見出し画像

日本が終わっても、日本人は終わらない。海外出稼ぎについて考えたこと。

「たとえ日本が滅んでも、日本人は滅ばない」

たしか20年くらい前、邱永漢さんの言葉だったと思う。
邱さんは多作だったので、出所がどの本どの記事なのか見つけられず、ホントにそんなことを言っていたのかすら定かではないけれど、「日本人の勤勉さ、接客力などは価値がある、自分をブランド化して海外で生き残れ」というメッセージだったように記憶している。

昨年の円安時に、ネット記事で「海外へ出稼ぎに行く時代がきた」論を目にして、邱さんのその言葉を思い出した。

まるで現在の日本を予見していたかのような言葉にも思えるけれど、自分も含め当時すでに海外で働いている日本人は結構多かったし、「海外へ出稼ぎ=日本オワコンってざわつくほどの話題かな?」と思ったので、人口移動の数字面でちょっと調べてみようと思う。

外務省のデータによると、海外在住邦人数は最多の令和元(2019)年度で約141万人!(長期滞在89万人/移住52万人)

ざっくり見ればなんと日本人100人のうち1人は海外在住ということになる。

令和2(2020)年度の都道府県人口と比較すると、
全国で26位滋賀県(141.3万人)と27位山口県(134.2万人)の間。

増加人数で見ると、海外在住日本人はコロナ禍前までは毎年2~2.5万人増加。

都道府県別の転入超過人数(2018年度) と比較すると、一位の東京都(約8万)とは差があるけれど、二位埼玉県(2.5万人)、三位神奈川県(2.3万人)とほぼ同規模。4位愛知県は0.3万人。

出生数(2018年度) と比較すると、10位静岡県(2.5万人)と11位広島県(2.1万人)の間くらい。

海外在留届は滞在期間が3か月以上の場合で提出で、長期旅行、留学、永住、駐在員など、滞在理由も期間も様々。
厳密に義務化されているわけでもないので、提出していないケースや、日本の住民票は残してあって、日本国内データと重複しているケースなどもおそらくあると思う。

バブル期には留学や海外駐在が多かったり、就職氷河期には海外で求職、円高時にはセカンドライフ移住など、海外在住の理由はおそらく日本国内の景気の影響を受けて変化しているとは思う。
それでも、少なくとも好不況問わず、30年間増え続けてるのが実情で、「日本がオワコンだから海外へ脱出している」とは一概には言えないわけだ。

ネットが登場してからは、海外求職も住居探しもずっと簡単になっている。日本の普通の求人サイトでも「海外勤務限定」の募集がいくらでも載っているし、逆に日本にいながらリモートで海外企業に勤務することもできる。
コロナ以降の世界はますますボーダーレスになっていくのだろう。

通信手段が手紙しかなかった時代に地方から東京に上京することよりも、どこにいても24時間スマホで繋がれる時代に海外に移住する方が、ハードルはずっと低いように感じる。
若い世代には、どんどん海外で活躍してほしいと思う。

ただ、若い世代が海外に行ってしまうことによって、日本はますます高齢化が進んでいくのか…と思うとちょっと暗くなってきた。
邱さんの言うように「日本が終わるなら海外へ」ではなく、「活躍できる人が海外へ出るから日本が終わっていく」のかも。

日本は振り切ってお年寄りテーマパーク化して、レトロ国家として生き残りをかけるしかない?

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?