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大富豪に大不合

人間誰しも「通ったモノ」「通ってないモノ」を抱えている。僕はどうやら「通ってない」が周りよりも多いようで、しばしば困ってしまうのだ。


少年漫画を「通ってない」。
僕がドンピシャの少年だったころ、某海賊漫画も某忍者漫画も一切触れてこなかった。当然その後の某少年跳躍雑誌作品もよく知らない。あんなに流行っていた某鬼漫画も1秒たりとも見ていない。
少年時代に漫画が教えてくれるはずだった友情・努力・勝利を完全にスルーしてしまった僕は、だからこんなに捻くれてしまったのか。

スポーツを「通ってない」。
そもそも運動が嫌いという前提があるので仕方ないのだが、それにしてもルールを知らなすぎる。野球なんて最たるもので、イメージに対してルールも用語も複雑すぎるではないか。なんだDHって。なんだワイルドピッチって。なんだエンタイトル2ベースって。
こうやって僕は漫画だけでなくスポーツからも友情・努力・勝利を学び損ねたのだ。
以前付き合っていた人の父親が野球好きで、「今度一緒に観に行こう」と言われたときはヒヤリとした。結局行かなかった。

トランプゲームを「通ってない」。
特に大富豪。
僕の中には大富豪がトランプゲームの代表みたいな感覚はなくて、高校生のときに1回やったかな、くらいの記憶である。
しかしなぜか大人になってからトランプをするときはみんな大富豪をやりたがるのだ。多くのローカルルールに適応して勝ち方を知っている人たちとやる「通ってない」大富豪は、あまりに面白くない。
僕の地頭は決して悪くないはずなので今からでもしっかり覚えれば、とも思うのだが、友情・努力・勝利を完全にスルーしてしまった僕がそんなことするはずがないのである。ずっとババ抜きでいいのに。ずとババ。


では逆に何を「通った」のか、僕は。
幼少期はよく絵を描いていた。機械の恐竜のオリジナルキャラクターがいて、シリーズ展開していた記憶がある。あとはレゴブロックをいつもやっていた。見事に1人で世界が完結している。友情バツ。
漫画は姉の持っていたものを借りて読んでいたけれど、今思えば姉のチョイスも少し変わっていた。夜間学校に転入したらクラスメイトが化け物しかいないやつとか、ひょんなことから冴えない主人公が学校のアイドル集団「モテ部」に入ってしまうやつとか、主人公の14歳の誕生日に大怪盗としての裏人格が目覚めて双子のヒロインと四角関係になるやつとか。このせいで僕は14歳の誕生日を楽しみにしてしまっていたのだから姉の責任は重い。
どれも生活の中でいきなり変化を与えられる話ばかりで、甘えた話である。努力バツ。それに勝ち負けとかの話でもない。勝利バツ。


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