愛の花なのに・・・
この花を見るといつも母を思い出す。
思い出す母は、私が婆ぁになっているのに、当時のままの可愛い母なのだ。
母の懐かしい思い出話と言えば、きっとほのぼのとした美しい話と相場が決まっているだろうが・・・
私が実家に遊びに帰っている時、母が薄紫の造花を抱えて帰ってきた。
当時、習っていたフエルト手芸のお稽古日だった。
手先の器用な母は細かな作業を得意とし、その造花も見事だった。
「あんなぁ~、この花可愛いやろ? アカパンパースって名前やねんて~」
「は~~?」
当時TVのCMでよく聞く名前・・・う~ん、何で? 赤くもないのに。
まだオムツは布が主流だった頃で、紙オムツを広めようとしていた頃だった。
パンパース、パンパース、長女がまだオムツの要る頃だったので、私はそのCMをよく覚えている。
しかし・・・とてもその花からオムツが連想できない。
何でこの薄紫の可憐な花がオムツ?
ところがこれは母の聞き間違い、勘違い・・・
後に正しい名前が判明・・・・
アガパンサス・・・・赤パンサス・・・・赤パンパース!
母の頭の中でなんとなぁ こんなふうに変換され覚えてしまったんだなぁ
そして、そのままアカパンパースの名前を持って逝ってしまった
お母ちゃん! あれはアガパンサスって言う名前やったんよ。
しかも花言葉は「愛」
花も泣くわ・・・オムツと一緒にしないで!と。
母の懐かしい思い出の話は、こんなお笑いの話になってしまう。
とはいえ、母は穏やかで可愛くて女らしい人でした。
何で私はその性格を引き継がなかったかと・・・・恨み言を言ってしまう。
母の背中を追ってきたつもりなのに・・・・男前になっちまったじゃないか!
そして見事にその男前は長女に引き継がれてしまった。
何で?トホホ・・・・
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