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定期借家契約とは?

今回は借地借家法に基づく定期借家の解説です。一般建物賃貸借契約では更新に関する事項が定められており、契約を更新することが可能です。

定期借家契約は更新がなく、期間満了で契約が終了します。定期借家契約の活用方法まで見ていければと思います。

☑今回のポイント

定期借家契約の内容と活用方法が分かります。

定期借家とは

定期借家制度は平成12年3月1日に施工された「優良な賃貸住宅の供給の促進に関する特別措置法」により、借地借家法を改正して創設されました。

法改正の背景には、これまでの借家契約では貸主に自己の正当事由がない限り、更新の拒絶や解約が認められず、期間が満了しても事実上契約を終了させることが困難であった事、

老朽化による建て替えの際にも、賃借人から高額な立退料を請求されるなどトラブルが後をたたず、これらの要因が賃貸人の新たな優良な賃貸住宅供給の促進を阻害してきた背景が考えられます。

定期借家制度の要件は?

1..契約は公正証書等書面によること

書面であれば書式は問われません。ただ契約が期間の満了により終了する旨を書面により説明しなければなりません。定期借家であることを明確にします。

2.期間の定めのある契約とすること

定期借家制度では契約期間は自由に設定できます。1年未満の契約も可能で期間の上限はありません。当然、期間の定めのない契約は認められません。

3.契約の更新がない旨を定めていること

定期借家契約にすると当然に契約が終了するわけではなく契約書など書面の中に契約更新がないことを明示する必要があります。

4.契約の更新がなく、期間満了により建物賃貸借契約が終了することを記載した書面を賃貸借契約の前に交付して、説明すること

契約書とは別の書面で説明が必要です。再契約は貸主・借主が合意すれば可能ですが、再度手続きを行う必要があります。

借地借家制度の特徴

1.期間満了による明け渡し

契約期間が1年以上の場合、貸主は期間満了の1年前から6か月前の間に、契約が終了する旨の通知をしないと契約の終了を借主に対抗できません。通知期間経過後に通知した場合、通知の日から6か月経過後に契約を終了させることになります。

契約期間が1年未満の契約の場合、通知の必要はなく、期間満了により契約は終了します。

2.中途解約について

定期借家契約では中途解約を不可とすることが可能ですが、「床面積200㎡未満の居住用の定期借家契約で、転勤・療養・親族の介護その他やむをえない事情によって借主が生活の拠点として使用することが困難になった場合は特約の有無にかかわらず、解約を申し入れてから一か月を経過すると契約が終了します」中途解約は認めないと特約をしても無効になります。

3.賃料改定

定期借家契約において賃料改定の特約がある場合はその定めに従うとされています。

4.従来契約からの切り替え

事業用の建物賃貸借契約では当事者の合意があれば従来の賃貸借契約を終了させて新たに定期借家契約を締結し、その時点から定期借家契約とすることが可能です。

居住用の建物賃貸借契約の場合、平成12年法施行日以前からの契約については貸主・借主の合意があっても当分の間契約に切り替えは認められていません。

定期借家の4つの活用方法

1.老朽化したアパートの立ち退きに活用

老朽化したアパートの建替えに際に、従来の借家契約では退去後の各部屋を開けておいて、全室退去が完了するまで空室としておくしかなかったものが、おおよその建替え時期まで定期借家契約を活用して一定の家賃収入を得ることができます。

2.所有者が使用しない一定期間を定期借家で活用

自宅を使わない期間(転勤などの理由により)を定期借家契約で貸し出すことにより住宅ローンの支払いを賄うことができます。当然自然損耗・経年劣化はしていきますし、賃借人が建物を傷付けてしまうリスクもあります。保険を有効に使うことでリスクはかなり低減されますので、貸し出すことは有効活用になりえます。

3.企業の低・未利用地の有効活用

所有不動産の有効活用が求められている今、賃貸ビル・賃貸マンション・賃貸テナント・倉庫などを建築し、定期借家で貸し出すことで収益を確保しながら企業として該当地を有効活用する方法を検討できます

4.高齢夫婦の自宅を定期借家で活用

年齢を重ねると郊外に自宅がある場合通院や買い物が不便になってきます。住んでいる自宅は定期借家で賃貸し、自分たちは駅近くの賃貸マンションに住み、賃料を実質かからないような状態を作ります。賃料以外に固定資産税・都市計画税などがかかるのと、賃料のギャップにより手出しが出るかもしれませんが、今までの移動にかかる費用や時間、労力を考えるとよい活用方法ではないでしょうか。

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