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行政無情

神無月人の世界も神不在
(かんなづき ひとのせかいも かみふざい)

父親が特養に入所した。それに伴い住民票の異動、介護保険や後期高齢者健康保険の住所変更、新住所での銀行口座の開設など、様々な手続きが必要になる。そこで必要になるのが、本人の自署の入った委任状だ。本人の行政情報を本人の預かり知らぬうちに変更することができない、というのはその通りだろう。しかし、委任状への自署すら困難な状態だからこそ特養に入所するというのも一方の現実だ。その矛盾にどのような折り合いをつけるのか。

入所の日、特養施設との間で契約を取り交わす。その後、役所に出向いて住民票の異動を行うのだが、これには委任状が必要だ。その委任状への自署はなんとかできた。委任状と役所にある異動の申請書を窓口に提出し、手続きが終わると窓口に呼び出され、次に必要な手続きの指示を受ける。その役所の場合は、健康長寿課での介護保険各種手続きと保険年金課での後期高齢者医療各種手続きだ。こちらは改めて委任状を提出する必要はなく、どちらも滞りなく完了した。書類を手に窓口から窓口へと移動するだけで滞りなく完了できる程度のことなら、なぜ役所の方で一つの窓口で完了できるようにしないのだろうか。素朴な疑問だ。

その特養では利用料の引き落とし用の銀行口座の新規開設を求められた。銀行と支店が指定されていて、役所での用件を終えた段階で午後3時前だったので、銀行の案内窓口へ出かけて必要書類を尋ねた。銀行の人は慣れた様子で説明してくれたが、父親(口座名義人)の本人確認書類で、写真の無い書類の場合は複数用意する必要がある。その中に住民票があったので、役所に取って返し、住民票の異動に使った委任状で住民票の発行もお願いしたところ、その委任状は「住民票の異動の委任」であって、その委任状での住民票の発行はできないとのこと。できない、改めて委任状が必要、で説明は終わり。代替案はこちらから尋ねないと示されない。尋ねたら戸籍謄本を附票と共に申請すればよいとのこと。戸籍の請求には委任状が不要なのだそうだ。但し、附票に新住所が反映されるのに2週間かかるので2週間後に来るようにと当たり前のように宣う。急ぐ用ではないので、2週間後に出向くことにする。

その特養は同じ市が運営するものだ。市が運営する特養の入所にかかる手続きに必要なものの情報が市役所の住民窓口と共有されていない。住民票異動の手続きの際に、異動後の住民票が必要ではないかと一言尋ねるくらいのことが窓口の職員にとって余程困難なことであるようだ。しかし、マイナンバーカードの案内は、こちらから頼みもしないのに、していただいた。特養に入所する身体状況で委任状の自署すら怪しい人が、今からマイナンバーカードをつくってどうしろというのだろう。これは普通のことなのか、何かおかしいのか、他の自治体のケースを知らないので私にはわからない。

こういうことについて政治はどのように関与するものなのか。市議の先生がたは、スパクレ君という、ちょっと異色の議員が誕生すると、その働きぶりも見ないうちから難癖をつけて排除しようとすることには熱心なようだが、住民サービスへの関心は低いらしい。そういう既成政治団体の議員先生に何がおできになるのだろうか。そういえば、もうすぐ衆院選だ。

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