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「旅を創る」側への挑戦 - ”タイへの恩返し”と”人生の幅を広げる”、熱き想い

「旅を創る側になりたい。タイに恩返しをしたいんですよね。こんなこと言ったら偉そうかもしれないけど。」

チェンマイ坂田さん

謙虚な口調から語られる、チェンマイ坂田さんのほとばしる熱き想い。

印象的な名前の通り、この夏、坂田さんはタイの古都・チェンマイを拠点にしたローカルツアー事業を起こします。

なぜ今なのか。
なぜチェンマイなのか。
なぜローカルツアーなのか。

今回は、坂田さんにインタビューを行いました。
人生を紐解くと、そこにはいつも”タイ”の存在があったのです。

「人と違うことがしたい!」野球少年の目覚め

現在の坂田さんは、外資系コンサル会社勤務。それ以前は、日系自動車メーカーの営業としてタイを担当していました。

ータイとの縁はいつ頃からですか?

初めての海外旅行がタイでした。大学生になった時、友人とツアーに申し込んだんです。その自由時間、自分たちだけでフードコートに行ってコーヒーライスを頼んだら、変な毛がついていたり、スーパーからの帰り道に野犬がたくさんいたり。日本との違いにとにかく興奮して、そこから旅にドハマリしました。

ーそこからは、タイに限らず旅を?

はい、ひとり旅をし始めました。初めての海外ひとり旅は、オーストラリアに1ヶ月滞在しました。

ーなぜオーストラリアだったんですか?

最初はインドに行こうかと思ったんです。でも、インドはバックパッカーがみんな行くから、自分は人と違うところに行きたいと思って。その頃、パックパッカー界隈で向井さんという有名な方がいらっしゃり、Twitterで「大学生の初めてのひとり旅は、どこがいいですか」とDMを送ってみたら、なんと直接会って色々教えてくれたんです。         

向井さんのおすすめがオーストラリア

ー直接会えるとはすごい!オーストラリアはどうでしたか?

広大な土地で過ごし、自然の有難みを感じました。加えて、意外に外国の方とも話せることに気付き、互いの環境は違うけれど、心は通じる喜びを感じました。いろんな生き方を知れたのも良かったです。

ーその後世界を旅する中、またタイとの縁が?

大学3年生の時、タイに留学しました。短期旅行ではなく、実際に海外に住む体験をしたくて。ただその時も、みんなが選ぶ英語圏ではなく、人と違う留学先を選びました。

東南アジアの可能性を感じたタイ留学

ー「人と違うことがしたい!」に重きをおかれているように感じましたが、いつ頃からですか?

ずっと野球漬けの野球少年だったんです。大学に入学した時、もう青春を野球で潰したくない、これからは自分の好きなことを思う存分すると決めた時からですね。それまで野球しかしてこなかった反動です。

「旅の恥はかき捨て」から得たもの

ー大学卒業後は一旦会社員になられましたが、事業を起こしたい想いは以前からあったのでしょうか?

大学生で旅をし始めた頃から、漠然と考えていました。いろんな暮らしを見る旅の中で、好きな人と、好きな場所で、好きなことをしていたい!と思うようになりました。あとは、やはり人と違うことがしたい想いが根幹にありますね。

ーいろんな暮らしを見る旅とは、もう少し具体的に聞かせてください。

いわゆる観光地を巡る旅だけではなく、現地の人に話しかけることで、その国の人々や文化を知る旅をしてきたんです。知らない世界や、知らない暮らしを知りたい好奇心が高くて。自動車メーカーを退職し、将来の起業を見据えて現職のコンサル会社に転職したのも、マレーシアで現地の人に話しかけ、ホームステイをさせてもらった旅の影響です。             

仲良くなった現地の子供たち

ー面白い旅のスタイル!知らない人に話しかけるのは、抵抗はないですか?

自分では、いわゆる誰とでも話せる”陽キャ”ではないと思っています。でも、好奇心はめちゃくちゃ高い。日常から離れると、話しかけることが恥ずかしい気持ちと好奇心を満たしたい気持ちの境界線が変わるんです。恥ずかしい気持ちもあるけど、とにかく知りたい思いが旅先では高まる。まさに旅の恥はかき捨てですね。

ー非日常では好奇心のシーソーゲームが勝つんですね!マレーシアでのホームステイのお話をもう少し聞かせてください。

街の食堂で注文できずに困っていたら、現地に住む親子が助けてくれたことがありました。話をして仲良くなるにつれ、もっとこの人たちのことを知りたい思いが強くなり、勇気を出して、今日泊めてもらえるか聞いてみたんです。そしたら、了承してもらえて。

ー泊ってみてどうでしたか?

その家族はイスラム教でした。真剣な表情でお祈りする様子を初めて間近で見て、衝撃を受けました。マレーシアは多民族国家で、民族間にも壁があると事前に聞いていたものの、実際にはその壁はあまりなかったですね。自分の目で見ることの大切さを知り、世界の広さも改めて感じました。        

ホームステイを受け入れてくれたマレーシアの家族

ーなるほど。そのご経験が、どのように転職に繋がったのですか?

実はその時、激務のコンサル会社に転職することを躊躇していたんです。でも、もしクビになっても、もっと広い視点で見れば大したことではないと思えました。日本での仕事がうまくいかなくても、世界のどこかでやり直せばよいと。結果、転職に踏み切ることができました。広い世界を知ったからこそ、今、安定した会社員を捨て、異国で事業を起こすことにも怖さはないですね。

命の有限さを感じた今こそ「タイに恩返し」を

ー坂田さんは現在、株式会社TABIPPO主催の、トラベルクリエイターを目指す講座「poolo job」に参加していますよね。事業へ関りがあるのでしょうか。

チェンマイでのローカルツアー事業の発信力を高める目的で参加しています。今度は旅を創る側にまわりたい。自分だからこそ創ることができる旅にこだわり、その魅力を分かりやすく伝えていきたいと思っています。

ー具体的には、どのような旅を?

少数民族の村を訪れて、村人と生活を共にし、一緒に伝統料理を作るなどの体験を通じて、観光地にはないありのままの暮らしを味わえる旅です。

ータイに留学し、前職でもタイを担当をされ、今回の事業もタイのチェンマイを選んだのは、やはりタイが好きだからですか?

本能的にタイが好き。それも大きいです。加えて、タイに恩返しがしたいんです。タイ留学中も、ソフトボールチームのチームメイト達は、見ず知らずの日本人である自分を家族の一員として受け入れてくれました。ごはんを振舞ってくれたり、遊びに連れて行ってくれたり、本当にたくさんの愛をもらいました。          

ソフトボールチームのみんなと

チェンマイを選んだのは、山あいに少数民族が多く集まる都市で、自分の作りたいローカルツアーの世界観を創るのにぴったりだからです。

ーこの夏を選んだのには理由が?

実は、高校の同級生が少し前に病気で亡くなりました。そして自分自身も、自転車で事故を起こしてしまって、あと1秒早かったら死んでいた、というくらい大きな事故でした。

ーなるほど、だからこそ、今やりたいことをやろうと?

そうです。人はいつ死ぬかわからないと考えるようになりました。また、チェンマイに移住した方との繋がりができ、事業を起こす足固めができたことも大きいです。

ーブログを拝見すると、既に一度ローカルツアーを実施されているのですね?

2023年の年始に実施しています。コーヒー農家にホームステイし、コーヒー豆の収穫や発酵などの体験をしたり、少数民族の機織りを見学する1泊2日のツアーです。

ー実施してみてどうでしたか?

自分がやろうとしていることは、観光地を周りたい万人には刺さらないかもしれない。だけれど、このツアーを必要としてくれる人がいることが分かり、改めて拠点を移す決意が固まりました。                               

年始のローカルツアーは大成功!

「人生の幅を広げる」ための旅創り

ー坂田さんが、ローカルツアー事業を通して成し遂げたいことは何ですか?

誰かの人生の幅を広げるお手伝いをしたいと思っています。突然のホームステイなど、人とは違う旅のスタイルをとってきた中で、現地の生活を体験することが、人生の幅を広げ新しいことに挑戦するきっかけになることを、自分自身が実感しているからです。        

現地の機織りを体験

ー日本人向けのツアーですか?

観光地を巡る旅では物足りないけれど、それ以外の機会に巡り合えてない日本人向けツアーです。世界からみたらお金持ちの日本人に、タイでの現地の暮らしを提供し、新しい世界を体験してもらうことで、人生に良い影響を与えられたらと思っています。

ー今後はタイに移住を?

タイを拠点にして、日本も往復する生活にしようと思っています。まずは日本人向けのローカルツアーから始めますが、ゆくゆくはタイ人向けの日本ツアーも企画します。日本について知りたいタイ人への、恩返しの一つです。趣味と仕事を一体化させて、自分の想いを実現させながら、自由に生きていくことが目標ですね。        

自由に大切にしながら、想いを形に

独自の旅スタイルから培った価値観を大切にし、旅をする側から「旅を創る」側へ果敢に挑戦する姿。そこには、愛してやまない「タイへの恩返し」の原動力と、世界から見たら恵まれた環境である日本人の「人生の幅を広げる」想い。真っ直ぐな夢がこれでもかと伝わってきました。

人と違うことをする!がモットーの坂田さんならではの、今後の旅創りが楽しみです。

(坂田さん運用Instagram)

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