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【中学五教科】自学自習のための参考書・問題集リスト

こんにちは。埼玉県桶川市で国語教室「ことぱ舎」を運営している向坂くじらと申します。教室での指導の他に、地域のフリースクールで学習支援にも関わっています。

このリストは、中学生のみなさんが独力で五教科(英数国理社)の学習を進めるための教材集です。ひとりでも学習を進めやすい教材を選んでいます(=授業を受けたり、授業動画を観たりする必要があるものは入っていません)。多くは小学校を卒業してすぐに取りかかれる難易度ですが、とはいえ高校受験対策のことを考えたとしても必ず通ったほうがよい、基本的なステップのものを集めています。

以下のようなみなさんに使ってほしいと思っています。

・学校の勉強にペースを合わせず、自分のペースで勉強したい
・学校の課題をこなすだけの勉強に不安を感じている
・つまずいたところ、忘れたところを一から勉強したい
・不登校、ホームスクーリングなど、学校以外の場で勉強することを選択している
・中学は卒業した(高校生・大学生・大人)が、中学の範囲を学び直したい

また、中学生のお子さんを持つ保護者の方や、市販の教材で中学生の学習支援をする必要がある団体・フリースクールの先生方にもご活用いただけると思います。

共同監修として、東京都西荻窪の進学塾「嚮心塾」の柳原浩紀先生にもリスト作成をお願いしました。というより、国語以外の四科はほとんど柳原先生の手によるものです。「自学自習」形式の指導を長年(反転授業が今ほどに注目されるようになる前から!)行っており、高校受験指導にも造詣の深い先生のご協力をいただき、信頼性の高いリストになったと思います。


はじめに:このリストの基本的な考え方

では、「授業がなくても、ひとりで勉強を進められる」ためにはなにが必要なのか。このリストでは、以下のような学習の進め方がよいと考えています。

①内容を読んで理解する

②問題を解く

③答え合わせをする

④内容を読み直して理解する

そしてその中でも特に、①「読む」ことによる学習に注目してほしいと思っています。

さあ、今日から自学自習をはじめよう、と思ったとき、ついいきなり問題集を開き、手を動かして問題を解きたくなりませんか。そこで一度止まって、まず「読む」ことで理解を深めるところからはじめてみてほしいのです。

もちろん、問題を解くことも重要なのですが、理解していないまま問題を解きはじめても効果は出づらいです。「問題を解きながら、間違えたところを覚えていくほうが効率がよい」と思うかもしれませんが、それは一度学んだことが本当に理解できているかを確認するときのやり方であって、一から学びたいときには向きません。(しかも、分からない問題をがむしゃらに解いていくのはしんどいので、大人でもなかなか長続きしません!)

学校でも勉強しているみなさんはふだん、この「読んで理解する」段階を、授業で行っていることになります。それであれば、授業で理解する→問題を解いて理解できているかを確かめる という学習方法もよいと思います。
ですが、そういうみなさんでも、ぜひこのリストに挙げた教材を使って、「読む」ことでも理解はできることを知っていただきたいと思っています。

というわけで、このリストでは、問題の前に・問題よりたくさん 解説が載っている教材を選んでいます。
なお、英単語と漢字・語彙の暗記が必要なものに関しては、

①意味を理解しながら暗記し、
②忘れたものは再度覚えなおしていく

という点を重視しています(一度覚えたものも当然忘れるので)。そのため、一回やったら終わってしまう書き込み式のドリルではなく、何度も周回して覚えなおせる単語帳形式のものをおすすめしています。

なお、同じ科目・単元に複数の教材を挙げているものもありますが、ここにあるすべての教材をこなさなければいけないわけではありません。それよりもむしろ、使いやすい一冊を周回することをおすすめします。(ただ、わかりにくいときの補足として使える教材も紹介しています。その場合はそのように明記してあります)


英語(英文法)

文法の学習は、まさに上で話した「分かっていないままいきなり問題を解きはじめてしまう」という失敗をしがちです。
「最初の文法解説が充実していて、問題数が少ないもの」
かつ
「品詞の概念をしっかり扱っているもの」
を選ぶのがおすすめ。

『高校入試 とってもすっきり英語』永山泰士(旺文社)


※絶版

品詞の区別から中学での基本英文法まで、これ一冊でまかなえる。わかりやすいのに本格的な説明で、大学受験のための高校英文法の土台にもなる。問題が少ないのも、問題を解いて安心してしまわずに、読んで理解していくのにとても良い。現在入手しにくいのが唯一の難点。

『これでわかる 中学英文法』(文英堂)

参考書と問題集がセットになっているが、参考書の部分の説明は充実していて、これを読んで自分で説明できるようになることで勉強になる。ただ、問題量が初学者には多いので、一周目は応用問題まで解かずに、基本問題までにとどめてわからないところを参考書部分に戻って読み直すのが良い。

『中学校3年間の英語が1冊でしっかりわかる本』濱﨑潤之輔(かんき出版)

これも説明が多く、品詞の分類を真正面から扱っていて素晴らしい。問題が少なく説明が充実しているのもよい。一方で文法の説明の体系性が少し低く、羅列的に読めてしまうのは少々難点か。それでも説明が充実していて問題が少ないのはとても良い。


英語(英単語)

英単語帳選びのポイントは以下のふたつ。

①英単語の読みにカタカナがついているもの
②レベル別に大きく分かれているもの

①発音をひとつずつ調べるのも、発音記号を覚えるのもはじめは大変なので、カタカナからはじめるのがベター。②は、一冊周回するのはなかなか大変でも、レベル別に大きく分かれていれば、セクションごとにくり返して覚えることができます。はじめやすく、続けやすいことが重要です。

『高校入試 超効率 中学英単語1200+英熟語200』(文英堂)

上記のふたつのポイントに加えて、単語が品詞(名詞、動詞、形容詞……)ごとに並んでいて、意味を覚えながら品詞も整理できるのがよい。


国語(国文法)

「読めない文章」を読もうとするとき、まず必要になるのが文法の力です(英語では当たり前に思われていることですが、案外国語では見落とされがちです……)。「主語」「述語」といった文の要素、「名詞」「動詞」といった品詞の区別がついていると、文章を読むときの枠組みができて、「なんとなくわからない(なんとなくわかる)」が減ってきます。
これも解説が多く、「読む」が充実したものがおすすめ。

『くもんのスタートでつまずかない 中学国語文法・古典』(くもん出版)

名前の通り、入門用の難易度。「文法とは?」「文節とは?」という基本的な用語の意味から解説されているところがよい。ただ活用など解説が足りないところがあるので、あくまで入門用に。

『これでわかる中学国文法』(文英堂)

上の「スタートでつまずかない〜」よりもかなり詳しく解説されている。慣れてきたらこちらにステップアップするのがおすすめ。周回するならこちらを。


国語(漢字・語彙)

漢字の学習をするときには、意味もいっしょに覚えられるものがおすすめ! わからないまま漢字だけ読める/書けるようになっても定着しません。一見かんたんで、わざわざ意味を確認するほどでもないように思える単語であっても、いざ聞かれると案外わかっていないことが多いです。

『システム中学国語 漢字・語彙編』出口汪(水王舎)

すべての単語の意味が載っており、意味だけ・漢字だけをそれぞれ赤シートで隠せるのがよい。また、読解問題を視野に入れた「重要語」が90語まとめられている。

『高校入試 超効率 中学漢字・語句1100+文法40』(文英堂)

こちらも(難しい単語だけとはいえ)意味がちゃんと載っている。こちらは同訓異字・同音異議語、類義語・対義語、文法事項まで確認できる。持ち運びしやすいサイズ。


国語(読解)

『中高生のための文章読本 −読む力をつけるノンフィクション選』編:澤田英輔、仲島ひとみ、森大徳(筑摩書房)

短くて読みやすいノンフィクション(説明文、評論)のアンソロジー。普段あまり本を読まないのならここから始めてみてほしい。はじめは興味のあるところから読むだけでも。「ジェンダー」「障害」「環境倫理」など、現代で注目すべきテーマが充実しているのも、読解の入門向き。

『無敵の現代文記述攻略メソッド』小池陽慈(かんき出版)

高校生向けの参考書とはいえ、解説が充実しており、かつ易しい言葉・レイアウトで書かれているため、中学生でも取り組みやすい。「要約」を通して読む力をつけていけるのが本質的。記述問題のテキストだが、読解のテキストとしてもおすすめ。


国語(古典)

『高校入試 とってもすっきり 古文漢文』(旺文社)

文法の基礎知識から読解の方法までカバーされている。単元ごとにまず例題があり、解説もていねい。きちんと読んで理解しながら進めやすい。和歌や漢詩の知識、月の異名(睦月、如月……)などの古典知識も載っていてよい。


数学

『体系数学』(数研出版)

教科書には大切な基礎が全て詰まっているが、解答がないのだけが難点だ。このシリーズは市販本が教科書と同内容で解答もついていて使いやすい。また類書では例題の解説が省略されているのに対し、体系数学は例題にもしっかり解説が載っていて素晴らしい。

『塾よりわかる中学数学』小倉悠司・田村高之(KADOKAWA)

教科書よりも更に行間の説明を丹念にしてくれる教材。教科書がわかりにくいときには参照用として読むのに良い。説明がわかりやすいのに本格的で、高校数学の土台にもなるような本格的知識を身につけることができる。


理科・社会

『やさしくまるごと中学理科/社会』(学研出版)

マンガも入っていて、説明も(端折っているところもあるが)わかりやすい。チェック用の問題もついているが、まずは読んで理解するところから始めたい。

教科書

教科書に載っていることは、受験勉強で言えばストライクゾーン。教科書の文字数を読めるのなら、教科書は(特に理科・社会は)ベストの教材。

『中学総合的研究理科/社会』(旺文社)

上記2つでわかりにくいときには参照して読むために使える教材。情報を絞って無理やり覚えるよりは説明が多くても理屈がわかったほうが長期的に記憶に残りやすい。そのためのツールとして最適。


おわりに:自学自習という強さ

最後にもう一度、このリストのポイントをふりかえります。

①内容を読んで理解する

②問題を解く

③答え合わせをする

④内容を読み直して理解する

「読む」ことで理解でき、さらにその理解を自分で検証できるようになれば、授業に頼らなくてもひとりで学習を進めていくことができます。
どんどん先に進んでいくこともできるし、分からなかったときいつでも戻ってくることができます。
先日朝日新聞で「宿題が終わらない」という連載がありましたが、そのように学校で行っている学習がどこかおかしいと感じたときにも、ひとりで勉強できることが役に立つと思います。

(この記事の監修の柳原浩紀先生も関わっている連載です!)

そしてなによりも、ひとりで学習する力をつけることは、テスト勉強や受験勉強にとどまらない、一生役に立つ学びつづける力をつけることにつながります。

ぜひ、自学自習の楽しさ、そして強さを、たくさん体験してください!


監修:
嚮心塾 柳原浩紀

国語教室ことぱ舎 向坂くじら

(文責:向坂)

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