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透明な毒|大阪の岡田塾というスパルタ学習塾に通っていた話3

自殺騒ぎを起こしたあと、次に岡田塾に行った時に、講師に呼び出された。

その講師は黒髪にビートルズを思わせるマッシュルームカットのような、男性だがオカッパ感のある髪型だった。
頬全体に及ぶ濃いヒゲの剃り跡と、細い目つきと小さい黒目が印象的だった。

自殺騒ぎで思いのたけを伝えたつもりであった私は、おそらくこの面談は「塾辞めるのか?辛かったんだね」といった意思疎通を行うものだと思っていた。きっと塾を辞めるための意思確認をする場だと思っていた。

ところがその講師が発した言葉は「お前、死ぬとか言うとったんやって?」だった。

そして「ほんまに死ぬ気あったんか? なんやらそこに縄くくったろか? そこで死んでみろや」と言われた。

私は、私の訴えた決死の思いが通じていないことと、この講師のデリカシーのなさに絶望した。

講師は続けた。「お前がどんなことを言おうとな、お前も、お前の兄貴ふたりとも、全員この塾に通ってんねん。お前の親とこの塾には太いパイプが通ってんねん。お前が何を言おうと、針でつついてるようなもんや、それ分かってるか?」

太いパイプの意味はよく分からなかったが、私が死のうとしてまで訴えたかったことが伝わっていない、意味をなしていないことはよく分かった。

それから、どういう形で私が死のうとしたことが、どうやってこの講師に伝わったのだろうか。
それだけが不可解な思いだった。

その後、その日は何事もなかったかのように授業を受けた。

それから授業日ではない土曜日に、その塾の理事長から呼び出しがあった。

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