器種のTA動画を調べて、その通りに真似をするのが良いでしょう。「想定したコンボを想定したタイミングで放つ」こと自体も初めてのうちはなかなか難しいものですが、練習あるのみです。



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以上、全10章にわたって「怯み」のシステムについて解説してきました。怯みを予測しながら立ち回ることが出来れば、あなたはもう立派な上級者の一員です。そしてさらに、怯みの発生までもを完全にコントロール出来るようになったとき、そこには間違いなく、今までにないハイレベルな狩猟体験の世界が広がっていることでしょう。

参考URL
Kiranico / MH:WORLD(最終閲覧日2020.11.17)
Monster Hunter World: Iceborne - Weapon Attack Tables(最終閲覧日2020.11.17)
reddit / How the drooling stagger exactly works(最終閲覧日2020.11.19)
記事の執筆にあたり、teru*.+゚氏には多くの知識や示唆を頂きました。深く感謝申し上げます。

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