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調剤薬局

抗がん剤治療中の時の事ですが
調剤薬局で泣いてしまったことがあります。

調剤薬局で お薬を頂く時に 必ず聞かれますよね?
「今日は どうされましたか?」

これはきっと 渡し間違いなどがないようにという確認の意味も
あっての事で 聞かなくてはならない決まりなんでしょうが
この質問、普段は何ともないんですけど
この時期は 嫌な質問でした。
だって 他の患者さんも たくさんいる中で
普通に風邪の時とかと変わらないノリで聞いてくるんですもん。

「今日は どうされましたか?」

え? 

薬見たら わかるでしょ?
今 一番しんどい時なのに それ聞く??

お薬手帳に貼る 薬の説明の用紙も見てるのに??


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規則だから聞かなきゃいけないのかもしれないけど
他の聞き方は なかったのでしょうか?

治療の辛さは 薬剤師さんだから
一番理解してくれてるはず。

抗がん剤治療8回コースを 折り返したくらいの時で
体もきついけれど、何よりも 心が折れそうになるくらい
精神的に弱って時だったので この言葉で
ピーンと張ってた糸が切れたように                           涙が溢れてきて止まりませんでした。

今の私なら 病気になってしまったことも
乗り越えられているので 普通に答えられますが
この時期は まだ 自分の病気を 
受け止められていなかったから。
病名を言うのにも勇気がいりました。


後にも先にも この質問を 抗がん剤治療中にしてきた薬剤師さんは
お一人だけでしたが・・・

以来 その調剤薬局には行っていません。

薬の進歩で 抗がん剤の副作用も 昔に比べたら
随分と楽になっているそうです。
私も薬の お陰で抗がん剤治療を最後まで頑張れました。

医学の進歩に感謝しながらも あの薬剤師さんの言葉は
今でも忘れられません。

慣れって恐ろしい。
いつもの言葉が 人によっては傷つけてしまう言葉となる。
言葉で仕事をしている私にとっては いい勉強となりました。



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