アンパンについての考察
授業中の雑談の文字起こしシリーズ①
アンパンマンってすごいよね。頭が入れ替わっても記憶と経験を引き継いでいる。いったい
アンパンマンの記憶はどこに保存されているのだろうか。
確実に頭部でないことは立証済みである。なぜならば焼きたての何の情報も書き込まれていないアンパンをすげ替えても、記憶が保持されているからだ。記憶と経験の保存領域は、体のどこかということになる。腕や足はアンパンチやアンキックに使われ衝撃が絶えず襲ってくるため、データの保存には適していない。デジタルデータであろうと生体脳のようなデータ保存方式であろうと、強い衝撃はデータを破壊する恐れがある。私が怪しいと思っているのはベルトのバックルにあるニコちゃんマークである。恐らくあれがアンパンマンの本当の頭脳に違いない。
アンパンマンの頭脳がベルトにあるならば、当然次の疑問が湧いてくる。
頭脳ではないのにアンパン部分はなんであんなに重要なのだろうか。
アンパン部分の機能を列挙してみる。
・アンパン部分が水に濡れると力が出ない
・アンパン部分がかじられて減ると力が出ない
・アンパン部分が泥で汚れると力が出ない
・アンパン部分は交換することが可能である
・アンパン部分が新品になるとアンパンマンは元気が100倍になる
減少したり不純物が混ざると力が出なくなる。このことから私はアンパン部分は、車で言うガソリンタンクのような、カセットコンロで言うガスボンベのような、エネルギー貯蔵庫であると予測する。エネルギーが減れば当然力は出ないし、エネルギーに不純物が混ざれば当然エネルギー変換効率は落ちる。力が出ないのも当然である。
エネルギー貯蔵庫ということになると、次の疑問が湧いてくる。
一体あのアンパン部分はどのような種類のエネルギーを貯めているのだろうか。
電池などの化学エネルギーを発生させるバッテリーであるという仮説も考えた。しかし、カバオくんが食べられる物質であることから、重金属の含まれる電池は除外される。そうカバオくんが食べられるのである。つまりアンパン部分は確実に普通のアンパンなのである。この結論に私はひどく疑問を覚えた。普通のアンパンをエネルギー源にアンパンマンが稼働しているということになると、あまりにもエネルギーが不足しているではないか。アンパンマンは大量のエネルギーを消費する。空を飛んでパトロールし、アンパンチでバイキンマンを空の彼方に吹っ飛ばす。そのすべてのエネルギーを、「アンパンに含まれる糖を二酸化炭素と水に変換することで放出される生分解によるエネルギー代謝」または「酸素と反応する燃焼熱エネルギー」でまかなうのは不可能である。圧倒的に足りない。そういった化学反応で得る以外で「普通のアンパン」から「莫大なエネルギーを取り出す」方法はなんだろう…
もうお分かりですね。そう、核融合です。炭水化物には大量の水素原子が含まれる。まずはそれを気体の水素分子に変換。太陽の中心のような超高温・超高圧の状態を作り、水素と水素が核融合し、ヘリウムになるときに生まれる莫大な熱エネルギー。アンパンマンはそれを使って稼働しているのです。そうなるとアレの見かたが変化しますね。パン工場のケムリ。あれは核融合発電のときに大量発生する水蒸気だったということです。恐らくあのエントツを裏から見るときっと核危険のあのバイオハザードみたいなマークが描いてある事でしょう。
しかし現在、人類は核融合発電を実用化できていません。実験炉ですらようやく投入エネルギーより取り出しエネルギーのほうが少しだけ多くなったかなぁ…と言うレベル。核融合炉は、鉄も溶けてしまう超高温の水素を封じる容器を用意しなければなりません。地球上にその高温に耐えられる物質はない。だから、「荷電粒子は磁場に絡まるように飛ぶ」という性質それを利用してドーナツ状の超強力磁場でプラズマ状態の水素原子核を絡め取り、温度を上げていく。そうすることで壁にぶつからないように制御しているのです。まあ小型化なんて夢のまた夢です。
アンパンマンに内蔵できるぐらい小型化するジャムおじさんの科学力の凄まじさ。背筋が寒くなります。思い返してみるとジャムおじさんの作るものはただでさえすごい。
・水陸両用で空も飛べるアンパンマン号
・宇宙にも行けるアンパンマン号
・大気圏突入もできるアンパンマン号
それに加えて
・小型核融合炉
も作れるのですから素晴らしいですね。
この科学力を何か他のことに役立てようと思ったことはないのでしょうか。
資材をどこから調達しているのか
も気になります。
科学力がすごいといえば
バイキンマンもすごい。
菌という寿命の非常に短い生物に生まれながら、長期間生きながらえて巨大化し、言語を理解できる頭脳を持ち、数々のメカを作る技術もある。
・いつも乗ってるUFO
・ダダンダン
・モグリン
その他多数。ロボットアームひとつ取り上げても、ペンチみたいな形をしているくせに柔らかいものも壊さずに持ち上げる繊細さがあり、重いものも持ち上げるパワーがあり、さらに自在に曲がる。現代の人類では再現できません。オーバーテクノロジーの宝庫。バイキンマンすごい。
人類の歴史を振り返って見ると、巨大な力を持つ二つの勢力が存在したとき、大戦争に発展せずに共存できたことはありません。ジャムおじさんとバイキンマンにも何らかの密約が交わされていると考えるのが妥当でしょう。
どのような密約が考えられるでしょうか。
双方にメリットがあり、かつ街のみんなはその密約の存在を知らない。その内容に迫るために、バイキンマンとアンパンマンの関係を掘り下げてみます。
・バイキンマンは街の人に被害を与える
・アンパンマンはそれを取り締まり安全を保証する
・ジャムおじさんはアンパンマンのメンテナンスを行う
・ジャムおじさんは街の住人に無償で食料を配給している
・アンパンマンとジャムおじさんは住人から感謝と尊敬を集める
・バイキンマンは毎回アンパンマンに負ける
このままではバイキンマンにメリットがないではないか。奪おうとしても阻止され、破壊しようとしても阻まれる。儲けも収穫もない。もしかしてバイキンマンはアンパンマンに負けることが目的なのか…?負けることで利益があるとするなら…。
バイキンマンに勝つことでアンパンマンには利益がある。街の人に尊敬をされる。そうか、尊敬だけではないのか。街の人は安全保障に対して対価を払う。アンパンマンはお金を受け取り街を守る。バイキンマンが居なくなった場合、商売が成り立たないのでアンパンマンはバイキンマンを滅殺しない。バイキンマンはどうだろう。街の脅威を定期的に演じてアンパンマンに撃退される。この役目を無償で演じるだろうか?答えは否である。そう、アンパンマンはバイキンマンに裏金を渡すことで悪役を演じてもらっているのだ!こう考えれば多数のメカを破壊されてもすぐに修理できるバイキンマンの資金源も解明される。
この恐ろしく洗練された関係性。美しい。誰が作り上げたのだろうか。そう、ジャムだ。住民から巻き上げた巨額の資金を背景にジャムは暗躍を続ける。アンパンとバイキンを操り、金と科学で世界を支配するジャム。何も知らずに税金のように金を払い安全を買うカバオたち。驚いたかもしれないが、これがバイキン陣営とジャム陣営が殲滅作戦に動かない理由なのだ。互いにその存在が利益になっている。仮にこの裏の関係に気がついた住人がいたとしても抗議の声を上げることはできない。ジャムからの配給は止まるし、ジャムの配給するパンには依存性のある薬物が入っているため定期的に与えられなければ禁断症状に苦しむことになる。そして洗脳されたほかの住民はジャムを安全保障の神と思っているから、ジャムを攻撃する告発者は住民の敵という立場になってしまう。そうなるぐらいなら漫然と食料届くのを待つブタになったほうが楽である。カバオなのに立場は家畜のブタなのである。
アンパンマンは恐ろしい物語だった。
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