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呪物を捨てようとした拝み屋


拝み屋の付き添いの人から聞いた話
拝み屋の師匠であるご隠居が現役の拝み屋をしていた頃の話
本業の按摩のご隠居へ客がある物を持ってきた
付き添いの人曰く木彫りの人形の様な物で
「お前は触るなよ」
とご隠居に言われ、ご隠居が先ず触った
「これは仏さん(仏像)か?悪い風(呪い)が溜まってるぞ」
それをそのまま拝み屋に渡して拝み屋は匂いを嗅いでいた
「恥ずかしながらうちのもんが厄介な拝み屋(霊能者)に引っかかって」
霊が取り憑いているとこの仏像を押し付けられたという
「しかも供養代と仏像代まで請求されて」
あまりに高額な為、それに気付いた客が返そうとしたが
「提示した金額が払えないならもっと不幸になるぞ」
とまで脅されたという
その後から客の家では不気味な女の霊が現れたり、地震でも無いのに家が揺れたりした
家族は頼むから金を払って欲しいと頼まれたが客の方は拝み屋にツテがあるからと押さえた
「タチが悪いな。人の弱味につけ込むとは。俺の師匠がそういう事をするのは仏さんや神様の罰を当てると言ってた」
そう言って拝み屋に
「おいお前ならどうする?どれを返す?」
と聞いた
この仏像には複数の呪いがあり、どれを先に返すか聞いたが
「ゴミとして燃やしたら良いやろ」
とゴミ箱に捨てようとした
「師匠は面倒臭い」
文句を言った拝み屋は叱られた
「そんな事を省略出来るのはベテランだけだ。若僧が楽するな」
説教された拝み屋は全責任を持ってこの仏像の返しをされたと言う
「俺はあの人達と違って霊感は無いんですけど。あの仏像だけは触っちゃいけないと言う感じがしてました」
付き添いの人から見た仏像は黒く変色して不気味な様相を見せていた
それから毎日拝み屋はその仏像を撫でていた
「それで返せるんですか?」
不思議に思った付き添いの人が聞いてみると
「絡まった紐を解くより簡単。でも下手くそが量だけ詰め込んで面倒臭い」
とは言っていたが
「あれはそんな簡単な物じゃ無い。悪意の籠った風(呪い)を詰め込んだものを返す相手はクソみたいな人間だが技術は俺より上だ。それより上があいつだ。あいつは天才だからな」
1週間後には仏像は真新しい白い木彫りの仏像になり、禍々しい雰囲気は消えていた
と同時に客の家での地震や霊も消えたと言う
「全部きっちり返した。だから今はあっちが同じ目に遭っているか、それ以上だな」
ご隠居曰く大事な家の人間を脅かした事に土地の神様が怒って仕返しを受ける場合もあると言う
「俺達拝むだけの者はそれだけで無いと欲をかいたら神様から見捨てられる」
因みにその仏像は薪にくべようと拝み屋が提案したが無視されご隠居の知り合いの寺で供養された
「お姉さん(私の事)知ってると思うけどこの人呪物の扱いは雑だから気をつけて」
他にも何かやからしたのか付き添いの人言葉説得力があった


終わり

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