「変な家」の感想※ネタバレあり

「変な家」読んだのでプチ感想です。
読んだ方のみ読まれる事を推奨します。


家の中に入らず間取りだけで話を進め、謎を解明していく流れはとても面白かったです。
新しいと言ってもいいくらいホラー、ミステリーの中でも良い手だと思うし、何より間取りが突飛で良い。
外国とかには特にあるけれど、床下や屋根裏に謎空間があるのを知らずに購入して〜なんて事も。
心霊動画とかでたまに出てきますよね、不法侵入して居着いちゃう浮浪者。

しかし、途中出てくる隣人のご都合主義と大元のお爺さんのエピソードが弱いなと思いました。

というのも、本作中1件目の家のすぐ隣におばちゃんが住んでいて、主人公に「実は子供を見たのだけれど」と話しかけてくる。この事によって謎の解明に繋がっていくんですが、この人、ほんとに突然出てきて重要な事だけ言う人だったです。
ふと現れた身も知らずの主人公に話しかけるくらいの所謂「おばちゃん」なのだけれど、そんなおばちゃんならもっと住人に話しかけに行かないか?と。
偏見はありますけど、おばちゃんとはかなり図々しい生き物だと私は思ってまして(すみません笑)、このおばちゃんもそれに類する印象を受けるんですよね。
ならもっと序盤で触れておかないと

進行上必要だから出しました

に見えるんです。勿論人物をもっと深掘りするのは出来るだろうし、本作のテンポの良さを作る為なのかもとは思いますが。

それと大元となるお爺さん、重治という人物。
この人にもう1エピソードあればもっと楽しめたのになぁと思いました。
俗世から隔絶した所に住んでいるのもあって、やべぇお爺さんに。意味不明な宗教にハマって家は建てるわ人は殺すわ、それに親戚達も巻き込まれて殺人に手を貸してしまったり……
となるのですが、没落しちゃって人里離れた所に住んでいて、原因もあり、諭す人もおらずの状態なのでそういった奇行に走るのも分からないでは無いのですが。
例えば13人の刺客(邦画)で吾郎ちゃんが演じた殿様は、お膳に乗せられたご飯やおかずをぐっちゃぐちゃにして食べたりします。短いシーンですが、これでもう誰もが認めるヤバい殿様になった訳です。
そういう1エピソードがあればなぁと。

総括

全体的にはスイスイと読んでしまえるのに、しっかりとした読了感もある「変な家」でした。
改めて謎解きの手法が良かったと思います。
細部がちょっと物足りないけど、2作目の「変な絵」も読みたいなと思う作品でした。

この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?