工高生の作品⑥-地域のお宝さがし-112

■工高生の作品-今宮工高Ⅳ-■
 勤務校の文化祭ではクラス展示があり、1年生では、住宅の模型(1/10)を作成しました(図1~3)。図面作成から模型の完成まで、クラスの生徒が協力・努力しました。制作は実習室で行いましたが、完成したら大きすぎて出すことができず、出入口の建具(2枚)を外して出したことを覚えています。

■文化祭展示■
●木造2階建て住宅模型●

図1 基礎・床の作成
図2 軸組の作成

 多くの生徒が毎日残って作業をしました。顔はカットしていますが、ワイワイと賑やかに作業している様子が分かると思います。最終の追い込みの時期には、毎日遅くまで作業をする生徒達のために、昼間から「ぜんざい」や「おでん」を煮込み、皆で食べようとしていたら、運動部の練習を終えた生徒まで集まり、夜食が不足する事態が発生しました。その後は、煮込みの量を増やしましたが、クラスの大半の生徒が参加したことが、とても印象に残っています。

●竪穴住居●
 2年生では、竪穴住居を作成しました。といっても、竪穴住居の実感がつかめないので、まず図面を描き、そして模型を作成しました(図3~5)。

図3 竪穴住居模型側面
図4 竪穴住居模型断面
図5 竪穴住居模型断面

 図3では、模型の藁葺きが上手くできています。図4では、外部に突き出した垂木(たるき)が、神社の千木(ちぎ)に類似することが理解できました。なお、図5の奥にみえる住宅模型は、1年生で作成したものです。
 模型の次は、実物の作成です(図6~9)。藁は稲藁で、大阪南部で水田耕作をしている生徒の家まで、クラスの皆でもらいに行きました。大量の稲藁を運ぶのに、生徒の父君が4トントラックで運んでくれました。
 藁葺きは模型で経験済みとはいえ、実物の藁葺きは初めてでした。「どうするかな?」と、観察していると、皆で相談・工夫しながら、藁を小束にしてくくりつけるという一般的な葺き方にたどり着いています。そんな作業を見ながら、「たいしたもんや!」と驚嘆しました。

図6 竪穴住居側面
図7 竪穴住居正面
図8 竪穴住居の内部
図9 竪穴住居入口上部の換気口

 足元の藁が切りそろえられていませんが(図7)、予定通り完成しました。屋内に簡単な炉を作って火をくべてみると、結構な暖房効果あること、入口上部のすだれ(換気口)から煙が出ていることから、に換気効果があることも実感されました。ここに泊まり込み、屋内外の温度差や屋内の位置による温度変化などを測定したかったのですが、防火などの点から許可が出ず、炉の火も短時間で消さざるをえませんでした。

■閑話休題■
 1・2年のクラス展示では、学年の優秀賞を受賞しました。3年生で本物の作業小屋を作成したところ、審査員の保護者がクラス展示とは思わず、校内の施設と勘違いされ、審査の対象から外れていたことを後から知り、残念に思いました。
 3年間の担任は疲れましたが、生徒たちもよく頑張ってくれた、印象に残るクラスでした。

 次回から、建築家本間乙彦について紹介します。

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