あっちは素晴らしいのよ。
こちらもいい所でね。
こんなのはどうだい。
僕はにょきりとついて行った。首を伸ばして、舌をちゅるちゅるさせながら。
一、ニ、三…。
ぎゅっとか、ぶちっとか、窒息すれすれの音がした。
律儀にいいとこ取りをした頃、僕は動けなくなっていた。長い体が絡まって、幼稚園生の下手くそなリボン結び状態でさ。
全部丸呑みにしたからだ。大事なものだけ取り込めばよかった。信じればよかった、のに。
僕の夢を見てくれたら、あの娘はちょっぴり幸せになれるかもしれない。そんな暴言吐くことも叶わないくらい、僕はがんじがらめ。
#詩小説 #寓話