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【REPORT】幻の句に溺れて 十六夜俳句サロン

2023年9月30日。
かかみがはら未来文化財団さんとご一緒している文芸企画「こと、ばと、ことば。」の3つのイベントのなかのひとつ、「幻の句に溺れて 十六夜俳句サロン」を、各務原市のKAKAMIGAHARA PARK BRIDGEで開催しました。

この日は、十六夜。
俳人の神野紗希さんをお招きしての、“十六夜俳句サロン”です。
前日の中秋の名月には、美しいお月様がずっといてくれていましたが、この日は曇り空。
でも、そんな曇り空すらも楽しめるのが俳句の魅力のひとつです。
雲の向こうに十六夜の月を感じながら、ふだんは開いていない夜のKAKAMIGAHARA PARK BRIDGEにたくさんの人が集まりました。

俳句を知り、読み深める俳句サロン

市内外から、25名の方に参加いただき、定員満席での開催となりました。

講師は、俳人の神野紗希さん。
俳人として、また研究者・指導者としても幅広く活躍されている、若手俳人の先生にお越しいただきました。

まずは、紗希さんの解説で「俳句とは?」「どう読んでいけばいいの?」について知り深めていきます。
この日は、初めて俳句に触れるという人もたくさん参加してくださっていました。

ところどころ、俳句の歴史にも触れつつ、季語を当てはめるクイズのようなワークもしてみて会場の方にお話を伺ったりもしながら、和やかに進んでいきます。

メモを取りながら、お話を聞く参加者のみなさん

鈴木しづ子の作品を読み深めていきます

俳句の構造や季語のはたらき、読み方のコツをインストールしたところで、いよいよ俳人・鈴木しづ子の作品を一緒に読んでいきます。

実は今回の企画、最初は「俳句を読むトークイベントにしよう」というところまでしか決まっておらず、講師の紗希さんと事前の打ち合わせで「誰の作品を読もう?」という話をしていました。

そこで紗希さんの方から、「そういえば鈴木しづ子が住んでいて、行方がわからなくなったのって各務原市では…?」と教えていただき、そこから今回の企画へと発展しました。

まずは、鈴木しづ子という俳人のプロフィールなどの前情報をお話する前に、フラットな状態で彼女の作品をいくつか鑑賞。

有名な作品はもちろん、岐阜や各務原を詠んだであろう作品も合わせて、紗希さんの丁寧な手ほどきのもとで、作品を奥深く読み深めていきます。

鈴木しづ子という俳人が生きた時代のこと。
彼女が十七音に書きたかったこと。
彼女が住んでいたとされる各務原市那加にあるこの会場でそんな話もしつつ、でもそうした背景や時代のことと紐付けなくとも感じ取れる、一句の作品として今、ここで受け止めたいこと。

作品が持っている強さや儚さ、明るさも暗さも、季語に託された想いのような不確かなものを、紗希さんの優しくて詩のような言葉で解きほぐしていくような、そんな素敵な時間でした。

2時間はあっという間で、もっともっとお話を聞いていたかったところですが名残惜しくもトークイベントはおひらきに。

講師の神野紗希さん、素敵なお話を本当にありがとうございました。


今回は、各務原市のセレクトブックストア「カクカクブックス」さんが出張販売に来ていてくれていました。

神野紗希さんの著書はもちろん、俳句関連書籍をいろいろとお持ちいただきました。
購入した書籍にサインを入れてもらっていた参加者さんも。


かかみがはら未来文化財団さんからの色紙の依頼には、今日の十六夜の一句をなんと書き下ろしてくださいました。

十六夜の十七音に書く本音 神野紗希


俳人・鈴木しづ子がもしまだこのまちに生きていたら、104歳。
もしかしたら、しづ子おばあちゃんがどこかで聞いていてくれたかもしれないと感じさせてくれる、そんな素敵な十六夜でした。

この企画を、各務原市で実現できたのがとても嬉しいです。

参加してくださったみなさん、運営スタッフのみなさん、カクカクブックスさん、そしてなにより講師の神野紗希さん、本当にありがとうございました。

▷翌日10/1の「晩秋の季語にふれて 村国座吟行句会」のレポートはこちらから

▷7/1にvol.1を開催し、10/21にも第二回を開催予定の、こども向けワークショップ「森にもぐって言の葉採集」のレポートはこちらから


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