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世の中はクソリプで構成されているかもしれない件について

編集者の今野良介さんという方がいる。

1984年東京生まれ。ダイヤモンド社書籍編集局所属。早稲田大学第一文学部卒。担当書に『タイム・スリップ芥川賞』『お金のむこうに人がいる』『会って、話すこと。』『読みたいことを、書けばいい。』『会計の地図』『0メートルの旅』『東大卒、農家の右腕になる。』『最新医学で一番正しいアトピーの治し方』『1秒でつかむ』『落とされない小論文』など。『雨は五分後にやんで』に掌編小説を寄稿。担当書籍13作連続重版(和書)。好きな歌手はaiko。

インタビュー記事から

私の中ではとにかくaiko狂いの方!という印象だが、発信を追っかけている人の1人でもある。
(上のインタビューも「返信」について書かれている興味深い内容である)

(noteもされている)

その方が先日、Xで嶋津さんとクソリプ大賞を開催していた。

(ダイアログ・デザイナーの嶋津さんも私はnoteでずっとフォローしていたりもする)

まず「クソリプ」とはなんじゃらほい?という方はこちらを参照して頂ければいいのかもしれない。

クソリプとは、主に Twitter やインスタグラムなどのSNSにおいて、リプライ(特定のツイートに対する返信・応答)のうち、内容がまったく見当外れであったり気分を害するような言葉が含まれたりするなど、罵倒したくなるリプライを指して用いられる語の総称である。「クソ」と返信を表す「リプライ」を合わせた造語。クソみたいなリプライ。

weblio辞書より

開催されたクソリプ大賞で、見事グランプリを受賞した写真家の幡野広志さんのクソリプが私の心にクリーンヒットしてしまった。

今野さんからのお題はこの文章で

Twitterを匿名でやるのは完全に自由でなんの文句もないが、実名顔出しでやってる俺に対して匿名がタメ口で文脈を読まずに文句言ってきて、まともに議論の相手してもらえるとか思ってんじゃねえよ。いつまでも甘えてんじゃねえよ。

この投稿に打ち返すクソリプを求められている

幡野さんの作品はこれ

あなたが実名顔出しでやっているのは自由ですが、匿名の私にも自由の権利があります そしてSNSという特性上あなたに何かをいう自由と権利もあります それが嫌ならSNSを辞めたほうがいいし、そもそもあなたは大企業の社員であり社会的強者です 

守ってもらえる立場だから顔出し実名でもいいのでしょう 安全圏から石を投げるような無意識の差別であり社会にある格差の証明でもあります 実名を出せない立場の弱い人もいるんです そういう人のことを踏み躙る差別です 

馬鹿にされたようで悔しくてたまりません私の友達も今野さんにみんな怒っています よ、反省して謝ってください

「。」も使わないでください マルハラです 編集者なのにもしかしてご存じないのでしょうか?

私はこれまでに編集者になりたくて勉強してきましたが残念ながら現在のところなれていません 小学生の頃から小説も書いています 中学のときに文芸コンクールで入賞しました 出版社に非正規で勤めたことがありますが、自分のやりたいこと違い上司と戦って辞めました

私はこれまでに猫夏山脈文芸コンクール、西靄塚谷川文芸コンクール、南彦凱病院文芸コンクール、北原瀧封印地文芸コンクール、東翠星台地文芸コンクール、東北呪坂鉄道文芸コンクール、東荊神消失地帯文芸コンクール、上永水牧場文芸コンクール、東鞠搖旅団駐屯地文芸コンクール 数々の文芸コンクールに応募しています 甘えてなどいません、命をかけて書いています

社会が悪いのです、社会強者である今野さんが社会を作っているのです 私は甘えてなどいません 投稿を削除されることをおすすめします

これを読んでしばらく笑ってしまった。
夫にも思わず「これ読んで読んで」とすすめてしまうくらい、私のツボにはまる。

私の心の中の悪いくま(テッドみたいなやつ)はこういう話がすごく好きなのだと思う。

幡野さんはグランプリを取った要因について「クソリプだろうと創作は自分のインプットがアウトプットに反映されるのだと思いました。クソリプをたくさん受けてきている人ほど有利な大会です」と述べている。

『日々こういうものがたくさん来てるのだろうな...』と思うとなんとも言えない気持ちにもなるが、それをこのような形で表現してしまうのがすごいなと思ったりする。
またこんなことも書いてあった。

クソリプで感じたけど、文章は文字(言語)だけど「日本人の3割は文章を読めない」とよくあるし、文章はもしかしたら非言語なんじゃないだろうか。
表情や空気を読むことが苦手なのとおなじで、文章を読むのが苦手。Twitterは非言語コミュニケーションのような気がする。

もはやこれは言語によるコミュケーションでもないのかも...という示唆はすごくすごくおもしろいなと思ったりするのだ。


また、今野さんはこんなことをつぶやいていた。

「極論だとわかっているけどすべてのリプはクソリプである」

本当に個人に言いたいならDMなどにすればいい。リプって時点であなたに言ってないのだからと綴られているが、確かに他の人様に見せている時点でそうなのだろうなと思った。


そして、これを読んで「笑うわこれ、私自身がそうだわ」と思った。

さらに極論を私はうち立ててみた。

『私の返事やリアクションの大半はクソリプでできているかもしれない』

ジャーナリストの佐々木俊尚は、クソリプが送られてくる原因として、送り主の文章読解力不足があるのではないかと指摘している

wikipediaより

私は相手が何を言いたいのか
何を伝えたいのか
だいたいにして
わかっていない...と思う。

そしてわかったとしても
そこにそうような
答えや応え
反応を意識して
返していない時もたくさんある。


でも...なんかそんなもんだな

って思ってしまう私は

今日も元気に...あるいは気弱に...クソリプを誰かに返しているのだろう。

野球でイメージすると

相手が撃ってきたボールを

そのまま豪速球でバットで投げ返したり

相手が取りやすいようにやさしくコントロールして返したり

受け取ってもそのまま返さなかったり

デッドボールを恐れて球をかわしたり

といったことを繰り返しているのだと思う。

相手が今どのような反応を求めているかは

どれが正解ということもなく

また日によって時間によって

どんどん変わっていってしまうものだから

私も頭を使わずに、いつもと同じ方法でやればいいやというある種習慣づいたものを返してしまったり、その場のやっつけ仕事的な返事、あるいはどうしても自己を主張してみたくなってしまう時は、それがクソリプになる可能性は充分にあるということを肝に銘じたいと思う。


最後に今野さんがクソリプについて書いていたことを残して終わりにしたい。

イベントの中では話しませんでしたが、本当は送りたくないのにクソリプを送ってしまう最たる相手は、恋人や家族ではないでしょうか。

恋愛は人間関係で傷付くための修行みたいで、ひとつもクソリプが飛び交わない家族や親子関係もないでしょう。それでも、なんとか踏みとどまって同じ時間をすごしている。

そういう意味で、ひとりのクソリパーとして、aikoの曲に思うことはたくさんあるんですよね。すいませんねいつも。

クソリプは、必ず何かを守っています。相手が守りたいものが何なのか、自分が守りたいものは何なのかを見ようとすれば、対応は自ずと見えてくる気がしています。

Xの投稿より


お互いの守りたいものの見極め...これが目下の課題であるように思うのだが、まあなかなか自身の中での葛藤は大きいのである。




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