宣言

ゆでたてのブロッコリーの芯みたいなやわらかい緑を、針葉樹林にジョウロで降り注いだら、君が私にくれたやさしさをほんのちょっとは描けるだろうか。なんて思ってみたけれど、やっぱりお門違いだ。

私は困ってしまった。君のせいだよ。

小説よりも映画よりも美しかったから、もうこうなったら芸術の存在意義などないとさえ。

だったら、私はこれから何をしようか。

一年間、ドイツで小説書いたら?

落雷に撃たれた小動物のようなおののき。素敵な提案を実行してやろうとして、ドイツ留学までの日を切った。

それなのに、出逢ってしまうなんて。君に出逢えたこと以上に、これから何ができるだろう。

どんな言葉でも足りないから、少女漫画みたいな好きは言えなかった。言わなかった。消費期限迫る身で、付き合おうと告げる気もなかった。死のうと思っていた。君は残酷な天使です。幸せに耐える覚悟を持って、君の隣にいた日々は、記憶喪失になったって消えることのない鼓動そのものでした。

すべてリセットしてドイツへ飛んだら、もう一度だけ、幸せに耐える訓練をするつもりです。先のことはわかりません。出来ない約束をする気もありません。でも絶対的に言えることがある。私は君が好き。変わることなく。

小説を書きたい。詩のような、論文のような、絵画のような、映画のような、音楽のような、それら全部火薬に詰めて打ち上げたような小説を。

そのくせ、君に告げる言葉はもう枯渇してしまった。文章を書きたいと言っておきながら、君との幸せがあまりに完成されて、どんな言葉でも足りないのです。ドイツへ旅立つ意義はどこにあるんだ。

愛おしい、が拡張されたような好きを抱いていました。けれど、恋しい、侘しい、哀しい、切ない、何をどう並べても全部情けない原子に過ぎず、私はまともに息も出来ないほど、いろんな世界がつまって、君が好きです。

君が東京ドームに5万人動員して生前葬をやるなら、私は飛んでいきます。一羽の鳥が潤んだ瞳で飛んでいたら、そっと入れてあげてください。何度でも感謝します。

Ich kann dich gut leiden.


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