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英国旅行記2016年9月 Harewood Houseへ

2016年9月に英国を旅行した記録の2日目です。2日目はYorkにある Harewood  Houseを訪問しました。前日のStaffordから鉄道でLeedsまで移動しそこで宿泊。翌日、ホテルに荷物を預けて、バスで1時間ぐらいをかけてHarewood Houseへと向かいました(1日目の旅行記→:英国旅行記2016年9月 Shugboroughへ)。

Harewood Houseはハーウッド伯爵ラッスルズ家の邸宅で、日本のカントリーハウス研究の第一人者・田中亮三先生の著作『英国貴族の邸宅』で取り上げられています。私はこの本を読み、建築家ロバート・アダムのデザインや色彩感覚を好きになり、ロバート・アダムの邸宅をできるだけ訪問することを目的に英国旅行をしています。

この屋敷の外観は、英国ヴィクトリア朝を舞台とした漫画『Under the Rose』のロウランド伯爵家の邸宅にも使われています。

さらに景観はランスロット "Capability" ブラウンが担当しており、非常に豪華な屋敷として訪問したかった場所でした。最近では『女王ヴィクトリア 愛に生きる』のドラマの撮影にも使われました。


大変残念なことに室内の撮影がNGのため、主に外観と庭園の写真になります。

1. 屋敷へのアプローチ

アーチをくぐって入っていきます。

歩き続けてようやく姿が見えます。

2. 屋敷

空堀。階下の採光窓が見えます。

屋敷は正面玄関から入り、ぐるりと回る形で散策できます。写真撮影NGのため、公式サイトの写真ギャラリーをご参考までに。正面玄関から散策できるのは1階のみです。私が見たアダムのインテリアでは、最も豪華で壮大なもののひとつで、息を忘れそうになるぐらいに美しいものでした。ギャラリーの天井とミュージックルームの天井と絨毯がついになったデザインは格別でした。


収蔵されている美術品は膨大で、ロバート・アダムの美しい装飾からチップンデイルの家具、ターナーの風景が、レイノルズの肖像画など様々です。

2階には上がれなかったのですが、玄関ホールにいたスタッフの方に聞いてみたら、ドアに隠れていた2階への階段を見せてくれました。

3. Below Stairs、使用人の領域へ

ここは「階下の世界」が充実しています。入り口は別に。

キッチンはやや古く暗いものでしたが、最も美しかったのがスティルルームメイドが働いたスティルルームです。大きな窓からの採光がしっかりしているだけではなく、色彩が統一されて美しく、壁際の棚には美しい陶磁器やガラスのグラスや器を収納した食器棚があります。部屋の隅にもハーブか何かをすりおろしたであろう乳鉢(大小)が据えられていました。

中央のテーブルの上にはジャムなどの保存食品や茶器がありつつ、多くの備品が展示されており、最も生き生きとした印象を与えた部屋でした。

廊下には、家事使用人の呼び出し用のブザー(ベルではなく電化式)もありました。

こうした家事使用人の情報の充実は、個々の部屋だけではありません。公式サイトでは屋敷で働いていた数百年分の家事使用人をデータベース化しており、情報が残っている範囲において職種別、年代別に、どんな職種が存在したかもわかります(非常にシンプルな情報がほとんどですが)。さらに20世紀の写真も多く残っています。

これを見ると、たとえば「butler」は屋敷に28人分の記録があります。

見ていくと、カントリーハウスがあるこのHarewood Houseと、タウンハウスがあるロンドンとで別々の雇用もあったようです。

そして、屋敷の定番・庭園です。ここから見える丘の上の森の眺望を作り出したのが、ブラウンです。

庭園から、下に降りられます。

今度は反対の角度から屋敷。

屋敷を出てすぐのところはカフェになっています。

屋敷を出て、坂道を降りていくと厩舎があります。ここでも正方形・中庭あり。屋敷の厩舎は今は使っていないので、一画がレストランになっていることが多いです。

そこを少し離れて、広い庭園を歩けます。迷子になりかねない、遠足というレベルの広さです。

いろいろ歩き回ると、キッチンガーデンにたどり着きます。

入り口。

庭園の壁があって壁の上には空があり、また壁のドアの中からも空が見える構図が好きなのです。

温室。

出口も風情あり。

壁の外側に咲く薔薇。

大勢集合。

池から厩舎を見上げる。

終わりに

屋敷の中を撮影できないと何度もいうぐらいに残念ではありましたが、とにかく美しかった、との記憶が残るぐらいに鮮烈なロバート・アダムのインテリアでした。

公式サイトの充実具合は、あまり類を見ないぐらいに親切です。

この翌日はデヴォンシャー公爵家の屋敷Chatsworthを訪問するため、LeedsからSheffieldへ移動します。

なお、Sheffieldのホテルでは、その当時のヨーロッパ限定ポケモン、バリヤードをゲットしました。


いただいたサポートは、英国メイド研究や、そのイメージを広げる創作の支援情報の発信、同一領域の方への依頼などに使っていきます。