難関校受験生が「本格的な応用問題」を開始する時期【中学受験・算数】

「応用問題をいつ開始するか」をはっきり意識している受験生や親御様は少ないと思います。
特に塾の上位クラスに在籍していれば、そこで応用問題も行っていると思われる方が多いのではないでしょうか。

確かに、基本か応用かで言えば、応用問題を行っていることになります。
問題の難易度がA(易)~E(難)となっていれば、DとEを重点的に行うといった感じです。
ただ、そこでの「応用問題」と入試レベルの「本格的な応用問題」のギャップは大きいケースも多く、特に難関校を目指す場合には意識しておく必要があります。

本格的な応用問題は、基本的には取り組む期間が長いほど、また演習量は多いほど対応しやすくなります。
期間は6ヶ月より1年、演習量は100問より300問の方が成果が得られやすく、入試での成功率も上がります。

塾以外の課題で本格的な応用問題の対策を行う場合、定番教材として多くの難関校受験生が使用しているのは「中学への算数」(月刊誌)です。
どの号から始めるのがいいか迷う場合は、とりあえず「規則性」(12月号の日日の演習)から手を付けるのが無難だと思います。

「中学への算数」は難しいと思って敬遠される方も多いのですが、手を付ける分野と方法を間違えなければ、意外に取り組めるケースも多いです。
例えば、2022年12月号の日日の演習で次のような問題があります。

整数1,2,3,4,5,・・・を順番に並べてできる、1234567891011121314・・・という数字の並びについて考えます。
(1)① 左から111番目の数字を答えなさい。
(1)② 左から1001番目の数字を答えなさい。

(1)②は難しく感じるかもしれませんが、(1)①であれば解けるという受験生も多いのではないでしょうか。
整理された解法ではなく、すべて書き出して求めるという感じでもいいと思います。

この問題に限らず、最初の内は各大問について完答しようとするのではなく、断片的に解ける問題を解いていくという方法がおすすめです。
また、解けない問題についても自分なりに考えてみて、本格的な応用問題に触れる経験を積み重ねていくことも有効です。

参考までに、私が難関校対策として行っている課題の資料を掲載します。
詳細は割愛しますが、筑駒、灘、開成、聖光、渋幕のいずれかの学校に合格した29人中17人(2017年以降では22人中17人)が5年生前期に本格的な応用問題を開始していました。

特に、正答率50~60%台で苦戦していた数人は、学習方針の変更(塾の復習中心→「中学への算数」等の応用問題中心)により状況が改善しましたが、本格的な応用問題に取り組んで限界を感じる機会がなければ、塾の復習中心の学習を継続していたかもしれません。

本格的な応用問題を開始する時期は5年生前期が理想的ですが、6年生でも4月に開始して夏休みまでに演習量を確保できれば成果が期待できます。
ただ、6年生後期になると塾の拘束(日数、時間)が増えること、過去問演習や算数以外の科目の所要時間が増えること等により、時間確保が難しくなりますので、なるべく早い時期に開始することをおすすめします。


■著書「難関校合格への62の戦略」
https://www.amazon.co.jp/dp/4753935116/

■公式サイト「中学受験の戦略」
https://www.kumano-takaya.com/


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?