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パースと水平と歪みの密接な関係(ビギナー向け)

この記事を書いたきっかけ

SNSの写真界隈では「広角で人を撮ってはいけない、顔が歪むから」や「水平が出てないから下手くそ」みたいな話題は定期的に現れて炎上し、また忘れた頃に出現するを繰り返している様な気がします。これは正しいとも言えるし、そうとも限らないと言えると個人的には思います。しかしながら、このような減点法的なものの見方は往々に視野が狭くなりがちであり、本来はいくつもの要素の相互作用の理解が必要な写真において、「XXだからNG」だけで思考や理解が止まってしまう。というところに問題があると思っています。

収差がなくても歪む

3次元を2次元に映す限りついて回ることです。
地図は歪んでいる、というのとちょっと似ている話です。
マンガを描いたり、技術系の学校で製図を習ったりしたことがある方なら当たり前の話なのかもしれませんが、私はこれを意識できるまでには時間がかかりました。
具体的にどういうことか、写真で示します。

パースの例1(縦軸/アオリ方向)

説明の前提として、カメラの水平がとれているものとします。
以下の写真は、真正面を向いています。
この場合、当然ながら木は地面に対して直角に写っています。

アオリなし
アオリあり

カメラを上に向けて(アオって)撮ると、垂直のはずの木が地面に対して直角にはなりません。ただし例外として、写真には写っていませんが縦の中心線上にもし木があれば、アオっても地面に対して垂直のまま写るのは直感的に理解できるかと思います。

パースを理解していない初心者の失敗として(というか自分がそうだったのですが)アングルがついているのに、樹木や電柱などを垂直に写る様にして水平を取ろうとするというものがあります。当然、水平が傾きます。

パースの例2(横軸/パン方向)

川を正面に

真ん前を向いた状態だと、手前の河岸、奥の河岸、そして対岸側の木々の並びが平行なことが感じられると思います。

川を斜めに

ちょっと右方向にカメラを振ると、遠方のラインは水平を保ちますが、水平より上の木々の梢の並びや、手前の河岸は画面外の一点に収束する様なラインを描きます。
ところで本当の無限遠の水平線は水色のラインよりも画面上方にあり、木々に隠れています。本来はそのラインが水平であるのが物理的に水平がとれている状態ですが、目に入る遠方の対岸のラインが水平な方が、違和感ない気もします。
実際、目視のみの撮影ではそうするしかありません。
これが、水平器で水平を出しても水平に違和感を感じる場合の一つの理由かもしれません。(個人的な仮説です)

めっちゃ乱暴に言うと真正面を向けば歪まない

実際のアングルは縦軸、横軸共に角度がついている場合が多いです。ここであることに気づきます。両方の組み合わせであれば、例の水色の破線、縦のラインと横のラインが交差するあたりが一番歪まないということです。

  • 画角の狭い望遠レンズは真ん中付近を切り出したのと等価なので歪まない。

  • 広角レンズは、この反対なので歪む(パースが強くつく)。

☝️被写体に対してアオリをつけたり斜めに構えず、真正面から撮る写真のことを正対写真と言います。個人的にはこれが一番基本のアングルだと思っています。

もうちょっと突き詰めると

例に挙げた風景は奥行方向の凹凸が無視できる被写体です。
人の顔を近くで撮れば凹凸は無視できません。
実際、真正面から広角で撮れば鼻デカ写真になります。
縦横の他に奥行き要素も関わってきます。
こちらについての検証は、またいつか続けたいと思います。

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