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未来を変える。魔法のコトバ。

やっていることを「一言」で表したら、なんだろう?

ときに「コンセプト」と呼ばれる一言は、事業や活動を別次元に引きあげてくれるパワーを持つことがあります。現状を劇的に変える「魔法の杖」があるとしたら、その1つはコンセプトワードといえるのかも。強く実感したときのことを書いてみようと思います。

いまや秋田から神戸まで全国12都道府県。100回以上のワークショップを開催し、1000人を越える人々が参加してくれたKUMIKI PROJECTの空間づくり。はじめた当初は、そんなことになるとは全く思いもしなかった。。。

というのも、もともと被災後の陸前高田で集会所づくりからはじまって、行政機能の回復すると、今度は「地域材を活かそう!」と家具づくりをスタート。でも、なかなかうまく販売がひろがらない日々で、ふと考えたわけです。

「イスを一脚買える人」を増やすより、「床を貼れる人」が増えたほうが、
家具ほどの複雑な加工はいらないし、使う木材の量は多いのではないだろうか。

かくして、「DIYサポート」を掲げ、個人宅でのDIYのお手伝いがはじまったのでした。最初にやったのは同棲を始めるカップルの賃貸住宅。6畳の畳のうえに、国産杉のフローリング材を敷き詰めるだけというお手軽DIYでしたが、当時の僕らにしてみたら大挑戦。なんせ建築経験も、大工経験もないから、学びながら、一緒にやるので精一杯。依頼をくれたお客様には本当に感謝です(苦笑)

そんなスタートだったから、値段をどうつけるか?というのも一苦労。

職人さんは日当2〜3万円くらいのこの世界。でも、職人未満の僕らでは、同じ価格は絶対にもらえるわけがない。となると、1〜1.5万円で床ハリのサポートをするという、普通に考えればビジネスとしては成立しないような状況からのスタートだったんです。

そんなスタートから半年がたった頃、あるキッカケがあり、今のお店やオフィスなど、大空間でより多くの人の手を借りながら、手間を愛着に変える空間づくりへとシフトしていけました。(単価もいただき方もガラっと変化しました。このあたりの赤裸々話は、また、おいおい書こうと思います〜。)

そんな変化を生み出したきっかけこそ、僕らが活動の呼び方を「DIYサポート」から「DITワークショップ」と表現したことでした。あ、DIT=Do It Together(ともにつくる)の略です。

「DIT」というコンセプト。生まれたきっかけは、とあるイベントでした。
2016年7月に羽田空港で開催された「TEDx HANEDA」。

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TED」という名前は聞いたことがある方もいるかも知れません。「テクノロジー」・「エンターテイメント」・「デザイン」の略で、1984年に「価値のあるアイデアを世に広めること」を目的に米国で設立された非営利団体です。ビル・クリントンなど、本当に多くの著名な人がイベントに登場し、素晴らしいプレゼンテーションをされています。

一方、「TEDx」というのは、その地域版のようなもので、いまや全世界で開催されています。まだ世に知られていないKUMIKI PROJECTに、興味を持っていただいたのは本当に奇跡ですが、なんと12名の1人として10分のプレゼンテーションをさせてもらう機会に恵まれたのでした。

◉TEDx HANEDA で一緒にプレゼンテーションをした人たち(一部、所属当時)
ニーマル・ラージ ギャワリ(ヨガ・アシュラム・ジャパン、ニーマルヨガ創始者)
中村 俊裕(共同創設者 兼 CEO, 米国NPO法人コペルニク)
岩佐 大輝(株式会社GRA 代表取締役CEO)
本多 達也(UIデザイナー)
矢島 里佳(和える(aeru)代表取締役)
髙橋 正巳(Uber Japan 株式会社 執行役員社長)

さて、本題です。プレゼンテーションにむけてスライドをつくるのですが、これが結構悩むんです。というのも10分間という時間のなかで、「何が一番世界に伝えたいアイデアなのか?」とプロデューサーであるパトリックに聞かれると、あれもこれも話してしまい、なかなかまとまらない。

陸前高田で復興での話や、国産材を使えるという話。

当日までに2〜3回、プレゼン構成の打ち合わせをする時間があったんですが、毎回毎回、どうしたもんか?と頭が爆発。そんなとき、プロデューサーのパトリックがはなった一言こそが、KUMIKI PROJECTの大きな転換点になったのでした。

「つまり、それは Let's do it together」 ってことだよね?

僕のプレゼンテーションのタイトル「DIT not DIY」が決まった瞬間でした。伝えたいアイデアは、「ともにつくるを楽しもう」ということでした。

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最近ではありがたいことに、「DITやっています!」と言われることが少しずつ増えてきました。日常のなかで言葉として使われることって、こんなに嬉しいんだなぁと、しみじみ思っています。

やっている事業や取組がどんな素晴らしいことでも、伝わらないと意味がない。
誰かの心にきちんと響けば、愛してくれる人に必ず巡り会えるもの。

そのためには、余計なものはできるだけ削ぎ落とし、シンプルに一言で、何をやっているのに答えられるようにすること。短いけれど、力強い。そんなメッセージを発することができたなら、きっと見える世界が変わるんだと思います。

やっている事業を、活動を、「一言」で表したら、それってなんだろう?
ぜひ、考えて、コトバにしてみるといいと思います。言葉が思いつかない人は、下手にキャッチコピーの技術を学ぶよりは、まずはコピーライターの作品集などがオススメ。こんなふうに共感するのか?とか、あの言葉をこう使うんだ?とか、複雑な商品がわかりやすく表現されているとか、気づくことがいっぱいあると思うから。

ちなみに僕は、岩崎俊一さんの「幸福を見つめるコピー」という本が昔から好きでした。例えば、「年賀状は、贈り物だと思う」や「人は貧しいという理由で死んではいけない。」とか。

人の幸福を願い、幸せを感じるその瞬間の光景、心までそっと届けてくれるような。優しい言葉の使い方をする人だなぁと感じていました。

巷には、キャッチコピーをつくるテクニックや、USP(ユニークセリングプロポジション=独自のウリ)を考える方法論はもうたくさん出ていますから、一読してみると良いとは思います。

ただ、個人的には、消費者が求めるメリットを考え、そこに答えるコトバを編集するようなテクニックというよりは、「いま、やっていることって、つまりはこういうことなんだよ!」とシンプルに叫べるくらいの一言にこそ、強い力が秘められていると感じています。ぜひ、考えてみてください。

<TEDx HANEDA 当日映像>

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くわばらゆうき| KUMIKIPROJECT

「はじめたい」を「ともにつくる」で実現する空間づくりワークショップの専門集団 KUMIKI PROJECT と、シェア工房を全国にふやす財団KILTAをやってます。

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