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派遣で働くということ

今は直接雇用でとある生命保険会社に勤めるパートの私、10年前までフルタイム派遣で事務のお仕事を日々頑張っていた。

10箇所以上の職場を経験したが、その中でも手応えがあったのが、経済産業省の外郭団体での事務サポートだった。

そもそも、外注ものが多い傾向にある職場体質で、「これって、私が作れないかな?」と思える印刷物があった。
見た目にもそれほど難しくなさそうに見えるものが、かなりの高額で発注されていた。
それはラミネートを施した名刺サイズの認定証。団体の会員企業に渡されるもので、「特殊な業務をちゃんとできますよ」、というお墨付きを与えた証明になるもの。
そう、けっこう大事なもの。

この大事な認定証は期限があり、更新の度に作成する。それが、年間約30万円のコストになっていた。
印刷物によっては、印刷会社にどうしても頼まなければならないものもあるが、認定証は作成できそうな気がした。

予算を削減しなくてはならない中で、私は上司に相談、ちゃんと試作を見せて納得してもらい、お世話になっている印刷会社には事情を話し、これまた理解していただき、無事に更新とともに自作の認定証を作り、年間30万円のコスト削減に成功した。

金額的には大したことはないが、この成功体験は私には自信を持たせるに十分で、部署内で一目置かれる存在になっていたことは確かだった。 

途中で結婚して、転居によりやむなく職場を去ることになってしまったが、そこで知り合った同僚とは今でも交流がある。

もちろん、非正規雇用でいくら頑張っても時給は上がらないし、横柄な態度の天下りの役員なんかにも腹の立つことは少なくなかった。派遣社員を明らかに下に見る人も今より多い時代でもあったし、格差によるイヤな思いをしたことも十本の指ではおさまらない。

けれど、どうにもならないことに拘ってばかりよりは、自分で考えたことを行動に現し、小さくとも自分なりの成果を出し、心の安定とモチベーションを維持させることがその時できる最大の自己防衛だった。

EXCELでグラフやピボットテーブルができるようになったり、ACCESSでクエリーを操れたり、スキルが上がるとやはりうれしいし、もしかしたら、次の仕事に繋がるかもと、自己研鑽にはかなり余念がなかった。

繰り返しになるが、いくら能力が向上しても重宝されるだけで時給は上がらないし、ボーナスもない。
既得権益である正社員との待遇格差は厳然とある。いつ契約切られても文句は言えず、労働組合に入っていないので保護もされない。
派遣契約書という紙切れ一枚の上で派遣会社と派遣先企業の間で頑張る立場なのだ。

その時の自分の思いは、以下のとおり。
「派遣先会社に決して帰属することは全くないし、派遣会社には決して期待することも全くない。ここは一時の場所、どうしても嫌なら辞めればよい。ここは期間限定の私の舞台。仕事で自分を表現する舞台。」という感じだった。

派遣される度に新しい仕事、環境、人間関係、これはかなり精神力ないとできないのでは?

勤続30年以上同じ会社に勤めるパートナーに言われたことがある。
「スゴイね。自分にはマネできない。」 
私はその言葉をそのまま返した。

以上、数少ない私の自慢話のひとつでした。

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