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【パートナー募集中26歳】 駅に忘れられたパンのその後を知っているか?

前回の投稿から1週間くらい経った。
前の投稿で挙げた今後書きたいことについてはまだ整理できていないのだが、
それとは別に先週末心に残る出来事があったので記しておく。
心に残ると言っても、悪い意味で。ある種の懺悔。

さて、出来事とはタイトルのとおり。
パンを駅に忘れた。会社の飲み会の帰り。

その日は金曜で、午前は暴風雨・午後以降快晴という、まあ近頃よくある酷く気分屋な空模様だった。

出勤前、頻繁にひっくり返る傘に振り回されながら
やっとの思いで手に入れたパンたちを、愛するパンたちを、
乗り換えで使った駅のトイレに置き去りにしてしまった。

私は特にパン好きというわけではないが、去年の夏にそのパン屋と出会い味わいに衝撃を受けてからもはや執着しているパン屋があり、
金曜にパンを買い溜めて土日にありがたく頂くことが人生の楽しみとなっていた。
週に3日しか営業しておらず、かつ昼には売り切れてしまうというレア度も相まって、心を掴んで離さないのである。

なぜそれほどまでに愛するパンを置き去りにしたのか?

言い訳が許されるなら、久々の飲み会、帰路の上司との会話で気が張った状態から乗換駅についてトイレに駆け込んだとき、
やっと一人になったことによる開放感+我慢していた尿意からの開放感で、思考が”1秒でも早く帰ること”に占拠されてしまった。

地面に接さないように、トイレのドアフックにかけたことも敗因だった。あれは出るときに目に入りづらい。
いや、そもそも店を出る前にトイレをすませておけば。
朝にパンを買わなければ。

後悔先に立たず。
パンを忘れたことに気がついたのは愚かにも1時間後、最寄り駅について歩き始めたとき。
両手の軽さに違和感を覚えたからだ。

一瞬でパニックになり、店に電話をかけた。
電話をかけるプランに入っていないため有料だがそんなことはどうだっていい。
締め作業のなか探していただいたにも関わらずパンはない。
親切にも見つかった場合に備えて電話番号を聞いてくださった。申し訳ない。
ショックを受けながら記憶を辿る。



トイレだ。

脳裏に鮮明に、パンをドアフックにかけたこと、何も持たずに出た自分が映し出された。

確信を持って電話をかける。
窓口は終了していた。もう23時。当然だ。
24時間チャットが対応しているらしい。
詳細を記載して送信。頼む。頼む‥。
返信はない。当然だ。
翌日以降、問い合わせ結果が送られてくるらしい。

母に謝罪のLINE。明日の昼ごはんがなくなった。申し訳ない。

なぐさめの言葉。無性に情けなくて悲しくて、涙が出てきた。

駐輪場につく。自転車の鍵を外し、泣きながらサドルを触った。
朝の暴風雨で、サドルはまだしっかりと濡れていた。
晴れてたのに。乾いてくれよ。
座りたくない。それに飲酒運転だ。

23:40。電話だの、問い合わせだので、こんなに時間が経ってしまった。

私は自転車を押して帰った。




翌朝はうなされて目が覚めた。
暑いし暑いし暑すぎる。
パンの返信はない。

こんな暑い中、私のパンはどうなるのだろう。
迎えに行かなければ。どんな形であろうとも。

なんの用事もない、休みには極力家を出たくない女が、パンのために朝から動き出した。

片道揺れること1時間。
駅員さんは親切だった。
マイバッグの色を、中にヒートテックのベストとパンが詰まっていることを伝えると、バックヤードに消えた。

似た特徴のものが届けられています。
身分を証明できるものはお持ちですか?


‥はい!!

胸が高鳴り心が弾んだ。久々に気分の高揚というものを味わった。
夢に見たパンとの再会。伝えたいことがたくさんある。
置き去りにしてごめん。暑かったよね。心細かったよね。




パンは答えなかった。
渡されたマイバッグは、恐ろしく軽かった。
駅員さんは付属していたメモを読み上げた。

入っていたパンはナマモノのため、昨日の終電時点で廃棄されました。


は‥はい、き?はいき?

え?どういうこと?パンはベストの下にあったのに?ベストの下のパン全部?24時間も経ってないのに?春の新作もあったのに?あんなに美味しそうなパンを棄てた?封もされているのに?


ショックは人から冷静さを奪う。
言葉をなくした私は、こみあげる何かに対する怒りと悲しさで、朦朧としながら文書に記入して恐ろしく軽いマイバッグを回収した。

駅に忘れられたパンのその後とは、

『終電を過ぎると廃棄される』が答えである。



落ち着いて考えれば、1度手元を離れた食品が安全な状態かなんて保証できない。
忘れ物を預かる以上、危険物がないか確認するのも駅として当然のことだし、
ナマモノが保管できず、終電がボーダーラインとなることも理解できる。

悪いのは忘れたこと。つまり私でしかない。

棄ててしまったパンたちよ、本当にごめんなさい。


明日から(厳密には今日から)、新社会人になる君たちへ。
私から伝えたいことは2つ。

  • 飲み会がある日は、荷物は最小限に。忘れ物に特に気をつけて。

  • 飲み会がある日は、ナマモノは買わないように。万が一忘れたら、回収できません。


食べ物を粗末にした後悔で、先週末は懺悔の休日となった。
ちなみに、私の会社には新卒は入社しない。
出会いはないし、飲み会もおそらくない。
こんな私でも、またパンを買っていいだろうか。

懺悔は続く。

では。


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