ナンパ難破
『
「ねえキミ。かわいさが、爆発してるけど、いいの?食べちゃいたいくらい、かわいいね。」
おおきなクマさんが言いました。
ピンク色のウサギちゃんは、大空に突き上げられたような、真っ青な顔になって、のんきな大木にぶつかりつつ、ダッシュで逃げました。
むらの動物たちのすべてを知っている大木は、葉っぱをさらさらさせただけで、すました顔です。
「おい元気出せよ」
スマートなキツネくんは、五倍の大きさがあるクマさんをなぐさめます。クマさんにナンパ術を伝授していたのは、モテモテのキツネくんでした。
「やっぱりクマには正当法は向かねえな。その顔で食べちゃいたいくらいかわいいだなんて、殺されるとおもうよ」
「強がってもこわがらせるだけだし、もうちょっと下手に出るしかないな」
「これ以上漢くさくなったらみんなこわがって逃げちゃうだろ。ほら見ろ、近くにいれるのなんて勇敢なオレくらいしかいないね」
「いっそ、オマエがかわいくなってみたら」
しょげかえって滝のような涙を流しているクマさんは、クマさんのアゴの下で水浸しになっているキツネくんに気をつかうよゆうもありません。それでキツネくんはちょっとした仕返しのつもりで、クマさんにかわいくなってみることを勧める、破天荒な冗談を言ったのです。
「わかった」蚊の鳴く声でクマさんはそうつぶやき、獲物を狩るような速さでどこかへ消えてしまいました。クマさんの風圧で、キツネくんは大木に激突し、大木の茶色いからだにつつまれました。キツネが茶色いことがおおいのは、大木の色がうつったからだそうです。
ところでクマさんはどこへ行ったのでしょう。』
「ママ!わかった!クマさんはここ!」
『大正解。クマさんは、こうしてテディベアになって、可愛い娘たちに抱っこされる運命になったのです』
めでたしめでたし?
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